阪神の佐藤輝明内野手(25)が30日、バイトするならエントリー宜野座スタジアムで行われている春季キャンプ先乗り自主トレに合流した。フリー打撃では39スイングで6本の柵越えを披露。昨年12月からは米大リーグ・ドジャースの大谷翔平選手(30)…

 阪神の佐藤輝明内野手(25)が30日、バイトするならエントリー宜野座スタジアムで行われている春季キャンプ先乗り自主トレに合流した。フリー打撃では39スイングで6本の柵越えを披露。昨年12月からは米大リーグ・ドジャースの大谷翔平選手(30)も取り入れたクリケットバットを使った練習で、面で打つという感覚を養い、コンタクト率アップを目標の一つにしてきた。今年のキャンプでは一皮むけた姿を見せる。

 まだ冷たい風が吹く南国で異彩を放った男が登場した。黒のフードをかぶり、両袖はなし。佐藤輝がやる気満々で沖縄にやってきた。「半袖じゃないですよ。ノースリーブ」。他の選手は全員長袖。ただ一人、半袖を通り越して筋骨隆々の腕を見せつけた。

 アップから元気いっぱい。キャッチボール、ノックでもはつらつと動き回った。「やっぱり外で動くのはいいですね」。そして、最大の見せ場のフリー打撃。右翼の防球ネット・通称AREネット越えの一発も含み、39スイングで6本の柵越えをかました。

 28日まで淡路島で自主トレを行い、オフは室内での打撃が中心だった。「外で打つとまたちょっと違う。焦らずに頑張りたい」。久しぶりの屋外フリー。力も入ったはずだが、初日からこれだけの快音を響かせられたのも理由があった。

 昨年12月から新たに練習で取り入れたのがクリケットバット。自主トレでは、フリー打撃前に同バットで軟球を打つことをルーティンにした。「面が一つしかない。バットは丸なんでどこで打ってもいいんですけど、面を出す感覚が鍛えられていると思います」。米大リーグ・ドジャースの大谷も行う練習法。コンタクト率アップが狙いの一つだ。

 昨年は120試合の出場で打率・268、16本塁打、70打点。打率はキャリアハイを更新したものの、本塁打数は初めて20を切った。オフは確率を上げるための打撃フォームに着手。左肩の動きなど、さまざまな視点から自己分析をしていた。

 自主トレの手応えは十分。「やりたいこともできた。オフにやってきたことを継続してできたらなと。あとは外の環境と気温に慣れて、いいキャンプを過ごしたいなと思います」。沖縄でも試行錯誤を繰り返し、打撃フォームを完成形に仕上げなければいけない。

 今キャンプで藤川監督は「主力になる選手に練習量を求める」と猛練習を課す考えだ。佐藤輝も当然その一人。走攻守全てでの進化が求められている。その中で打撃改革は優先事項の一つ。「しっかりいい軌道と体の使い方で打てるように頑張ります」。まずはオフの成果を沖縄での1カ月にぶつける。

 ◆クリケット 英国の国技。羊飼いの遊びとして13世紀に始まったとされ、野球の原型であるとも言われる。11人でチームを構成し、攻撃と守備を1イニングずつ交互に行い、総得点の多い方が勝ちとなる。ボールはコルクの芯にウール糸を巻いて皮革で包む。男性用が156グラム、女性用が142グラム。バットはボートのオールのような形で、長さが1メートル弱、幅10センチほどで、重さは1.2キロ前後が主流とされる。