文:座間辰弘(ラリーズ編集部)、Photo by VCG/VCG via Getty Images【大会総括】とにかく中国の壁は厚かった9月24日(日・現地時間)に全日程が終了したITTFオーストリアオープンは、6種目中5種目を中国が制覇。…
文:座間辰弘(ラリーズ編集部)、Photo by VCG/VCG via Getty Images
【大会総括】とにかく中国の壁は厚かった
9月24日(日・現地時間)に全日程が終了したITTFオーストリアオープンは、6種目中5種目を中国が制覇。男女シングルスはともに中国選手同士の決勝戦となり、選手層の厚さを見せた。
特に女子シングルスは終わってみればベスト4を中国が独占。世界ランクが日本選手の方が上という対戦も多くあったが、今大会は中国勢に競り負けた。
唯一中国が金メダルを逃した男子ダブルスでは丹羽孝希・上田仁ペアが優勝し、意地を見せた。
また、地元オーストリアのベテラン勢が活躍し、中国選手を追いつめる場面もあった。
シングルスは日本男女とも苦戦
男子のシングルス決勝トーナメントには、丹羽、松平、大島、吉田、吉村、森薗の6人の日本男子が勝ち残った。
接戦を勝ち抜き、準々決勝に進出したのは、前回覇者の松平健太と世界ランク9位の丹羽孝希。ともに中国選手との対戦となったが、両者とも接戦の末に敗れた。
特に松平健太は先に方博(中国)をセットカウント3-1と追いつめるも、最後の1セットが遠く3-4で敗戦。丹羽孝希は先週のアジアカップを制した林高遠(中国)と7度目の対戦。林高遠との対戦成績は3勝3敗の互角だったが、今回は丹羽孝希が先にミスをする場面が多く、1-4と敗れた。
大学生選手は田添健汰(専修大)、森薗政崇(明治大)の2人がエントリー。田添健汰は、ほぼ同年代の林兆恒(香港)に予選で敗れる。林兆恒は今年の中国オープンで林高遠を破っている実力者である。森薗政崇は趙勝敏(韓国)を予選で破り決勝トーナメントに進出。1回戦で、前回準優勝のカルデラノ(ブラジル)に2-4で敗れた。
前回覇者の伊藤美誠不在の女子のシングルス決勝トーナメントには、14人の日本女子が勝ち残り、うち11人が1回戦で敗れた。敗れた11人のうち7人は中国選手と対戦し勝つことが出来なかった。石川佳純、平野美宇も中国選手に敗れ、1回戦で敗退した。
準々決勝に唯一残った早田ひなも中国の顧玉婷に2-4で敗れた。
日本勢のダブルスは男子が優勝、女子が決勝進出
男子ダブルスは、丹羽孝希・上田仁ペアが優勝。中国ペアを破って決勝に勝ち上がったフィルス(ドイツ)・ウォルター(ドイツ)ペアを3-1で破った。上田仁は、ブルガリアオープンでも吉村真晴とペアを組んで優勝している。森薗政崇・大島祐哉の次にブレイクするダブルスプレイヤーではないだろうか。
女子ダブルスは、2ペアが準決勝まで勝ち上がる。しかし、陳幸同・孫穎莎(中国)ペアに、準決勝で加藤美優・長﨑美柚ペアが敗れると、続く決勝で佐藤瞳・橋本帆乃香ペアがセットカウント2-1でリードするも、フルセットの末敗れた。
地元オーストリアでベテランが健闘
今大会は元世界チャンピオンのシュラガー(オーストリア)が観戦に来ていた。シュラガーは2003年の世界選手権で優勝候補だった中国選手を次々に破り、決勝では韓国のカットマン、朱世赫に勝ち初優勝した選手。実はこの時、シュラガーは既に30歳を越えておりベテランの域に入っていた。以降オーストリア選手はベテランでも活躍する選手が多い。
今大会でもオーストリア女子のポルカノヴァが中国選手と組んだダブルスで準決勝まで勝ち上がる活躍を見せると、オーストリア男子はシングルスで最も中国選手を追いつめた。
38歳のガルドシュは林高遠から2セットを連取。続く2セットを林高遠に取り返されるも、終盤での相手のミスが連続した5セット目をとり、3-2に。その後も一進一退の攻防が続くが、紙一重のラリーの差で林高遠が逃げ切った。
同じくオーストリアのフェゲルルも閻安(中国)から2セットをとり健闘したが、最後の2セットは点差が開き追いつけなかった。
オーストリアの男子選手は、シュラガーをほうふつとさせるフォームのサーブから回転量の多い両ハンドでプレーをする。
クニックスホーフェンの板垣氏
Rallysの人気動画コーナー「今日の1試合」の監修を担当している板垣氏もオーストリアオープンに足を運び、クニックスホーフェンに在籍するKillan(ドイツ)のベンチに入っていた。Killanは世界ランキング167位で、ドイツ選手のなかでは11番目にあたる。ここ数年でランキングを徐々に伸ばしてきた。
今回、KillanはU21と一般部門に参戦。U21では中国選手に惜しくも敗れる。一般部門では板垣氏の青森山田時代の教え子「マサ」こと森薗政崇と対戦。勝負所でミスの無いプレーをした森薗に軍配があがった。
