◆大相撲 ▽春場所9日目(17日・エディオンアリーナ大阪) 新横綱・豊昇龍は一山本にすくい投げで敗れ、4敗目を喫した。2日連続の金星配給で、新横綱場所で3つ目の配給は1964年春場所の栃ノ海以来で、昭和以降の最多に並んだ。一山本は初金星。大…

◆大相撲 ▽春場所9日目(17日・エディオンアリーナ大阪)

 新横綱・豊昇龍は一山本にすくい投げで敗れ、4敗目を喫した。2日連続の金星配給で、新横綱場所で3つ目の配給は1964年春場所の栃ノ海以来で、昭和以降の最多に並んだ。一山本は初金星。大関・大の里、東前頭4枚目・高安は勝って1敗でトップを守った。2敗は平幕の尊富士と美ノ海。十両は草野(23)=伊勢ケ浜=が無傷の9連勝で、新十両では1場所15日制が定着した49年夏場所以降の最長記録に並んだ。

 闘志をむき出しに勢いよく前に出る相撲が見られない。立ち合い。豊昇龍は鈍い出足で立つと、突いてきた一山本に左差しを許す。下がりながらも強引に小手投げ。決まらずバランスを崩すと、すくい投げで尻から落ちた。連敗で支度部屋で「今日は(取材対応は)なし」。大きなため息が漏れ、「(立ち合いが合わず)もう1回立ち合いがあるのかと思った」と嘆くように言葉を吐き出した。

 5日目の千代翔馬、前日の高安に続き、3つ目の金星配給となった。新横綱の場所では、昭和以降で最多に並ぶ不名誉で、1964年春場所の栃ノ海以来4人目。4敗目で首位・大の里、高安とは早くも3差で優勝も遠のいた。

 横綱昇進を決めた初場所は鋭い出足と突き押しで白星を重ねた。今場所も初日に阿炎に敗れたあとは3連勝。しかし、5日目に千代翔馬の変化に完敗を喫し、「立ち合いがしっくりきていない」と迷いが生じているようだ。年6場所制となった58年以降、29人が挑戦した新横綱Vはわずか5人。重圧が加わるなど環境の変化に対応することが求められるが、乗り越えてこその横綱だ。

 八角理事長(元横綱・北勝海)は「豊昇龍は気持ちが切れている。我慢しないと厳しい」とバッサリ。幕内後半戦の九重審判長(元大関・千代大海)も「調子が空回りしている。お披露目場所なのでしっかりしないと」と促した。今場所の番付発表時は「何が起きても休場しない。最後まで出る」と信念を口にしていた新横綱は自らに言い聞かせるように「今場所は勉強だね」と言った。今後は大の里ら上位陣との対戦が待つ。これ以上、横綱がふがいない姿を見せるわけにはいかない。(山田 豊)