◆大相撲初場所3日目(14日、東京・両国国技館) 綱取りの大関・琴桜は、東前頭2枚目・翔猿に引き落とされて、早くも2敗目を喫した。横綱昇進への内規は「2場所連続優勝か、それに準ずる好成績」。1場所15日制が定着した1949年夏場所以降に昇進…
◆大相撲初場所3日目(14日、東京・両国国技館)
綱取りの大関・琴桜は、東前頭2枚目・翔猿に引き落とされて、早くも2敗目を喫した。横綱昇進への内規は「2場所連続優勝か、それに準ずる好成績」。1場所15日制が定着した1949年夏場所以降に昇進した33人の横綱のうち、3日目までに2敗を喫した例はなく、今場所での昇進は崖っぷちに追い込まれた。同じく綱取りの大関・豊昇龍は小結・若隆景を突き出して初日から3連勝。横綱・照ノ富士は西前頭筆頭・霧島を寄り切り、白星を先行させた。
今場所主役のまさかの連敗に、館内はため息と歓声が入り交じった異様な雰囲気になった。琴桜は翔猿の右差しを抱えて小手に振ったが、振りほどかれた。体が離れた後は突き合いに。相手に押し込まれたところで一気に前に出たが、業師の土俵際の引きに勢いよく土俵下へと落ちた。支度部屋で取り組み内容について問われると「切り替えます」と一言。普段は帰り支度を済ませるとすぐに立ち上がるが、この日はうつむき加減でしばらく立ち上がることもできなかった。
横綱昇進に黄色信号がともった。優勝かそれに準ずる成績が必要だが3日目で早くも2敗目。1場所15日制が定着した1949年夏場所以降、横綱に昇進した33人のうち3日目までに2敗、連敗して綱取りに成功した例はない。さらに、序盤5日目までに2敗で昇進したのは59年春場所の朝潮1人だけ。終盤は好調の豊昇龍、大の里、連勝で復調の兆しの横綱・照ノ富士との対戦が予想されるだけに今場所での昇進には後がなくなった。八角理事長(元横綱・北勝海)は「受けていて、足が動いていない。これが綱に上がる気持ちなのだろう。精神的に弱い。これも修業のうちだ。開き直っていくしかない」と辛口のエールを送った。
先場所は3日目に土がついてから、尻上がりに調子を上げて千秋楽まで12連勝。この日の朝稽古では「状態は悪くない。先場所もそうだった。切り替えるしかない」と語っていた。4日目は過去3勝11敗の霧島を迎え撃つ。直近でも3連敗中と分が悪い。2度目の賜杯、夢の横綱昇進へ早くも正念場が訪れた。(大西 健太)