PGAツアーの選手たちが、バウンスの異なる複数のロブウェッジを携えて転戦するのは、特に変わったことではない。コースのコンディションは毎日、天候や芝などで変わる。多くの選手は地面が硬いコンディションに備えてローバウンスモデルを、軟らかい状況…

ディフェンディングチャンピオンとしてペブルビーチに帰ってきたクラーク(Tracy Wilcox/PGA TOUR via Getty Images)

PGAツアーの選手たちが、バウンスの異なる複数のロブウェッジを携えて転戦するのは、特に変わったことではない。コースのコンディションは毎日、天候や芝などで変わる。多くの選手は地面が硬いコンディションに備えてローバウンスモデルを、軟らかい状況に備えてハイバウンスのオプションを用意する。

「AT&Tペブルビーチプロアマ」のディフェンディングチャンピオンであるウィンダム・クラークも、2本のロブウェッジで転戦しているが、彼のバウンス特性の違いは独特だ。クラークは異なるグラインドやバウンスのモデルを使用するのではなく、同じAグラインドの60度と58度を曲げ、いずれも59度に仕上げている。この一風変わったテクニックにより、クラークは昨季のツアーにおける10~20ydのスクランブリングで15位、そして10yd以内のスクランブリングで30位にランクインした。

ロフト58度を調整した59度のウェッジ(GolfWRX)

今週のペブルビーチGLのグリーンの平均面積は年間のツアー大会で最小の3500平方フィート。スクランブリングが極めて重要になる。ボーケイのツアー担当者であるアーロン・ディルによると、ウェッジはロフトを1度変えると、バウンスも1度ずつ変化するとのこと。例えば、1度ストロングに曲げると、バウンスは1度減少する。1度ウィークに曲げると、バウンスは1度増えるのである。

つまりロフト60度を59度に調節することで、バウンスは1度減り、58度を59度に曲げることで、バウンスが1度増える。そう、クラークの2本の59度はバウンスが2度違うのだ。ディルによると、ウェッジは曲げる方が、手作業でソールを削るよりも、2本により高い一貫性を持たせることができるという。この手法により、クラークは2本とも好みのAグラインドのウェッジを使える。

ディルは「A(グラインド)は薄めのソールで、わずかに上反りが入っていますが、ローバウンスで、とても抜けが良い。彼はその感触を好む傾向にあります。もっとバウンスの高いものだと、彼はターフにバウンスを取られてしまうため、やりづらさを感じるのです。彼はバウンスが少なく、薄めで、ヘッドが速く動く方が、スイングの自由度が上がり、望み通りのショットが打てるようになるのだと思います」と語る。

こちらは60度から調整(GolfWRX)

クラーク自身はタイトリストのプレスリリースでAグラインドのウェッジについて、「僕のバッグで恐らく最も重要なクラブ」だと説明。「タイトなライ、ラフ、濡れたライ、あるいは硬いライ…なんであれ、望み通りのショットが打てるし、スピン量や弾道など、全てが思い通りになる」と述べている。

タイトリストがウェッジワークスのカスタムプラットフォームにて、58度と60度のAグラインドウェッジを公式にリリースしたのは、ギアファンにとって朗報と言えるだろう。Aグラインドのバウンス角は4度で、これは元々、ディルと2006年「全米オープン」王者のジェフ・オギルビーのコラボレーションで誕生したモデルである。

ディルはタイトリストのプレスリリースで、「私がジェフと会話した際、その話題はオーストラリアのゴルフコースや、それらがアメリカや世界中のコースと比較してどう違うかということに及びました。オーストラリアや欧州に限らず、世界中でプレーヤーたちが直面する硬いリンクススタイルのコンディションに適したロブウェッジの新たなグラインドオプションを設計するに至った。ジェフは常々ローバウンスの60度ウェッジを使用するプレーヤーだったので、私は彼のLグラインドの60度ウェッジを調整した。これにより結果的に芝からの抵抗が少なく、抜けの良いグラインドができ上がったのです」と述べている。

(協力/ GolfWRX, PGATOUR.com)