「大相撲初場所・3日目」(14日、両国国技館) 新弟子らによる前相撲が始まり、元名横綱のおいっ子対決が実現した。叔父に元横綱朝青龍、いとこに大関豊昇龍を持つ天狼星(18)=錣山=が、元横綱武蔵丸(現武蔵川親方)を伯父に持つ光武蔵(19)=…

 「大相撲初場所・3日目」(14日、両国国技館)

 新弟子らによる前相撲が始まり、元名横綱のおいっ子対決が実現した。叔父に元横綱朝青龍、いとこに大関豊昇龍を持つ天狼星(18)=錣山=が、元横綱武蔵丸(現武蔵川親方)を伯父に持つ光武蔵(19)=武蔵川=の突き、押しをしのいで突き倒し、白星デビューを飾った。横綱の遺伝子を持つ新たな力士が、プロの第一歩を踏み出した。

 観客もまばらな朝の国技館。注目の“横綱DNA対決”が実現。軍配は、優勝22回を誇る元朝青龍のドルゴルスレン・ダグワドルジ氏のおい、天狼星に上がった。

 表情を変えず引き揚げ、記者に囲まれると「最初の相撲が白星で良かった」とはにかんだ。優勝12回の武蔵丸(現武蔵川親方)を想起させる光武蔵の突き押しで攻められたがしのぎ、相手の足がそろったところで突き倒した。「緊張しました。武蔵丸さんの突っ張りって感じでした」と振り返った。

 朝青龍の兄で新日本プロレスではブルー・ウルフのリングネームで活躍したセルジブデ氏の次男。叔父の長兄で警察官でもあるスガラグチャー氏の次男・大関豊昇龍はいとこだ。「プレッシャーにはなりますが、自分は自分の道で一生懸命頑張ります」。堂々と言い切った。

 留学先の明徳義塾中では野球部(軟式)に所属。叔父と父に勧められ、中3から相撲を始めた。明徳義塾高では相撲部に入り、1年時の高校総体100キロ級で16強。2年時の23年8月に中退し錣山部屋に入門した。

 12日にはダグワドルジ氏と会食し「頑張れよ」とハッパをかけられた。幼少時に一緒に遊んだ豊昇龍の立浪部屋には、高1時に出稽古し、小遣いをもらったという。この日は父が観戦に訪れた。

 師匠の錣山親方(元小結豊真将)は「足腰の良さ、体の柔らかさがあり、朝青龍よりも相撲は白鵬のようですね」と評価。しこ名は父親のリングネームと、「相撲界で一番輝くように」との願いからシリウスの中国語名「天狼星」に決まった。

 錣山部屋に入ることになったのは、入門予定者の都合がつかなくなり、先代師匠(元関脇寺尾)が「あの子を呼んでみよう」と直接指名した経緯がある。先代最後の弟子となるのか、と問われた親方は「そうなりますね」と感慨深げに語った。23年12月に先代師匠が死去するなどして研修開始が昨年3月に遅れたため、この日がデビュー戦となった。

 叔父、いとこと比較される相撲人生。天狼星は「一生懸命頑張って親に恩返ししたい。誰よりも稽古したい」と誓った。

 ◆天狼星(てんろうせい) 本名セルジブデー・ルブサンゴンボ。2006年9月15日生まれ、モンゴル出身の18歳。186センチ、116キロ。プロ野球選手を志して明徳義塾中に留学し、野球部(軟式)では外野手としてプレー。全国大会で3位になったが、自身は控えメンバーだった。同高では相撲部に転向。「細い体でもでっかい人たちをブン投げるのが好き」と初代若乃花が憧れ。