しかし、Killanは卓球を始めてまだ6年目。今後国際大会で経験を積み、成長を続ければドイツ代表になる可能性もある。
マサ(森薗選手)に完敗【ITTF オーストリアオープン2日目】(Shakehands 板垣孝司ブログ)
男子最終結果
シングルス
優勝:林高遠(中国)、準優勝:閻安(中国)、ベスト4:方博(中国),ゴジ(フランス)
ダブルス
優勝:丹羽孝希・上田仁、準優勝:フィルス(ドイツ)・ウォルター(ドイツ)、ベスト4:何鈞傑(香港)・黄鎮廷(香港),方博(中国)・周雨(中国)
U-21
優勝:薛飛(中国)、準優勝:趙勝敏(韓国)
女子最終結果
シングルス
優勝:王曼昱(中国) 準優勝:顧玉婷(中国) ベスト4:孫穎莎(中国),顧若辰(中国)
ダブルス
優勝:陳幸同・孫穎莎(中国)準優勝:佐藤瞳・橋本帆乃香 ベスト4:ポルカノヴァ(オーストリア)・王芸迪(中国),加藤美優・長﨑美柚
U-21
優勝:張瑞(中国)、準優勝:前田美優
日本男子シングルス結果(決勝トーナメント)
準々決勝
松平健太 3 (13,6,-8,11,-5-5,-4) 4 方博 (中国)
丹羽孝希 1 (-5,-5,-11,10,-4) 4 林高遠 (中国)
Round of 16(ベスト8決定戦)
松平健太 4 (-8,9,-6,5,9,5) 2 ルベッソン(フランス)
𠮷田雅己 1 (3,-3,-11,-9,-7) 4ゴジ(フランス)
丹羽孝希 4 (-10,7,8,9,-6,-8,7) 3 フィルス(ドイツ)
Round of 32(1回戦)
松平健太 4 (-10,6,5,-7,6,-8,14) 3 グロース(デンマーク)
吉村真晴 2 (9,-11,-7,-9,11,-7) 4 呉柏男 (香港)
𠮷田雅己 4 (-6,9,8,-8,6,5) 2 ROBLES Alvaro (スペイン)
森薗政崇 2 (-0,7,-7,9,-9,-8) 4 カルデラノ(ブラジル)
大島祐哉 1 (-8,-5,-6,4,-4) 4 シュテガー(ドイツ)
丹羽孝希 4 (8,-5,7,7,6) 1 モンテイロ(ポルトガル)
日本女子シングルス結果(決勝トーナメント)
準々決勝
早田ひな 2 (-6,-9,4,-8,8,-7) 4 顧玉婷 (中国)
Round of 16(ベスト8決定戦)
加藤杏華 0 (-8,-2,-10,-7) 4 杜凱琹(香港)
早田ひな 4 (6,9,-8,-5,6,5) 2 NI Xia Lian(ルクセンブルク)
浜本由惟 0 (-6,-5,-8,-12) 4 顧玉婷(中国)
Round of 32(1回戦)
前田美優 2 (9,-7,-4,8,-5,-5) 4 陳夢 (中国)
長﨑美柚 2 (-11,10,-7,9,-9,-3) 4 李皓晴 (香港)
加藤杏華 4 (9,11,6,9) 0 LIU Jia (オーストリア)
松澤茉里奈 2 (8,-9,-8,-3,4,-4) 4 杜凱琹 (香港)
森さくら 0 (-8,-3,-11,-2) 4 陳幸同 (中国)
芝田沙季 1 (-4,-6,9,-3,-8) 4 孫穎莎 (中国)
石川佳純 1 (-9,-10,9,-9,-8) 4 王芸迪 (中国)
加藤美優 3 (-7,7,-8,5,-9,6,-2) 4 張瑞 (中国)
塩見真希 1 (8,-5,-5,-12,-8) 4 YU Fu (ポルトガル)
佐藤瞳 3 (-8,9,6,-10,7,-9,-3) 4 顧若辰 (中国)
橋本帆乃香 3 (9,5,-6,-6,5,-14,-16) 4 NI Xia Lian (ルクセンブルク)
早田ひな 4 (7,5,-12,7,9) 1 LI Qian (ポーランド)
浜本由惟 4 (11,9,6,7) 0 HU Melek (トルコ)
平野美宇 2 (6,-5,-8,-18,8,-6) 4 顧玉婷 (中国)
決勝
丹羽孝希・上田仁 3 (7,-9,9,8) 1 フィルス・ウォルター(ドイツ)
準決勝
丹羽孝希・上田仁 3 (10,10,9) 0 何鈞傑・黄鎮廷(香港)
準々決勝
森薗政崇・大島祐哉 1 (-8,-6,9,-7) 3 何鈞傑・黄鎮廷(香港)
丹羽孝希・上田仁 3 (6,12,5) 0 ANTHONY Amalraj・GNANASEKARAN Sathiyan(インド)
決勝
佐藤瞳・橋本帆乃香 2 (4,-7,7,-10,-4) 3 陳幸同・孫穎莎 (中国)
準決勝
佐藤瞳・橋本帆乃香 3 (9,7,4) 0 ポルカノヴァ(オーストリア)・王芸迪(中国)
加藤美優・長﨑美柚 0 (-6,-8,-6) 3 陳幸同・孫穎莎(中国)
準々決勝
佐藤瞳・橋本帆乃香 3 (-11,7,6,6) 1 HU Melek(トルコ)・LIU Jia(オーストリア)
加藤美優・長﨑美柚 3 (-10,8,6,8) 1 杜凱琹・李皓晴(香港)