箱根駅伝初出場を目指す芝浦工大は18日、駿河台大前監督の徳本一善氏(45)が4月1日付けで新監督に就任することを発表した。また、麗沢大前監督の山川達也氏(40)が2月1日付けで着任したことも発表された。 徳本新監督と山川新コーチが大学を通…
箱根駅伝初出場を目指す芝浦工大は18日、駿河台大前監督の徳本一善氏(45)が4月1日付けで新監督に就任することを発表した。また、麗沢大前監督の山川達也氏(40)が2月1日付けで着任したことも発表された。
徳本新監督と山川新コーチが大学を通じて発表したコメントは以下の通り。
徳本新監督「この度、芝浦工業大学駅伝部監督への就任が内定しました。理系大学初の箱根駅伝出場という悲願を達成したいという芝浦工業大学の熱意を感じました。また、この環境で自分自身もさらに成長できると思えたことが就任を決意した理由です。45校目の箱根駅伝初出場は成し遂げないといけない責務だと思っています。これから、芝浦工業大学悲願の箱根に向け、徳本劇場第二幕に期待していただければと思います。応援よろしくお願いします」
山川新コーチ「2月より駅伝部コーチに着任しました山川達也です。大学駅伝の世界で15年戦ってきましたが、この度、新たな挑戦として芝浦工業大学の箱根駅伝初出場に貢献したいという想いで、新天地を選びました。これまではライバル校であり、箱根駅伝の関東学生連合チームでは共に指導した徳本監督のもとで、箱根駅伝45校目の出場校を目指し、これまでの経験を活かして指導して参ります」
徳本監督は法大時代、箱根駅伝史上初めて茶髪とサングラスの姿で走った選手とされ、多くの伝説を残した。3年時は2区で日本人トップの区間2位と好走し、首位浮上。その直後、日本テレビのインタビューでは頭の上から装着するウルトラマンのような奇抜なデザインのサングラスで登場し、新春の日本列島を驚かせた。
12年に駿河台大監督に就任すると、指導者としても独特のスタイルで手腕を発揮。チームを一から育て上げ、10年目の21年10月の箱根駅伝予選会を突破。初出場に導いた。22年1月の本戦では中学校教員を休職して編入した当時31歳の今井隆生(現埼玉・鶴ケ島藤中教員)を4区に起用。力走及ばず、区間最下位でタスキリレーした今井に「2年間、ありがとう! 謝ったらブッ飛ばす!」と独特の表現でたたえ、感動を呼んだ。24年に2度目の出場。今年1月に退任が発表された。
徳本監督のサポート役として、麗沢大前監督の山川コーチが就任。それぞれ駿河台大と麗沢大を率いてきた二人はライバルであると同時、互いの指導力、持ち味を認め合っており、絶好のコンビになりそうだ。ともに箱根予選会の戦い方を熟知していることは大きな強みとなる。
芝浦工大は2011年に駅伝部を創設。駅伝プロジェクト入学者選抜試験を導入し、さいたま市の大宮キャンパスに全天候型のトラックや選手寮を完備。文武両道を貫き、大学創立100周年を迎える2027年までに理工学系私大初の箱根駅伝出場を目指している。今年度で前田直樹監督(65)が定年退職。後任として、新興校の強化に実績を持つ徳本監督を招聘(へい)した。
芝浦工大はホームページで「新体制で創立100周年事業『駅伝プロジェクト』で目標に掲げる『箱根駅伝』での本選初出場に向けて邁(まい)進してまいりますので引き続き応援よろしくお願い申し上げます」と大学挙げての決意を表明した。
徳本監督が芝浦工大を箱根路に導いた場合、2校を初出場させた初の監督となる。「徳本劇場第二幕」は大学駅伝界で注目の存在となる。芝浦工大と徳本監督が箱根駅伝に新たな歴史を刻むために果敢な挑戦を始めた。
◇芝浦工大 1927年に有元史郎氏が東京・大森に前身の東京高等工商学校を創立。実学重視の技術者育成教育を継承して、49年に芝浦工大が設置された。現在、工学部、システム理工学部、デザイン工学部、建築学部と大学院理工学研究科がある。東京・江東区に豊洲キャンパス、さいたま市に大宮キャンパスがあり、駅伝部は大宮キャンパスを拠点としている。工学や建築の分野で多くの優れたOBを輩出。スポーツ界の主なOBはプロ野球・西武元監督の伊原春樹氏ら。
◆徳本 一善(とくもと・かずよし)1979年6月22日、広島市生まれ。45歳。美鈴が丘中1年から陸上を始め、3年時に全国大会で1500メートル2位。広島市立沼田高3年時に全国高校総体1500メートル2位。98年に法大入学。箱根駅伝では1年1区10位、2年1区区間賞、3年2区2位、4年2区途中棄権。2002年に卒業し、日清食品に入社。03、04年に日本選手権5000メートル連覇。12年4月、駿河台大駅伝部監督に就任。22年に駿河台大を箱根駅伝初出場に導いた。25年1月に監督退任。長男・陽(ひなた)は青学大1年で箱根駅伝出場を目指している。