ヘッドコーチ就任時に2年契約を結び、2018年のスーパーラグビーでもサンウルブズを指揮すると思われていたフィロ・ティアティア氏(46歳)だが、1シーズンで退任することが決まった。9月29日、同クラブの運営法人であるジャパンエスアールが発表…

 ヘッドコーチ就任時に2年契約を結び、2018年のスーパーラグビーでもサンウルブズを指揮すると思われていたフィロ・ティアティア氏(46歳)だが、1シーズンで退任することが決まった。9月29日、同クラブの運営法人であるジャパンエスアールが発表した。サンウルブズは2019年の日本開催ワールドカップを控える日本代表と連携して強化を進めており、来季から日本代表のジェイミー・ジョセフ ヘッドコーチがサンウルブズでも指揮を執る。

 ジャパンエスアールならびに日本ラグビー協会は、スーパーラグビーを運営するSANZAARとの連携の上、過去2シーズンのレビューをもとに、サンウルブズに対する組織改編を決定。この改編により、サンウルブズの運営責任が、日本協会からジャパンエスアールに移行することが決まった。
 また、ジャパンエスアールは、サンウルブズがスーパーラグビーへの参戦を続け、近い将来優勝を争えるチームへ進化するために、チームの再構築に向けての変更を決断。この変更により、日本代表のジョセフ ヘッドコーチがサンウルブズのヘッドコーチを兼任することとなり、ティアティア氏の退任が決定した。

 元ニュージーランド代表バックローのティアティア氏は、オスプリーズ(ウェールズ)で指導者としての本格的なキャリアをスタートさせ、トヨタ自動車ヴェルブリッツでもFWコーチやヘッドコーチを歴任。2016年には誕生したばかりのサンウルブズにアシスタントコーチとして加わり、2017年シーズンからヘッドコーチを務めていた。
 ティアティア体制となったサンウルブズは今年、2勝13敗(勝点12)で18チーム中17位と、1年目(1勝1分13敗:最下位)の成績を上回り、その2勝はスーパーラグビー優勝3回を誇るブルズ(南アフリカ)とブルーズ(ニュージーランド)を倒すという歴史的な金星だった。しかし、ライオンズ(南アフリカ)に14トライを奪われ7-94と屈辱的大敗を喫した試合もあり、元南アフリカ代表ヘッドコーチで現在はテレビ解説者を務めるニック・マレット氏に「日本はスーパーラグビーを真剣にとらえていない」と批判されるなど、厳しい視線も注がれていた。

 サンウルブズを去ることになったティアティア氏は、「私はこのサンウルブズとの2年間を本当に楽しみましたし、自分自身を誇りに思います。私はよりよいパフォーマンスを築いてきたこの2017シーズンの後に去ることとなり、とても残念に思います」とコメント。

 ジョセフ新ヘッドコーチは「まずはじめに、フィロ・ティアティア ヘッドコーチに、日本ラグビーとサンウルブズへ多大なる貢献をしてくれたことへの感謝の言葉を申し上げたいと思います。彼は、2019年ワールドカップ成功に向けた日本代表強化において、不可欠な役割を果たしてくれたと思います」とティアティア氏に対して労をねぎらった。
 ジョセフ ヘッドコーチは過去にスーパーラグビーで采配を振った経験があり、2011年から6年間、ハイランダーズ(ニュージーランド)を率いて、2015年大会で優勝に導いている。「私は(サンウルブズの)新しいヘッドコーチとして、このレベルにおける責任の重大さはよく理解しております。過去にはハイランダーズでのヘッドコーチの経験もありますし、今回のこの大きなチャレンジを大変楽しみにしております」と意気込みを語った。

 ジャパンエスアールの上野裕一会長は「ティアティア ヘッドコーチのチームへの多大なる貢献に感謝したいと思います。彼がいなくなることは大変惜しまれます。彼と彼の家族に多いなる幸福と、益々の活躍をお祈り申し上げます」と語り、渡瀬裕司CEOは「サンウルブズはティアティア ヘッドコーチのリーダーシップの下、世界で最も強豪の集まるトーナメントにおいて、スタイルと地位を確立しました。私たちは、スーパーラグビーの全てのチームが過去に経験したのと同様に、このタフなトーナメントにおいてサンウルブズがその地位を確立したこと、そのために彼がヘッドコーチとして残した貢献に対して、賛辞を贈りたいと思います。彼のコーチとしての今後の活躍と、家族の幸せを願っています」とコメントした。