◆大相撲 ▽初場所初日(12日、東京・両国国技館) 全身から気迫がにじみ出るような力強い相撲で霧島を退けた。豊昇龍は立ち合いで霧島の左をのぞかせ、右で上手をがっちりつかんだ。眉根を寄せ、まさに鬼のごとき形相だ。前へ出ると、こらえる相手に電光…
◆大相撲 ▽初場所初日(12日、東京・両国国技館)
全身から気迫がにじみ出るような力強い相撲で霧島を退けた。豊昇龍は立ち合いで霧島の左をのぞかせ、右で上手をがっちりつかんだ。眉根を寄せ、まさに鬼のごとき形相だ。前へ出ると、こらえる相手に電光石火の攻め。投げを打つと、体勢を崩した相手を寄り切った。八角理事長を「満点でしょう」とうならせた12秒7の圧倒的な内容で初日白星。初の綱取り場所の初日を、「相手を見ながら集中してやろうと思っていた。集中して攻められて良かったね」と振り返った。
昨年大関でしのぎを削ったモンゴルの先輩には過去10勝9敗だったが、「特に意識しない。自分の相撲を取ることだけ」と集中した。九州場所は14日目に豪快なつり出しで完勝。いいイメージで臨めたか問われると、「終わったことは終わったことなので」。目の前の白星だけを追っていた。
昨年は3月の春場所から4場所連続で初日に黒星。“鬼門”にも「気にしないので、迷わず取っていきたいと思っていた」と切り替えた。師匠の立浪親方(元小結・旭豊)は場所中の朝稽古を非公開にした。「ピリピリしているので静かにさせてほしい」と意図を明かした。豊昇龍は部屋でストレッチを行い、万全な状態で臨めた。
取組後は土俵下で同じ綱取りの琴桜の勝利を見つめた。しかし、「相撲は個人競技。自分のことだけを意識する」と淡々。元横綱・朝青龍を叔父に持つ25歳の新年は、最高の滑り出しだった。(山田 豊)