◆大相撲初場所4日日(15日、東京・両国国技館) 西前頭3枚目の王鵬が初日から4連勝とした。昭和の大横綱・大鵬の孫は3戦全勝同士の対決となった関脇・大栄翔を引き落としで破り、新三役へ弾みを付けた。先場所優勝の大関・琴桜は、元大関の西前頭筆頭…

◆大相撲初場所4日日(15日、東京・両国国技館)

 西前頭3枚目の王鵬が初日から4連勝とした。昭和の大横綱・大鵬の孫は3戦全勝同士の対決となった関脇・大栄翔を引き落としで破り、新三役へ弾みを付けた。先場所優勝の大関・琴桜は、元大関の西前頭筆頭・霧島に寄り切られ、早くも3敗目を喫して場所後の横綱昇進は絶望的となった。同じく綱取りの大関・豊昇龍は東前頭筆頭の隆の勝を突き落としで下し、4連勝。全勝は平幕の千代翔馬、玉鷲、金峰山を加えた5人となった。

 王鵬が不利な展開でも勝ちきった。立ち合いから大栄翔の猛烈な突き押しで土俵際に追い詰められたが「土俵を割るまでは勝ち筋がある」と冷静に対応。相手の左腕をたぐり寄せ、右足一本で耐えて、逆転の引き落としを決めた。支度部屋では詰められた場面で余裕があったかと問われ「ないです」と苦笑しながらも、「でも、体はしっかり動いてるんで」と胸を張った。

 「昭和の大横綱」大鵬の孫として注目を浴びるが、常に自然体だ。心身ともに充実ぶりを見せている。幕内での初日からの4連勝は22年秋場所以来2度目。相手も小結・阿炎、若隆景、関脇の若元春、大栄翔と実力者から価値ある4つの白星を挙げた。西前頭2枚目で迎えた昨年秋場所で9勝6敗の好成績も、新三役にあと一歩届かず。足踏みが続いているが「毎場所狙ってはいるんで」と三役、初の三賞への思いは強い。

 同場所中に右眼窩(がんか)底を骨折した。物が二重に見える状況で昨年10月に手術を受けた。術後3日で体を動かし始め、九州場所は負け越したものの、皆勤した不屈の精神の持ち主だ。八角理事長(元横綱・北勝海)も「気持ちがある。顔をけがすると頭から行けないものだが、頭から行っていた。こういう相撲を取れば三役に上がるでしょう」と高く評価した。

 ここからが本当の戦いになる。5日目からは1横綱3大関との取組が待つ。「(4連勝は)体が動いてる証拠。しっかり持続して、つなげていかなきゃいけない」。新春土俵の主役になるべく、気鋭の24歳は言葉に力を込めた。(林 直史)