南半球のトッププレーヤーたちも参加するスーパーラグビーで念願の初勝利を遂げたあと、休み(バイ・ウィーク)を挟んで2週間ぶりに東京・秩父宮ラグビー場で試合をおこなった日本のサンウルブズだが、オーストラリア・カンファレンス最下位のフォースに2…

 南半球のトッププレーヤーたちも参加するスーパーラグビーで念願の初勝利を遂げたあと、休み(バイ・ウィーク)を挟んで2週間ぶりに東京・秩父宮ラグビー場で試合をおこなった日本のサンウルブズだが、オーストラリア・カンファレンス最下位のフォースに22-40で屈し、連勝とはならなかった。スーパーラグビー今季初挑戦のサンウルブズはこれで1勝8敗(勝点7)となり、負け越しが決定した。残り6試合。

「非常に残念。特に残念だったのは前半のエネルギーのなさ」とマーク・ハメット ヘッドコーチ。9試合連続先発のHO堀江翔太キャプテンや、38歳の誕生日を迎えたばかりのLO大野均など、前半から体を張ってきたベテランを早めに代え、フレッシュレッグを投入したが、相手に5連続トライを奪われ最大28点も開いた差を逆転することはできなかった。
「疲れていたわけではないだろうが、チームとして全員でプレーしなければ、自分たちのスタイルは出せない。バイ・ウィークに対応できるチーム、選手、いろいろある。我々はバイ・ウィーク明け、火曜にジャパンとハードに体をぶつけたのだが、今回の試合がバイ・ウィークの影響かと言われれば違う。強度の不足と、インターセプトで2本トライを取られて余計なプレッシャーがかかった。今回はフォースの方がいいプレーをした」

 5月7日の秩父宮には1万6885人の観衆が集まった。ファンの声援にこたえるかのように、サンウルブズは前半3分、太ももの負傷から回復して1か月ぶりに戦列復帰したばかりのWTB山田章仁がトライを挙げ、先制。敵陣でのスクラムから攻め、CTBデレック・カーペンターのオフロードパスを受けてゴールに持ち込んだ。

 しかし、今季低迷しているとはいえ、スーパーラグビー経験はサンウルブズより10年先輩のフォースが意地を見せた。
 山田のトライで場内が沸いた2分後、CTB立川理道からFBリアン・フィルヨーンへのパスをフォースのWTBマルセル・ブラーシェがインターセプトし、逆転につながるトライを決めて流れを変えた。
 フォースはさらに13分、カウンターで攻め上がってテンポよくつなぎ、最後はWTBブラーシェが防御網を切り裂いた。19分にはプロップが中央を突破してゴールに迫り、左へ振ってWTBブラーシェがハットトリック。26分にはFLブレイナード・スタンダーがチーム4トライ目を挙げ、フォースが21点リードして前半を終えた。

 後半もフォースペースは変わらず、51分にスクラムからの攻撃でフェイズを重ね、昨季パナソニックでもプレーしたオーストラリア代表のNO8ベン・マッカルマンがトライ。
 5-33とされたサンウルブズは、57分にゴール前で近場を突いたあと右へ振ってSOトゥシ・ピシがファイブポインターとなり、69分には敵陣深く右のスクラムから攻めてCTBカーペンターがトライを挙げ、18点差としたが、74分にフォースのFLアンガス・コットレルがインターセプトして約60メートル独走し、勝負あり。
 サンウルブズは終盤に辛抱強くつないで、WTB山田がトライランキングトップに並ぶ7トライ目を挙げたが、大勢のファンに2勝目を見せることはできなかった。

「山田のトライで盛り上がったが、敵陣に入ってペナルティーをしたりしてリズムに乗れなかった。受け身になって、自分たちのスタイルを出せなかった。メンタルの部分も含め、まだ。簡単には勝てない。体もメンタルも100%でいかないと。横の選手とのコミュニケーションが不足なままプレーしていたところもあった」と、堀江キャプテンは敗戦を振り返る。課題のラインアウトも改善されておらず、「タイミングと開いているスペースをもっと見ないと」と反省した。
 しかし、後半にボールをキープして継続でトライを挙げたところは次戦へつながるプレーだった。
「取り急いでいたところもあり、フィフティーフィフティーパスを放ったりしていた。ラックにして、ボールをキープしていけば、自分たちのスタイルを出せたかも。チームとしてどう選択すれば勝つ可能性が高まるのかを考えていかないといけない」

 一方、今季苦しんでいたフォースにとっては、アウェイでの価値ある2勝目となった。マイケル・フォーリー ヘッドコーチは安堵の表情で次のようにコメントした。
「サンウルブズはいい状態だから、危険だと思っていた。その予想は、後半の試合展開にあらわれていたと思う。選手たちに伝えたのは、はやい時間帯からプレッシャーをかけていくこと。それをよくやってくれた。若い選手もいいパフォーマンスを見せた。勝利の要因は、セットプレーがよかったことと、ハードワークが重なって、いいゲーム運びができたから。接戦を勝ちきれなかった今季だったが、ハードワークとチームの結束が勝利に結びついた。勝つことができないと、選手たちはミスをおそれてしまうもの。それを払拭するためにも今日の試合は大きかった」
 そして、昨季フォースで経験を積み、現在はサンウルブズで活躍中の山田については、「山田はいいプレーヤーだ。才能があって、ハードタックルも要所で出す。前へ、前へとよく仕掛けてくる」と評価した。

 サンウルブズの戦いは続く。次週はシンガポールで、再びストーマーズに挑戦だ。
「タフな大会と再確認できたことは収穫。ジャガーズに勝って喜んだと思うが、ハードルも上がった。毎週の試練を超えていかないといけない。次のストーマーズ戦は、もっとボールをキープして、ブレイクダウンで戦うことが大事。どんな強いチームとやっても、アドバンテージラインを越えたら、外があいて自分たちのスタイルを出せる」と、ハメット ヘッドコーチは前向きに語った。