「大相撲初場所・4日目」(15日、両国国技館) 不惑の鉄人が25歳のホープを一蹴した。玉鷲(40)=片男波=が無傷の4連勝。昨年の春場所で新入幕優勝を果たした尊富士=伊勢ケ浜=との全勝対決で、一方的に押し出した。横綱照ノ富士(伊勢ケ浜)は…

 「大相撲初場所・4日目」(15日、両国国技館)

 不惑の鉄人が25歳のホープを一蹴した。玉鷲(40)=片男波=が無傷の4連勝。昨年の春場所で新入幕優勝を果たした尊富士=伊勢ケ浜=との全勝対決で、一方的に押し出した。横綱照ノ富士(伊勢ケ浜)は翔猿(追手風)に送り出され金星を配給。2勝2敗となり、休場が危ぶまれる状況になった。綱とりの両大関は明暗が分かれた。琴桜(佐渡ケ嶽)は霧島(音羽山)に寄り切られ3連敗となり、場所後の横綱昇進は絶望的となった。豊昇龍(立浪)は隆の勝(常盤山)を逆転で突き落とし、無傷4連勝となった。

 玉鷲が尊富士を吹っ飛ばした。幕内前半戦で関取、付け人がひしめき合う支度部屋に「すげえ」とどよめきが起こった。

 立ち合いで圧力をかけ、引いた相手を逃さず一気に押し出した。国技館も大きく沸き「自分の相撲、いい相撲を取りたかった。今日はいい仕事をした」と胸を張った。

 昨年春場所で新入幕優勝を果たした25歳のホープ、尊富士の鋭い出足を止め「それが一番うれしい。若いし優勝経験もあるからね」とうなずいた。

 昨年の九州場所中に40歳の誕生日を迎え、昭和以降では史上4人目の40代勝ち越しを達成。ただ、最近は幕内下位に定住するだけに、下馬評を覆した格好だ。

 師匠の片男波親方(元関脇玉春日)は「流れがいい。彼の本能でしょうね。いいときが時々出てくる」と評価する。師匠によると玉鷲は突発的に絶好調になり、2日目の美ノ海戦で確信したという。

 好調を維持すれば大関も夢ではないはずだが、親方は「私もそう思います。でもできない。突然できるのが不思議なところ。相撲理論を言っても、本人はピンとこない。彼の感覚です」と苦笑。

 難しい日本語を突然使い出す事もあるといい「辞書を引いているのは見たことがない。彼の感覚でしょう」と明かした親方。玉鷲の過去2度の優勝を「こんな感じでしたね」と述懐した。

 今場所は妻の弟である玉正鳳が31歳で新入幕し、義兄弟での土俵入りが成就。これまでにない刺激を、玉鷲は「まあ何か感じてくれたらね」と義弟に向け優しく語った。