NTTジャパンラグビー リーグワン 2024-25ディビジョン1 第4節(リーグ戦) カンファレンスB2025年1月12日(日)14:30 熊谷スポーツ文化公園ラグビー場 (埼玉県)埼玉パナソニック…
NTTジャパンラグビー リーグワン 2024-25
ディビジョン1 第4節(リーグ戦) カンファレンスB
2025年1月12日(日)14:30 熊谷スポーツ文化公園ラグビー場 (埼玉県)
埼玉パナソニックワイルドナイツ 48-24 三重ホンダヒート
観衆を魅了するトライラッシュ。将来のライバルになることを予感させる熱戦
埼玉パナソニックワイルドナイツの竹山晃暉選手
埼玉パナソニックワイルドナイツ(以下、埼玉WK)がホストゲームに三重ホンダヒート(以下、三重H)を迎えた一戦は、埼玉WKの竹山晃暉と三重Hのレメキ ロマノ ラヴァがともにハットトリック。最終的に48対24というスコアになったがトライの応酬にスタジアムは沸いた。
電光石火のトライラッシュだった。開始3分、大外でパスを受けた竹山が右フラッグ際に飛び込んでグラウンディング。最初のトライを奪った。さらに前半17分にもトライラインを駆け抜ける。前半31分には山沢京平のパスを受けると華麗なステップで中央を切り裂いて3つ目のトライ。わずか31分間でハットトリックを達成してみせた。
「しっかりと(ボールを)押さえるとか小さい部分を徹底した結果がトライにつながった。前半だけでハットトリックになったが、トライへの嗅覚など自分の強みの部分が出せたと思う」(竹山)
前半を終えて33対5。すでに勝負が決まったかとも思われたが、三重Hが後半に本領を発揮した。フォワード陣が時間を作ってオープンサイドへ展開すると、前半に1トライを挙げていたレメキが後半4、12分にも埼玉WK守備陣をぶっちぎってトライを奪い、ハットトリックを達成。三重Hは後半17分にも岡野喬吾がトライを奪って33対24と点差を詰めていった。しかし、レメキの負傷交代とレッドカード、イエローカードによる数的不利によって力尽きた。
三重ホンダヒートのレメキ ロマノ ラヴァ選手
「前半は簡単に蹴ってしまって流れが作れなかったが後半はつないだことでリズムが生まれた。今年はボールを運べる選手が何人もいるので、それがチームの強み。自分たちの戦いができればワイルドナイツのような強いチームとも十分に戦えることが分かった」(レメキ)
ちょうど1年前。昨季の同カードは埼玉WKが70対12で勝利したが、今季は48対24。「去年はここで70点を取られた。長い道のりだったがチームは確実に成長している」(キアラン・クローリー ヘッドコーチ)。「昨季と比較して相手のコンタクトのレベルが上がった。それが今季の(三重Hの)好成績につながっていると思う」(坂手淳史)。スコア以上に見ごたえがあるバトルとなった。
三重Hは2026-27シーズンから栃木県宇都宮市に活動拠点を移すことを発表している。埼玉WKの活動拠点・埼玉県熊谷市とは車で約1~2時間の距離。このカードは近い将来、隣県チームの対戦としてさらなる盛り上がりを見せていくだろう。
(伊藤寿学)
埼玉パナソニックワイルドナイツ
埼玉パナソニックワイルドナイツのロビー・ディーンズ監督(左)、坂手淳史キャプテン
埼玉パナソニックワイルドナイツ
ロビー・ディーンズ監督
「結果については満足しています。選手たちはハードワークしてくれました。三重ホンダヒート(以下、三重H)さんが後半に強いレスポンスを見せて、そこに対して最後はしっかりと戦えていて満足いくものでした。ボーナスポイントは価値のあることで、長い目で見ていくと大切な点になると思います。タフな試合になりましたがそれは予想していたこと。序盤に得点を積み重ねて勝てたことは良かった。開幕5試合の第1ブロック終了まであと1試合。そのあとに休養に入りますが、5戦目ではトヨタヴェルブリッツ(以下、トヨタV)さんとの大事な一戦があります。チームとしてしっかりと準備して臨みたいと思います」
──ハットトリックの竹山晃暉選手の評価をお願いします。
「オフシーズンでのオーストラリア留学という新しい経験、新しい人々との出会いなどを経て、さらに良い選手になったと思います。今日のプレーは、内側(センターなど)の選手のお膳立てによって、ウイングである竹山選手にチャンスが来て、トライにつながったと思っています。非常に良いトライの嗅覚をもっていますが、典型的なウイングの仕事をしてくれたと思います。ポジショニングがすごく良かったと感じています。フィニッシング以外のところではキッキングのところで特長を発揮してくれました。後半には課題もありましたが、全体を通じてその二つの部分で違いを見せてくれました」
