パラアイスホッケーの国内クラブチーム日本一を決める「第33回国内クラブ選手権大会」が昨年12月7日から2日間にわたり、長野県岡谷市のやまびこの森アイスアリーナで開かれた。大会には長野サンダーバーズ、東海アイスアークス、東京アイスバーンズとロ…
パラアイスホッケーの国内クラブチーム日本一を決める「第33回国内クラブ選手権大会」が昨年12月7日から2日間にわたり、長野県岡谷市のやまびこの森アイスアリーナで開かれた。大会には長野サンダーバーズ、東海アイスアークス、東京アイスバーンズとロスパーダ関西の連合チームの3チームが参加し、総当たり戦を実施。長野サンダーバーズが全勝し、大会7連覇を達成した。
第1試合は東海が東京・関西連合に勝利
第1試合は、東海アイスアークス(以下、東海)と、東京アイスバーンズとロスパーダ関西の連合チーム(以下、東京・関西連合)が対戦。東海は2019年発足と比較的新しく、活気があるチームで、今大会は出場が叶わなかった北海道ベアーズからFW森崎天夢が加わった。一方の東京・関西連合は、ロスパーダ関西(以下、関西)のエース・FW伊藤樹がアメリカ滞在中のため不在。関西の青木栄広コーチが監督を、東京アイスバーンズ(以下、東京)のDF石川雄大がキャプテンを務め、チームをまとめた。
試合は1点を争う接戦となった。先制点を挙げたのは、東京・関西連合。第1ピリオド、東海のペナルティにより一人選手が多いパワープレーの場面で、DF・FWのどちらもこなす中村俊介(東京)が体勢を崩しながらもゴールを決めると、その約2分後に東海のDF那須智彦が同点弾をマーク。第2ピリオドは東京・関西連合の石川が自陣ゴール前からパックをドリブルしながら一気に持ちあがり、そのままシュート。これが鮮やかに決まり、1点をリードするが、東海も粘りを見せて、DF鵜飼祥生がゴール前の混戦からパックを押し込み、再び同点に。最終ピリオドは膠着状態が続くが、7分半に東海の那須が2得点目を決め、これが決勝点となり、東海が3-2で勝利した。
東京・関西連合は敗れたものの、ジュニア世代の若手選手もプレーした。この日に誕生日を迎え14歳になったFW山田旭翔(関西)は、昨年度大会に続いて出場し、今季はプレータイムを伸ばした。「去年も氷に乗ったので、緊張はなかった。ロスパーダ関西でみんなと練習してきたことができたと思う」と、力強く振り返った。
また、日本国内で開催される大会へは、障害がない人も参加できる。東京・関西連合のGK香川智は普段は関西でトレーナーを兼任する。東海戦は第2ピリオドにマスクを被り、1失点に抑えた。「障害の有無に関係なく、みんなでコミュニケーションをとり、ひとつになって取り組めるのがパラアイスホッケーの魅力」と、スポーツが持つ可能性を実感している様子だった。
第2試合は長野が東海を退ける
第2試合は、前回王者の長野サンダーバーズ(以下、長野)と東海が対戦し、5-1で長野が勝利した。序盤から長野が主導権を握り、日本代表の中心選手でもあるDF熊谷昌治が第2ピリオドまでに4得点と活躍。第3ピリオドには、熊谷がコーナーからゴール前に持ち込みシュートを放ち、こぼれたところをFW新津和良が押し込んだ。5点を追う東海は、得点力のある那須が粘りのシュートで1点を返すが、追加点はならなかった。
東海は1日に2試合とタフなスケジュールを戦った。キャプテンのFW正橋幸夫は「長野に得点は許したけれど、今年は去年よりも守りの意識を高く持って臨めたのが良かったと思う。ただ、チーム力はまだまだ。個々のスキルをつけてチームプレーをもっと磨き、来年は王者相手にもっと点が取れるチームにしていきたい」と話した。
また、北海道ベアーズから東海に個人参加した森崎は、月に2回の日本代表合宿と週4回の個人トレーニングに励み、課題だった体力面の強化を図ってきたという。持ち味のスピードを活かしてパックに絡み、幾度とチャンスメークする場面もあり、対戦相手として森崎に対峙した長野の熊谷は「強くなっていると感じる。日本のエースのひとりになってほしい」とエールを送り、「その座を譲るつもりはないけどね」と付け加えた。
第3試合は長野が東京・関西連合に勝利し全勝優勝
最終戦の第3試合は、1勝の長野と1敗の東京・関西連合が対戦。10-3で長野が勝利した。開始2分で長野の熊谷が先制点を挙げると、東京・関西連合も石川がディフェンスに抑えられながらもパックをキープし、パスを受けた金子幹央(東京)が走りこんでシュートを決めて同点とした。第2ピリオド、関東・関西連合は2度のパワープレーのチャンスを得るがゴールを決められず、流れは長野に。その長野は、熊谷とベテランのFW吉川守らがスペースをうまく使って攻撃を組み立て、コンスタントに得点を重ねていく。東京・関西連合は第3ピリオドに石川と中村の得点で2点を追加するが、追いつくことがはきなかった。
長野の大会7連覇の立役者である熊谷は、個人でもこの試合だけで6ゴール2アシストと気を吐き、大会トータルで10ゴールをマーク。さすがの存在感を示し、「個人としても走り負けなかったのは良かった」と話しつつも、「もっと他の選手も得点し、試合を作れるチームにしないといけない」と課題も口にしていた。
なお、1月10日から国際大会「2025 ジャパンパラアイスホッケーチャンピオンシップ」が長野市のビッグハットで開催される。昨年5月の世界選手権5位の韓国、同7位のイタリア、同8位の日本と、3カ国から選手を集めたTeam MAXの4チームによる試合を行う。日本代表にとっては世界選手権以来の公式戦であり、その世界選手権で敗れた韓国とイタリアにリベンジする機会となる。日本代表でも活躍する東京・関西連合の石川は、「イタリアは体格に勝り、重く、パワーもある印象。韓国はスピードも技術もある。日本は初戦の入りが悪く、若い選手も多いなか、格上チームをどう攻略するか。今回はいろいろと試せるチャンスなので、どんどんトライしていきたい」と話した。