NTTジャパンラグビー リーグワン 2024-25ディビジョン1 第4節(リーグ戦)カンファレンスA2025年1月11日(土)14:30 ニッパツ三ツ沢球技場 (神奈川県)横浜キヤノンイーグルス v…
NTTジャパンラグビー リーグワン 2024-25
ディビジョン1 第4節(リーグ戦)カンファレンスA
2025年1月11日(土)14:30 ニッパツ三ツ沢球技場 (神奈川県)
横浜キヤノンイーグルス vs 静岡ブルーレヴズ
初先発からチームは2連勝。今節はハットトリックも謙虚なヒーロー
ハットトリックでプレーヤー・オブ・ザ・マッチに。横浜キヤノンイーグルスの竹澤正祥選手
開始5分のチームファーストライを皮切りに、常に先手を取った横浜キヤノンイーグルス(以下、横浜E)が2連勝を達成。開幕3連勝中の静岡ブルーレヴズ(以下、静岡BR)は、無念の今季初黒星を喫した。
ノーサイド直後、プレーヤー・オブ・ザ・マッチ(POTM)の証である記念キャップを被った竹澤正祥は「初めて選ばれた」POTMの喜びに笑顔がはじけた。
圧巻のハットトリックだ。開始5分、機先を制するトライに続き、同15分にも2つ目のトライを奪取。石田吉平の切れ味鋭いボールキャリーがきっかけとなった2つ目のトライシーンを振り返った竹澤は「吉平が内側にステップを踏むことで、外側にスペースができた」とチームメートの果敢な打開に感謝した。
ハットトリックを完成させる3トライ目は後半10分。右サイドのラインアウトからチャンスを作った横浜Eはテンポ良くパスを展開し、反対の左サイドまで回ってきたボールを竹澤が自身3つ目のトライにつなげた。
一人では成し遂げられなかったハットトリック。殊勲の竹澤は「しっかりと内側の選手が外側の選手のスペースへボールを運んでくれたおかげ」とチームメートに感謝の言葉を口にした。
勝利の立役者となった竹澤自身は、順風満帆のシーズンスタートを切ったわけではない。開幕2試合はメンバーに入れず、チームメートの奮闘を外から見守った。悔しい気持ちをグッと堪え、竹澤は虎視眈々とチャンスをうかがった。竹澤は言う。
「いつかはチャンスがくると思っていましたし、チャンスをもらえたときに100%以上のパフォーマンスを発揮できるような準備をしてきました」
竹澤が第3節の浦安D-Rocks戦で先発メンバーに起用されて以降、横浜Eは2連勝中。開幕から白星に見放されていたチームの“起爆剤”としての活躍が光る。
「いやいや。まだまだ全然そんなことはないですけど、次につながる試合ができたと思います」
ホストゲーム今季初勝利に導いたヒーローは、どこまでも謙虚だった。
(郡司聡)
横浜キヤノンイーグルス
横浜キヤノンイーグルスの沢木敬介監督(左)、梶村祐介キャプテン
横浜キヤノンイーグルス
沢木敬介監督
「試合をとおしてどう振る舞うべきか、フォワード陣にはどんな形で相手にしかけていくか。そういったことを1週間準備してきました。細かいミスはありましたが、最初の20分は見ていてもアグレッシブでした。ただ(開幕戦の)東芝ブレイブルーパス東京(以下、BL東京)戦もそうだし、自分たちから相手をラクにさせるような展開になってしまうことはわれわれの弱さでもあります。このレベルでは『優勝を目指す』と言えるものではありません。また来週から一人ひとりが謙虚になって、1試合1試合成長できるようにしたいです」
──50点以上を取れたことと35失点をしていることはどう捉えていますか。
「ラグビーだから相手が良いプレーをしたらスコアにつなげられてしまうのは当たり前のことです。ただ取られ方が良くないです。例えば我慢強く守っていたけど、最後に相手が良いプレーをしてトライを取られたのであれば良いですが、そういう取られ方ではなかったです。選手がどう感じているかは分かりませんが、俺はめちゃくちゃ満足していないです」
──ボーナスポイントを取るために、最後の最後までトライを取りに行った姿勢をどう感じましたか?