──第5節のトヨタV戦はチームにとって大事なゲームだと思います。次戦への意気込みをお願いします。
「リーグワンの試合はすべて大切な試合です。5試合の最初のブロックを終える意味でも重要な試合になります。そのゲームを楽しみたければ、選手たち自身が練習から良いパフォーマンスをして臨んでいかなければいけないです」
埼玉パナソニックワイルドナイツ
坂手淳史キャプテン
「前半はとても良かったと思います。ただ後半の難しい時間帯に流れを引き戻せない時間があったので検証していきます。戦うエリアとペナルティのところ、レフリーにアジャストしていくところはコントロールしていかなければいけないと思っています。ゴール前のディフェンスなどワイルドナイツらしさを出せた部分がたくさんあったと思います。良い部分を磨きながら、課題のところを修正していきたいと思います」
──対戦してみての三重Hの印象を教えてください。
「前半はうまくアタックすることができて狙いどおりの攻撃ができたのですが、後半は、相手の強いキャリーと外側にもっていくアタックが、昨季と大きく変わった部分です。コンタクトのレベルが上がっていると感じています。そこはシーズン序盤の(三重Hさんの)成績でも分かると思います。後半はウチが受けてしまったので、相手のキャリアーに勢いがあって、手こずってしまった要因になったと思います」
──後半の劣勢から再び流れを戻せた要因は何でしょうか。
「(野口)竜司のところでハイパントを蹴ってうまく(エリア)取り戻せたことで、良くなったと思います。後半の最初の20分は、ペナルティ、ミスが起こって、ヒートさんにフィジカリティーの高いアタックをやられたので、それが難しくなった要因だったと思います」
三重ホンダヒート
三重ホンダヒートのキアラン・クローリー ヘッドコーチ(左)、パブロ・マテーラ ゲームキャプテン
三重ホンダヒート
キアラン・クローリー ヘッドコーチ
「前半に自分たちで(自分たちの)首を絞めて非常に難しいゲームにしてしまいました。序盤、相手に簡単にボールを与えてしまいプレッシャーが掛かっていました。そこからのキッキングゲームに勝てず、(相手の)トライにつながってしまった。
自分たちが前半にボールを持てずに蹴ってしまって相手にチャンスを与えてしまいました。ハーフタイムにそこを話して改善しました。ポジティブな点は、後半に自分たちのプレーで要所、要所に良い部分が出せたことです。相手にプレッシャーを掛けることができて得点につながりました。大差をつけられていても追いついていきましたが、最後にミスやファウルが重なり、離されてしまいました」
──メンバーを毎試合変更しているがセレクションの狙いは何でしょうか。
「その時点でのベストを考えて、トレーニングやゲームでのパフォーマンスを考慮しています。(昇格して)2年目で、まだ経験の少ないチーム。ディビジョン1を経験した選手が少ないです。埼玉パナソニックワイルドナイツ(以下、埼玉WK)のようなチームになるには自分たちも、3年、5年先を見越して経験を積んでいかなければいけないです。シーズンは18試合もあるので毎回同じメンバーでは戦えないですし、自分たちはできることを最大にハードワークしていくだけです。サイズ的にも大きくないですし、自分たちのプロセスに従ってプレーしていく必要があると感じています。1年目の昨季はここで70点取られていますから」
三重ホンダヒート
パブロ・マテーラ ゲームキャプテン
「試合に関してはヘッドコーチが言ったことに同意です。自分たちはとてもスロースタートになってしまった。最終的には戦うことができましたが、埼玉WKさんのような強いチーム相手に最初の15分に簡単に失点してしまうと難しくなってしまう。強いチームとやるときは、初めから戦い抜いていかなければいけない。後半にはポジティブな部分もたくさんあったので良い学びがありました」
──フォワードのバトルについての印象はどうでしたか。
「フォワードのバトル自体は、スクラムもそうですが、そこからチャンスを作り出せたと思います。ラインアウトに関してもお互いに良かった。コンタクトも悪くなく、フォワードだけで言うと、戦えた感じはしています。ただ、ゲーム全体でできなかったのはイグジットや規律の部分を保てなかったこと。そこは改善が必要だと思いますが、フォワードバトルの部分には自信がついた印象です」