阪神・前川右京外野手(21)ら1軍の宜野座キャンプ組を中心とした選手36人が28日、先乗り自主トレに参加するため沖縄入りした。高卒4年目の前川は藤川監督の複数ポジション制に呼応し、本職の外野グラブに加えて、ファーストミットも持参した。一塁…
阪神・前川右京外野手(21)ら1軍の宜野座キャンプ組を中心とした選手36人が28日、先乗り自主トレに参加するため沖縄入りした。高卒4年目の前川は藤川監督の複数ポジション制に呼応し、本職の外野グラブに加えて、ファーストミットも持参した。一塁は大山が不動だが、チームの危機管理に備えてキャンプでは一塁練習にも取り組む。
気温15度。南国の地に降り立つ前川の目はぎらついていた。沖縄に持参したのは本職の外野グラブだけではない。藤川監督の複数ポジション制に呼応するように、ピカピカのファーストミットもバッグに忍ばせていた。
「本格的にやることはないと思いますけど、何か言われた時に準備しておこうと思って。どこでも試合に出られるなら必死に頑張ります」。プロでは左翼が主戦場。最後に一塁を守ったのは智弁学園高の1年秋で、ミットは26日にSSK社から届いたばかりの新品だという。
藤川監督は21日のスタッフ会議後に「たくさんの選手に複数ポジションにトライしてもらうことになると思います」と明言。主力選手に対しても「チーム方針に関しては従ってもらう」と例外ではないと強調していた。一塁には主砲・大山が控えるが、143試合の長丁場ではケガなど思わぬアクシデントに見舞われる可能性がある。昨秋は井上が一塁に本格挑戦し、新助っ人・ヘルナンデスも一塁を守る。チームの危機管理として、前川も春季キャンプでは一塁守備に取り組んでいく。
「2月は全てにおいてレベルアップできたらいいなと思います。ちゃんとケアしないとケガするんで、そこだけは徹底してやっていきたい」
沖縄での1カ月がどれほど大切か、前川は身をもって知っている。2年前の23年は1軍キャンプメンバーに抜てきされながら、直前の負傷で無念の2軍スタートに。当時の岡田監督からは厳しい言葉を投げかけられた。その悔しさを晴らすように、昨春は1軍キャンプを完走。実戦8試合で打率・437、1本塁打で“キャンプMVP”に選ばれると、シーズンでも大ブレークを果たした。昨季は116試合で打率・269、4本塁打、42打点。成績以上にケース打撃など状況に応じた打撃で存在価値を高めた。真のレギュラーへ、今年がより重要な1年になると前川は分かっている。
「やることは去年同様、本当に一からのスタートなんで。その辺も変わることはないですし、一からステップアップして、信頼を得られるように結果を残したい」
野武士のような雰囲気を漂わせる21歳は一切の甘えを感じさせない。“球児野球”に応え、確固たる地位を築き上げる。
◆前川の出場試合守備位置 前川は23年に1軍では右翼のみで22試合に出場、1軍に定着した24年には左翼で92試合、右翼で1試合出場した。また、2軍では22年に左翼で9試合、23年には左翼で6試合、右翼で15試合に出場しているが、プロ入り後は1、2軍とも内野で出場したことはない。