セ・リーグ最後の20勝投手である元阪神でデイリースポーツ評論家の井川慶氏(45)が15日、阪神の新外国人投手のジョン・デュプランティエ投手(30)=前ブルワーズ=とニック・ネルソン投手(29)=前フィリーズ=の投球映像をチェックし、実力に…

 セ・リーグ最後の20勝投手である元阪神でデイリースポーツ評論家の井川慶氏(45)が15日、阪神の新外国人投手のジョン・デュプランティエ投手(30)=前ブルワーズ=とニック・ネルソン投手(29)=前フィリーズ=の投球映像をチェックし、実力に太鼓判を押した。ともに日本で活躍できるだけの実力を確認し、投球スタイルも分析。日本でのさらなる成長にも期待を寄せた。

 いくつかの映像を見させてもらっての印象となりますが、まず両選手に言えることとして、いい意味で普通に、一定のレベルに達している投手であるということでしょう。これはちょっとしんどいかもな、というところがないです。ランナーがいる場面の映像も見ましたが、ともにスライドステップと言いますか、クイックもできるように見えました。

 個々に話を移すと、まずは先発で考えられているデュプランティエ投手です。コントロールにややバラつきはありますが、高めの真っすぐは非常に力があるように見えました。あの胸の高さにくるボールは、打者からするとヒットやホームランにするのは難しいでしょうし、そこを振らせることができれば、ある程度抑えられるのかなと思います。

 球種はカットボール、スライダー、ナックルカーブ、チェンジアップ、あとはシンカー系のボールですかね。先に話した真っすぐが軸になる上で、スライダーが右打者の外と左打者の内を攻めるボールとなり、その上でシンカー系のボールを投げられるところが大きい。スライダーと逆で、右打者の内を攻められて、左打者には外に逃げるボールとなるので。あとはナックルカーブも非常に面白い。これを投げることで打者の目線も変わりますし、長いイニングを投げる上でも大事なボールになると思います。

 続いて中継ぎで考えられているというネルソン投手ですが、オーソドックスな、最近の投げ方というかテイクバックが小さいフォームですね。変なクセもないですし、ややタイミングが取りやすいかもしれないですが、だからこそボールの質がポイントになります。ナックルを投げるという話もありますが、全体的に腕もしっかり振れて、いい投手だと思います。

 あとは、それぞれまだ30歳と29歳ということで、伸びしろがあるところも魅力ですよね。この若さでも日本に来たということで向上心もあるでしょうし、さらに化ける可能性も十分にあると思います。

 一つ懸念があるとすれば、アメリカ出身でメジャーでプレーしていたというところで、日本とは環境が違いますし、生活面も含めて合うのかどうか。ただ、ここは藤川監督やスタッフがしっかりとサポートしていくでしょうし、タイガースは外国人投手を育てるのもうまいので。僕としても実際に見れば、また印象がより良く変わるかもしれないですし、いずれにしても楽しみな投手であることは間違いないです。

 ◆ジョン・デュプランティエ(Jon Duplantier)1994年7月11日生まれ、30歳。米国出身。193センチ、103キロ。右投げ左打ち。投手。2016年のMLBドラフト3巡目でダイヤモンドバックス入り。19年にメジャーデビュー。メジャー通算19試合で1勝4敗1ホールド、防御率6.70。マイナー通算は122試合で30勝13敗5ホールド、防御率4.42。

 ◆ニック・ネルソン(Nick Nelson)1995年12月5日生まれ、29歳。米国出身。185センチ、92キロ。右投げ右打ち。投手。ラザーフォード高、ガルフコースト州立大を経て16年のMLBドラフト4巡目でヤンキースと契約。20年8月1日のレッドソックス戦でメジャーデビュー。21年オフにフィリーズへ移籍。メジャー通算74試合5勝4敗1セーブ4ホールド、防御率5.20。マイナーでは通算164試合登板で109試合に先発している。