◆プロボクシング ▽WBA、WBC、IBF、WBO世界スーパーバンタム級(55・3キロ以下)統一戦12回戦 統一王者・井上尚弥―キム・イェジュン(1月24日、東京・有明アリーナ) スーパーバンタム級世界4団体統一王者の井上尚弥(大橋)に挑戦…

◆プロボクシング ▽WBA、WBC、IBF、WBO世界スーパーバンタム級(55・3キロ以下)統一戦12回戦 統一王者・井上尚弥―キム・イェジュン(1月24日、東京・有明アリーナ)

 スーパーバンタム級世界4団体統一王者の井上尚弥(大橋)に挑戦するWBO世界同級11位のキム・イェジュン(韓国)が15日、韓国で公開練習を行い「ボクシングを始めた時から世界王者になることが目標だった。今度の試合は集大成となる」と決意を口にした。また、19歳まで施設で育った自らの生い立ちなどについても明かした。

 キムは、IBF、WBO同級1位サム・グッドマン(オーストラリア)の負傷により、井上への挑戦が急きょ決まったことについて「1か月前からアンダーカードで試合をする予定だと聞いていたが、2週間前に実際に(グッドマンの代役挑戦者としてリストアップされていると)聞いた。それでも以前から井上選手を意識して練習してきたため、負担は感じなかった」と話した。

 幼少期から19歳まで養護施設で育ったという。「幼い時が一番大変だった。親がいないことで、小中学校時代は自信を失うこともあったが、20歳でボクシングを始めてからはそんなこともなくなった」と振り返った。ボクシングを始めたきっかけについては「お金を稼ぎたかった。スポーツ選手として稼ぎたかったが、ボクシングは20歳で始めても、才能があればうまくなれるスポーツだと思った。人生を変えようと思って始めたということもある。ボクシングはお金や後ろ盾など必要なくて、2つの拳で戦って全部勝てばいいスポーツ。それだけは自信があった」と語った。

 韓国ボクシング界では、2007年に元WBC世界フェザー級王者・池仁珍が王座を失って以来、世界王者が誕生していない。ただ「韓国ボクシングが今置かれている状況を背負うプレッシャーは感じていない。『対井上』の戦いだと思っている」という。

 井上の印象については「リラックスした雰囲気があり、私と似ている部分がある」とし、「練習ではいつも井上選手を意識してきた。対戦するだろうと思ったことは一度もなく、同じ階級の中でも一番強い選手なので、私にとって井上選手は練習相手のような存在だった。テンポが速く、テクニックもあるので、練習の強度を井上選手に合わせていた」と話した。

 実際に井上への挑戦が決まり「やればやるほど井上選手と戦えるレベルに近づいている実感がある。そこに戦略を加えることで、違う展開になるはず。そこはちょっと期待してもいい。私がKOすることで試合が終わってほしい」と意気込んだ。

 下馬評では圧倒的に不利だが、キム自身も「それは当然の話」と認める。一方で、ここまで日本人選手との対戦は7戦全勝と“日本人キラー”として結果を残しており「日本選手とは相性が良い。井上選手は別格だが、日本選手の特性を持っていることは事実なので、自信はある」と強気だった。

 日本のファンに向けて、メッセージも送った。「急な試合決定だが、楽しみにしてほしい。サム・グッドマン選手よりは、はるかに期待してもいいです。日本選手に対するこれまでの戦績が証明するように、面白い試合を期待してください。(日本語で)よろしくお願いします」

 戦績は、31歳の井上が28戦全勝(25KO)。32歳のキムが25戦21勝(13KO)2敗2分け。

 試合はLeminoで無料ライブ配信される。