「全国都道府県対抗女子駅伝」(12日、たけびしスタジアム京都発着) 阪神・淡路大震災から30年の節目に、兵庫の9区(10キロ)でパリ五輪代表の田中希実(25)=ニューバランス=が、思いを込めた走りでたすきをゴールまで運んだ。駅伝では自身初…

 「全国都道府県対抗女子駅伝」(12日、たけびしスタジアム京都発着)

 阪神・淡路大震災から30年の節目に、兵庫の9区(10キロ)でパリ五輪代表の田中希実(25)=ニューバランス=が、思いを込めた走りでたすきをゴールまで運んだ。駅伝では自身初のアンカーを務め、東京五輪代表の広中璃梨佳(長崎・日本郵政グループ)とほぼ同時にスタートし、32分28秒の区間6位で12位から10位に押し上げた。京都が2区からトップを譲らず2時間15分26秒で3大会ぶり、歴代最多を更新する19回目の優勝を果たした。

 日本の、そして兵庫のエースへ、たすきとともに特別な思いが託された。阪神・淡路大震災から30年で、兵庫チームは震災事業で作られたロゴのワッペンを右胸につけて力走。最終走者の田中は背負った思いをゴールに届け、神妙な顔つきだった。

 優先したのは自分のレース内容より、震災30年の節目で走ることの意味だ。前夜のチームミーティングでは、中学教諭で兵庫の渋谷優美コーチ(54)が震災で教え子を亡くした話などを聞き、改めて災害の悲惨さを痛感。自身も震災復興のシンボル曲『しあわせ運べるように』を流しながら、チームメンバーに「それぞれのありのままの走りをしよう」と鼓舞した。

 5000メートルまでの数々の日本記録保持者も、専門外の10キロは未知の挑戦。広中より4秒先に出る展開になり、豪華な競演に楽しさを感じながらも走りには力みも出た。区間6位は「ふがいない」と決して満足できる結果ではないが「チーム兵庫の姿勢として見せる目標をブレずにできた」と貫き通した。