ドジャース・大谷翔平選手(30)を取材してきたデイリースポーツ大リーグ担当・小林信行記者が、心に残る出来事を思い返し、今季を占う「大谷新伝説へ」。第5回は、今季から二刀流復活となる中で、まずは昨年、「50-50」も達成し、MVPにも輝いた…
ドジャース・大谷翔平選手(30)を取材してきたデイリースポーツ大リーグ担当・小林信行記者が、心に残る出来事を思い返し、今季を占う「大谷新伝説へ」。第5回は、今季から二刀流復活となる中で、まずは昨年、「50-50」も達成し、MVPにも輝いた打撃面について。投手として復活することで負担が増すことになるが、MLBのデータシステムによる予測なども踏まえながら展望する。
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「TWP(TWO-WAY PLAYER)」。19年にMLBで新たな登録枠がつくられるきっかけとなった大谷が、二刀流復活を期して8年目のシーズンに臨む。
23年途中に右肘靱帯(じんたい)を損傷。同年9月に、自身2度目となる手術を受けた。昨季はリハビリのため、打者に専念。試合に出場しながら投球プログラムに取り組んでいた。
キャッチボールでは球速を時速150キロまで取り戻し、全力ではなかったが、ブルペンでも投球練習を行った。10月のプレーオフでは救援登板の可能性が話題になるほどまで強度を上げた。ところが、ワールドシリーズで左肩を脱臼。11月に関節唇修復手術を受けた。
注目される3・18、東京での開幕戦。「もちろん、スタートから投げる、打つという目標で動いている。開幕を目指している」。手術を受けた直後、昨年11月中旬に行われたMVP受賞会見で、大谷は東京ドームでの二刀流での出場に意欲を見せた。
投打同時出場による疲労や、肉体的負担の大きさは言うまでもない。打撃への影響が懸念されるが、ここに心強い統計がある。MLBデータサイト「ファングラフス」が成績予測システム「ZiPS」による打者・大谷の2025年打撃成績を掲載している。
打率・290
45本塁打
139打点
42盗塁
21年から“リアル二刀流”(同一試合に投打で出場)を実践している大谷は、最初の2年は精彩を欠いた。登板時の打撃成績は、1年目は20試合で打率・233(60打数14安打)、3本塁打、8打点。2年目の22年は28試合で打率・257(101打数26安打)、2本塁打、15打点。ところが、3年目にしっかりアジャスト。23試合で打率・372(78打数29安打)、7本塁打、15打点と見事な数字を残している。
ドジャースのワールドシリーズ連覇、そして、大谷の3年連続MVPに注目が集まるシーズン。どちらも死角は見当たらない。昨年以上のフル回転となっても、過去を踏まえて、さらにレベルアップした姿を見せてくれるはずだ。