阪神・石井大智投手(27)が15日、兵庫県西宮市内のキックボクシングジム「ファイヤーファイターズジム」で自主トレを公開した。本格的に取り組んでいる異例の格闘技トレは、投球につながる動きがあり、ストレス発散効果も。昨季は自己最多の56試合に…

 阪神・石井大智投手(27)が15日、兵庫県西宮市内のキックボクシングジム「ファイヤーファイターズジム」で自主トレを公開した。本格的に取り組んでいる異例の格闘技トレは、投球につながる動きがあり、ストレス発散効果も。昨季は自己最多の56試合に登板した右腕は、自身初タイトルとなる最優秀中継ぎ投手へ意欲を見せた。

 ジムに小気味よくミットを打つ音が響いた。ジャブ、ストレート、フックにアッパー。石井は約1時間も激しい動きを続け、額には汗がにじみ、息が上がる。「キツい!」。ハードなトレーニング中、膝をつきながら何度も心の声が漏れた。

 「自分の中で、投げる感覚がパンチする感じだったり、肩甲骨を出していく感じにすごく似ていた。足も使うし、すごく野球に役立つ。かつストレス発散というか、遊びの中でいいトレーニングができている」

 秋季キャンプを終えた昨年12月。「オフしかできない特別なこと」と指を鍛えるためのボルダリングとともに、キックボクシングを始めた。自主トレはウエートトレーニングでの筋肥大が中心だが、合間を縫ってジムに通っている。

 異例のトレーニングは体力を使うだけではなく、さまざまな技を連続させる複雑な作業もある。「こんがらがって打つ方を間違えたりするけど、脳にとってはいいと思う」と頭の回転も求められる。思い描く動きと実際の動作を一致させることが重要で「(投球の)パフォーマンスを上げる中で、大事なポイントになってくる」と話した。

 昨季は自己最多の56試合に登板して4勝1敗30ホールド、防御率1・48。5年目の今季も勝ちパターンの一角として期待される右腕は「50試合は登板したい」とノルマを課し、「任されたところをゼロで抑えると思っていなきゃいけない。また(ホールド数を)積み上げていければ」。昨季はリーグ5位の34ホールドポイント(HP)だった。最優秀中継ぎ投手のタイトルを獲得した桐敷と中日・松山の43HPとは9差。立場を確立すれば、手が届くタイトルに照準を定めた。

 今季は成績向上はもちろん、チームのV奪回に貢献する意気込みだ。「23年に優勝して、言い過ぎかもしれないけど、優勝以外、価値がないと少し感じる部分はあった」と率直な思いを明かした。「チーム一丸となって、最後は笑顔でシーズンを終われたら」。タフな右腕は今季もフル回転でブルペンを支える覚悟だ。

 【過去の主な異業種トレアラカルト】

 ◆下柳 剛 03年1月17日、都内の「高田道場」で毎年恒例の格闘技トレ。桜庭和志を相手にミット打ちなど。

 ◆中谷 将大 19年1月、グアムでの自主トレで仲田健トレーナーの指導を仰ぎ、同トレーナーが指導する陸上の山県亮太、福島千里らトップアスリートも参加。

 ◆森下 翔太 24年1月21日、中日・上林とともに大相撲の高砂部屋に体験入門。四股、すり足の基礎運動、力士の胸にぶつかるぶつかり稽古も行ったが、柔軟性が不可欠な股割りには大苦戦。

 ◆及川 雅貴&佐藤 蓮 24年12月、及川は走り幅跳びの元日本代表・荒川大輔氏の指導を受け、体の効率的な使い方を学んだ。佐藤は2年連続でやり投げの元日本記録保持者・村上幸史氏の指導で、制球力と球速アップのフォーム改善に取り組んだ。