◆ラグビー ◇全国大学選手権決勝 帝京大 33(14―12、19―3)15 早大(13日・秩父宮) 帝京大が早大を33―15で下し、4連覇を達成した。通算13度目の優勝は明大に並ぶ歴代2位タイ。4連覇は2009~17年度の9連覇に続く2度目…

◆ラグビー ◇全国大学選手権決勝 帝京大 33(14―12、19―3)15 早大(13日・秩父宮)

 帝京大が早大を33―15で下し、4連覇を達成した。通算13度目の優勝は明大に並ぶ歴代2位タイ。4連覇は2009~17年度の9連覇に続く2度目で、再び黄金時代が到来した。昨年11月の関東対抗戦で連勝を34で止められた早大に雪辱。相馬朋和監督(47)、フランカー青木恵斗主将(4年)率いる王者が足元を見つめ直し、劣勢だったスクラムでも圧倒した。昨季準々決勝で敗退した早大は、5季ぶりの「荒ぶる」はならなかった。

 4連覇を告げるノーサイドの笛が秩父宮に鳴り響いた。帝京大フィフティーンは、思い思いに歓喜の抱擁を交わした。相馬監督は涙。「言葉はいらない。一人一人を、抱きしめたい」。通算13度目の優勝は、明大に並ぶ歴代2位。144人を率いたリーダーには「青木が引っ張ってくれて、ここまでたどりついた」とねぎらった。

 昨年11月3日、関東対抗戦で完敗した早大とのリベンジマッチ。相馬監督が動いた。これまでスタメンのプロップ平井、フッカー當真を控えで起用。指揮官は「まっさらな状態で見ていただきたかった」と語った。當真によれば、これまで重心が前がかりになり、かけ声よりも早く組んでしまう反則を取られていたという。審判対策もかねて先発を入れ替え。大一番を前にしての決断だが、的確だった。

 前半2分、自陣相手ボールの最初のスクラムで反則を誘発。優位に立つと、21―15の後半27分にはスクラムで奪った反則から蹴り出してラインアウト、ロック・ダウナカマカマのトライで突き放した。前戦は劣勢だったセットプレー。早大戦後は、スクラム練習を毎日行うなど集中強化してきた。後半から出た當真は「帝京大はスクラムで勝たないと勝てない。それが全面的に出たかな」と、胸を張った。

 早大に喫した対抗戦での1敗が、王者の目の色を変えた。試合後の交歓会。相馬監督は早大・大田尾竜彦監督に「やっと勝てた」とひとこと言われた。「思い切り、頭を殴られたような衝撃。1試合への価値観が、いつの間にか変化していた」。薄れかけた情熱に気づかされ、選手には「私が準備を怠った」と正直に吐露。チームの意識は変わり、クラブハウスなどには早大戦のスコアボードの写真が貼られた。「負けたことで全員が向き合いながら成長する軌道に乗り、努力するために進んでいる」。敗戦は確かな糧となった。

 優勝回数は伝統校に並ぶ13回。トップ、早大の16回の背中も見えてきた。「これからも、ずっと帝京大には優勝してほしいし、来年は今年以上に成長して、後輩たちにはまた優勝してほしい」と主将・青木。4年生の背中を見せ、次世代に引き継いだ。(大谷 翔太)

 ◆帝京大 1970年創部。グラウンドは東京・日野市。78年に関東大学リーグ対抗戦に加盟し、2008年に初制覇するなど計12回優勝。大学選手権は83年度に初出場し、09年度から9連覇。21年度から4連覇。14年度の日本選手権1回戦NEC戦でトップリーグ勢を初めて破った。主なOBは元日本代表の堀江翔太、坂手淳史(埼玉)、流大(東京SG)、姫野和樹(トヨタ)ら。部員数は144人。