柏MF小泉佳穂が16日、柏市内で練習後に取材に応じ、今冬に浦和から完全移籍した胸中を明かした。 チームカラーの黄色い練習着に身を包み、小泉は軽快にプレーした。「柏に来ていいなと思ったのは、服の色がいい。黄色がすごく気に入ってます。自分がこ…

 柏MF小泉佳穂が16日、柏市内で練習後に取材に応じ、今冬に浦和から完全移籍した胸中を明かした。

 チームカラーの黄色い練習着に身を包み、小泉は軽快にプレーした。「柏に来ていいなと思ったのは、服の色がいい。黄色がすごく気に入ってます。自分がこの服を着てるのがしっくりくるのは、うれしかった」。チーム始動からまだ2週目だが「すごく楽しくサッカーできてる」と充実の表情を浮かべた。

 浦和では21年に天皇杯で優勝し、23年のACLを制覇するなど4年間プレー。今回の移籍は「迷いは当然ありました」と振り返った。

 25年のリーグ制覇、クラブW杯に向けて浦和が大型補強を進める中、昨年12月下旬に柏からオファーを受けた。「返答の期限は短かった中でギリギリまで悩みました」。移籍の内情については「(話すのは)難しいですね」と詳しい言及はしなかったが、最終的には「環境を変えてチャレンジしたかった」と決意した。オフ期間に浦和のチームメートや関係者に移籍の報告と感謝を伝え、「みんな決断を尊重して『頑張れ!』と言ってくれた」と明かした。

 柏は今季、スペイン出身のリカルド・ロドリゲス監督を招へい。小泉は浦和時代の21~22年に指導を受けた恩師と再びタッグを組むことになった。

 指揮官からは個人面談で「浦和でやっていて、タイトルを取ったのはあるけど、当然、横並びのスタートで競争はあるから、勝ち残ってくれ」と厳しく、熱い言葉を受けた。「攻撃的な、主導権を握るサッカー」を掲げるロドリゲス監督の戦術は体に染みついている。「プレーでも声でも分かるところは(チームメートに)伝えてほしい」と言われたというが、小泉は「必死ですね。そのフェーズにはいってないです」。新天地で自身をアピールするため、もがく日々が続いている。

 28歳。青学大から琉球、浦和を経て、プロ7年目に入った。「僕はあと5年やろうと目標を決めました。サッカー人生の後半にさしかかってる。そんなに先は長くないぞと自分にハッパをかける意味もある。半分冗談ですけど、あと10年やるのはしんどすぎるというのはあります」

 あと5年―。そう決めた小泉には、心に思い描くキャリアがある。

 「サッカー選手をやめた後、監督や指導者をやりたい。僕の感覚では、35~38歳で引退して、そこからいつになったら自分の望むカテゴリーで指導者ができるか。早く、自分にも学ぶ意欲や吸収力、体力があるうちにやりたい気持ちがあります」

 以前から「35歳、40歳までに監督をやれるように勉強したい」と口にしていた小泉。目標から逆算した上での「5年」だった。

 トップ下や中盤を主戦場とする両利きのゲームメーカー。移籍1年目の今季へ「チームとしてタイトルを取りたい」と抱負を語った後、「個人としては…」と言葉をかみしめながら目標を口にした。

 「ミクロなところでチャレンジしてることはいくつかあります。ボールの持ち方、ポジショニングや体の向き、パスの出し方。いちいち自分の映像を見て、細かく修正、上達できるようにチャレンジしている。それをピッチの結果につなげられるかが今年のチャレンジ。そこを楽しみたい」。

 「楽しむ」「チャレンジする」。迷いを振り払い、前向きな言葉を多く発した小泉は、新シーズンに臨む強い決意をにじませた。