「カブス1-4ドジャース」(18日、東京ドーム) 大谷も、見ている者もみんな震えた。米大リーグの開幕戦が東京ドームで行われ、ドジャースの大谷翔平投手(30)はカブス戦でマルチ安打を記録し、4-1の逆転勝ちに貢献した。大谷が「珍しく緊張した…

 「カブス1-4ドジャース」(18日、東京ドーム)

 大谷も、見ている者もみんな震えた。米大リーグの開幕戦が東京ドームで行われ、ドジャースの大谷翔平投手(30)はカブス戦でマルチ安打を記録し、4-1の逆転勝ちに貢献した。大谷が「珍しく緊張した」という日本凱旋。ドジャースの山本由伸投手(26)、カブスの今永昇太投手(31)が先発し、メジャー史上初めて開幕戦で日本投手が先発で投げ合い、カブス・鈴木誠也外野手(30)も出場した歴史的な一戦に、4万2365人の大観衆が熱狂した。

 夢を追い、海を渡って今年で8年。大谷がTOKYOに帰ってきた。初めて日本での開幕シリーズを迎え、顔がほころんだ凱旋ヒット。「あまり打撃に関して普段緊張することはないが、珍しく緊張しているなというのは1打席目にありました」。重圧を胸の奥に秘め、立った特別な舞台。25年の主役もやっぱり大谷だった。

 1点を追う五回だ。1死一塁で大谷が打席へ向かう。四回まで無安打に抑えられた今永からブラウンへと継投された直後だった。2球続けて豪快なフルスイングで空振り。追い込まれると、3球目にファウルを挟んだ4球目だった。

 連続で空振りを喫していたカーブを、今度はバットでしっかり捉えて右前へ。打球速度172キロと痛烈な一打で、今季初めての「H」ランプをともした。チーム初安打を放つと、その後は打線がつながって同点。逆転のホームは大谷が踏んだ。

 皆が待ち焦がれ、新たな歴史のスタートとなった日本人対決の開幕だ。今永との注目の第1打席。より一層の静けさが、東京ドームに充満した。スタンドの視線を独占した初球は、148キロの直球を見送ってストライクからスタート。「緊張した」と言う打席では二ゴロに倒れたが、九回には右線二塁打を記録。追加点のホームにも生還するなど、2安打がいずれも得点に絡んで勝利に貢献した。

 決戦の朝、自身のインスタグラムを更新。「See you tonight(今夜会いましょう)」と投稿した。「日本に帰ってくるのもプレーするのも久々」と待ちわびていた試合だ。

 開幕セレモニーでは人気アニメ「ポケモン」のキャラクター・ピカチュウも駆けつけるなど、日本ならではの演出で盛り上げられた。また登場演出では自らの名とともに、メガ進化を遂げた「メガガブリアス」と紹介。1・9メートルの身長、95キロの体重でほぼ同じ体格を持ち、「両刀」と呼ばれる物理技と特殊技を使いこなす“二刀流”ポケモンになぞらえられ、二刀流復帰の1年は幕開けした。

 体調不良だったベッツは17日に緊急帰国し、この日の試合直前にはフリーマンも左肋骨の違和感で急きょ欠場。昨年世界一を成し遂げた自慢のMVPトリオのうち、2人が不在という緊急事態で幕を開けた25年。だが好投した山本へ「よかったな」と声をかけてねぎらい、「今日勝ったことが明日以降につながっていくのかなと思います」と表情を引き締める。不測な事態を一丸で乗り越えた開幕星。大谷伝説はTOKYOから始まった。