「オープン戦、ヤクルト5-5阪神」(18日、神宮球場) 冷たい風が吹く神宮で思い切りよく腕を振った。真っすぐに伸びる軌道から急落。自慢のフォークにサンタナのバットが空を切る。球場全体からの大きな拍手と歓声を浴び、支配下に昇格した阪神の育成…
「オープン戦、ヤクルト5-5阪神」(18日、神宮球場)
冷たい風が吹く神宮で思い切りよく腕を振った。真っすぐに伸びる軌道から急落。自慢のフォークにサンタナのバットが空を切る。球場全体からの大きな拍手と歓声を浴び、支配下に昇格した阪神の育成ドラフト1位・工藤(四国ILp徳島)が存在感を示した。
「フォークが通用したっていうのは、ひとつの収穫かなと思います」
五回2死。伊原を継いでマウンドに上がり、サンタナと対峙(たいじ)。「いいバッターなので、甘いところに投げないように、低めに」。細心の注意を払ってコースを突いた。
強力ヤクルト打線のクリーンアップを任されるサンタナに、チームは昨季苦しんだ。対戦打率・320、1本塁打、13打点と打ち込まれた。オープン戦とはいえ、初対戦で虎の天敵を抑えた価値は大きい。
さらにこの日投じた5球のうち、直球は1球のみ。工藤=剛速球のイメージが定着しつつある中、スライダーやカットボールなどの変化球を軸とした。「変化球主体だったけど、抑えられて良かった」。これまで150キロ後半の力強い直球主体で押し込んでいたが、鋭い変化球でも勝負できることを証明した。
2桁の背番号を勝ち取った右腕は支配下になって初登板の8日・DeNAとのオープン戦こそ、八回2死三塁から登板して適時打を浴びたが、1/3回を1安打無失点。11日の同・西武戦も1回無失点で、15日のカブス戦での1回無失点も含めて、今春の実戦は8試合連続無失点、防御率0・00と結果を残している。
藤川監督は工藤に対し、女房役の栄枝とともに称賛。「きちんと三振が取れたというのは、バッテリーとしての成長。それがチームの成長につながるので良かった」とうなずいた。
開幕が迫る。「残り数試合ですけど、しっかり準備していきたい」。入団から階段を駆け上がる背番号24の成長はとどまることを知らない。