2026年のワールドカップ出場に、王手をかけているサッカー日本代表。2025年最初の試合となるバーレーン代表との一戦に勝利すれば、本大会出場が決まる。だが、日々変わりゆくサッカーの世界で油断は禁物だ。サッカージャーナリスト大住良之が、その…
2026年のワールドカップ出場に、王手をかけているサッカー日本代表。2025年最初の試合となるバーレーン代表との一戦に勝利すれば、本大会出場が決まる。だが、日々変わりゆくサッカーの世界で油断は禁物だ。サッカージャーナリスト大住良之が、そのバーレーンを含むアジアのライバルたちの「現状」をリポートする!
■過去の対戦では圧倒的に「劣勢」も…
「FIFA国際カレンダー」外の試合だが、バーレーンもサウジアラビアも代表チームの大半が国内リーグでプレーしており、ともにワールドカップ予選とほとんど変わらない「フルメンバー」だった。ワールドカップ予選では、昨年10月にサウジアラビアのジッダで対戦し、0-0で引き分け、今年6月にバーレーンでの対戦を残している両チーム。過去の対戦成績では圧倒的に劣勢だっただけに、バーレーンにとっては自信につながる勝利だったに違いない。
一方のサウジアラビアは、3月25日に日本代表が埼玉スタジアムに迎えるチームである。ホームで日本に0-2の敗戦を喫した後、昨年11月にイタリア人のロベルト・マンチーニ監督からフランス人のエルベ・ルナール監督(再任)に交代したが、その後もオーストラリアに0-0で引き分け、インドネシアに0-2で敗れて不調を脱することができず、このガルフカップでも、この後はイエメンとイラクに連勝して準決勝に進んだものの、オマーンに1-2で屈して敗退した。
■「完全アウェー」6万人の観衆の前で…
バーレーンの第2戦はイラク。イラクはワールドカップ予選のB組で韓国に次ぎ2位を占め、出場権獲得を有望視されているが、その主力は欧州のクラブ所属。このガルフカップには招集できなかった。バーレーンはMFアリ・マダンの2点で順調に勝利をつかんだ。最後のイエメン戦は、大幅にターンオーバーして臨んだことが響いたのか、1-2で敗れたが、勝点6で並んだサウジアラビアとの直接対決の結果で1位を確保した。
準決勝の相手は「ホスト国」クウェート。「完全アウェー」の6万人の観衆の前、バーレーンは勢いよく攻め込んだクウェートの攻撃を受け止めると、火のような激しさで攻撃に転じた。両サイドのMFアリ・マダン(右)とMFモハメド・マルフーン(左)がドリブルで進み、両サイドバックDFハマド・アルシャムサン(右)とDFアブドゥラ・アルハラシ(左)も果敢に攻撃に参加する。
後半7分にこのチームの得点源であるFWマハディ・アブドゥルジャバルが2枚目のイエローカードで退場になり、劣勢に立たされたが、後半30分、右サイドで得たFKを左利きのFWコマイル・アルアスワドがゴール前に送ると混戦になり、最後はMFモハメド・マルフーンが倒れながら至近距離から叩き込んで決勝点とした。
■「冴える」ベテランFWの速さと技術
1月4日の決勝戦、バーレーンのドラガン・タライッチ監督は出場停止のFWマハディ・アブドゥルジャバルに代えてFWにベテランのモハメド・アルロマイヒを起用。前半17分に左CKからオマーンに先制を許したが、後半33分に左からゴールライン沿いにペナルティーエリアに入ったMFモハメド・マルフーンがファウルを受けてPK。これを彼自身が決めて同点とした。
モハメド・マルフーンのスピードとテクニックはさらに冴えを見せる。そのわずか2分後、パスを受けて左サイドを突破すると、再びゴールラインまで入りこんで中央へパス。それを防ごうとしたオマーンDFに当たったボールがGKの逆をつき、ゴールに吸い込まれたのだ。これが決勝点となり、バーレーンは2019年大会に次ぐ2回目の優勝を飾ったのだ。(3)に続く。