「例えば何回もモールのチャンスもあったし、最後のスクラムは良かったですが、守っている静岡ブルーレヴズのほうが、僕は見ていてとてもエナジーを感じるんですよ。攻めているはずの自分たちよりも、守っている相手のほうがパッションはあるし、守っているという気迫が伝わってくることに納得がいきません」
──現状の問題点を解消するには、今後の練習でどういったアプローチが必要でしょうか。
「語弊があるかもしれませんが、ウチの選手たちは“いい子”ばかりが多いんですよ。英語で言うと、『too nice』なんですよ。中にはそうではない選手もいますが、俺はその『too nice』なパーソナリティーを変えていかないといけないと思います。そうなると、相手にスキを与えるようなことがなくなるのでは(と考えています)」
横浜キヤノンイーグルス
梶村祐介キャプテン
「今日の試合は自分たちから先手を打っていこうというターゲットで臨みました。先ほど沢木監督が話したとおり、最初の20分は自分たちから強いメッセージを相手に伝えることができましたし、ゲームをコントロールできていましたが、なかなか持続できないことがチームの現状です。80分の中で見れば良いプレーは随所にありますし、自信をもった良いプレーもありましたが、試合後、選手たちには『35失点の事実を受け止めていこう』と話しました。相手に簡単にスコアにつなげられてしまうことや、ペナルティを与えているようでは、次のレベルには進めません。『週明けの練習には一人ひとりがしっかりとしたマインドセットで集まろう』という話をしました。ボーナスポイントを取りながら学べるゲームをできたので、しっかりと反省しながら、次に進んでいきたいです」
──トライを取ったり取られたりの時間帯があったことは、どんな原因が考えられますか。
「結構22m(ライン)の中には入れたと思いますが、そこで簡単に相手にボールを渡してしまったり、コントロールミスでペナルティをしてしまったりと、スコアにつなげないといけないときに、相手の集中力のほうが上回っていたシーンがいくつかありました。それは先週のゲーム(浦安D-Rocks戦)でも同じ課題が出ています。課題を改善できれば、自分たちでもっとスコアにつなげられると思いますし、もっと相手の勢いを消していけると思います」
──最後の時間帯はスクラムを選択しました。その時間帯は交代でベンチにいる状況でしたが、フォワードの判断なのか、もしくはほかの選手の判断なのか。どうでしょうか。
「基本的にはフォワードリーダーに確認を取っている中で、『スクラムでいこう』という判断があれば、スクラムを選択しています。その結果、トライを取ることができましたが、自分たちで判断したことに対して、しっかりとそれを遂行できたのかどうか。それが大事だと思います」
静岡ブルーレヴズ
静岡ブルーレヴズの藤井雄一郎監督(右)、クワッガ・スミス キャプテン
静岡ブルーレヴズ
藤井雄一郎監督
「試合をとおして個人的なミスも多かったですし、田村(優)のキックにうまくやられました。まったく敵わない相手ではなかったですが、結果は残念です。次節のBL東京戦に向けて、またいい準備をしていきたいと思います」
──メンバーを大きく代えている印象を受けます。
「シーズンは長いので、けが人の状況もありますが、相手を見ながらメンバーを代えています」
──フォワード陣のメンバー選定のポイントは?
「フォワードでしっかりとモメンタム(勢い)を作ることができれば試合を優位に進められるだろうというプランでしたが、脳振盪の疑いでの交代というイレギュラーな事態も起こったことで、追い上げる上で思うようにはいかなかったです。ただ新しく出た選手たちも頑張っていました」
──アクシデントが多い状況の中での収穫はありますか。
「(昨季)トップ4のチームに対して、いろいろな選手が出ることになったのは収穫かなと思います」
──今季初黒星をどう受け止めていますか。
「まだまだ全試合で勝てるようなチームではないです。ただ毎週、次の試合に向けていい準備をしていきたいです」
──良いアタックで相手を崩す場面が目立った印象ですが、いかがですか?
「横浜キヤノンイーグルス(以下、横浜E)のアタックはかなり組織的で、アタックされることは厄介でしたが、相手のアタックに対する準備はしてきました。今後はわれわれがボールを持っている中でどうアタックしていくかは課題ですし、キックミスもあったので、修正していきたいです」
──3連勝中の期間において、準備でうまくいったのはどんなことでしょうか。
「選手たちも自信をつけていましたし、昨季はディフェンスが良くなかったので、プレシーズンはディフェンスを修正してきました。アタックは試合をこなすごとに良くなっているという感触はある中で、相手に50点以上を取られていることは反省点です」
──アタックとディフェンスのバランスはいかがでしょうか。
「田村の憎たらしいキックにやられました。こぼれたボールも相手に渡ることが多かったです。運が原因なのか。(運を引き寄せる)努力が足りないのか。ルーズボールがこちらにこぼれてくるようにしたいです」
静岡ブルーレヴズ
クワッガ・スミス キャプテン
「個人としてのミスが多かったと思います。ただ今後に向けて改善できるでしょう。横浜Eさんはボールを持つとアタックがうまいチームだということは分かっていましたが、ディフェンスの面で修正が必要です。アタックとディフェンスのバランスを保ちながら、プレーすることが大事ですから、その点を修正して次の試合に臨みたいと思います」
──アタックでかなり相手のことを翻ろうしていました。アタックに関してはチームとしての自信があるのでしょうか。
「アタックは良くなっていますが、ミスが多かったことで相手にチャンスを与えるシーンが多かったことは反省点です。自分たちの強みを出せなかった試合です。アタックをし続ければスコアにつなげられる自信はありますし、しっかりとスコアにつなげるためにも、ボールをキープして、相手にボールを渡さないことはとても重要になってきます」