◆スポーツ報知・記者コラム「両国発」 世界で唯一、北海道・帯広競馬場で行われるばんえい競馬は、北海道の開拓期に娯楽として農耕馬の力比べをしたのが原点。馬体重約1トンの馬が、直線200メートルのコースで鉄ソリを引き勝敗を競う。途中に高さ1メー…
◆スポーツ報知・記者コラム「両国発」
世界で唯一、北海道・帯広競馬場で行われるばんえい競馬は、北海道の開拓期に娯楽として農耕馬の力比べをしたのが原点。馬体重約1トンの馬が、直線200メートルのコースで鉄ソリを引き勝敗を競う。途中に高さ1メートルの第1障害、1・6メートルの第2障害が待ち受け、パワーとスタミナが要求される。巨大な馬を起こす力や、休ませるタイミングが重要で、平地以上に騎手の技量が勝敗を左右する。ファンが声援を送りながら、ゴールまで一緒に歩けるのも大きな魅力だ。
最高峰のレース、ばんえい記念が今日16日に行われる。最高1000キロの鉄ソリを引くため、障害をクリアするのも困難。ゴールまで何度も止まることがある過酷なレースで、全馬が完走するまで温かい声援が送られる。
この大一番に女性として初めて今井千尋騎手(24)が参戦する。2022年12月に、ばんえい競馬史上4人目の女性騎手としてデビュー。男性と比べて体力面のハンデはあるが、若手とは思えないクレバーな判断力で翌年から年間100勝以上の活躍。ハイペースで勝ち星を積み重ねてきた。デビューから約2年3か月での初出場に「こんなに早く機会が巡ってくるとは思っていませんでした。子供のころから憧れだったレースに出られるのは本当にうれしい」と声を弾ませる。
騎乗するのは真っ白な馬体のキンツルモリウチ。「1トン戦には対応できると思う。気性の荒いところはあるけど、レースではしっかり歩いてくれる」とパートナーを信頼している。「ばんえい記念が近づくと、周りもピリピリしてきます。それだけ特別なレース。緊張するとは思いますが、しっかり完走を目指したい」。白馬を操る今井騎手が、ひたむきにゴールを目指す姿に注目してほしい。
◆松井 中央(まつい・なかお)東京都出身。中央競馬担当を経て、24年から地方競馬担当に。ばんえい競馬に血統を取り入れた予想を模索中。