【「キズナの成功パターン」の配合の馬に期待】 1月13日(月)、中京競馬場で3歳馬によるGⅢシンザン記念(芝1600m)が行なわれる。 本来は京都競馬場で行なわれるが、今年は阪神競馬場リフレッシュ工事の影響で、2021~23年のように中京で…

【「キズナの成功パターン」の配合の馬に期待】

 1月13日(月)、中京競馬場で3歳馬によるGⅢシンザン記念(芝1600m)が行なわれる。

 本来は京都競馬場で行なわれるが、今年は阪神競馬場リフレッシュ工事の影響で、2021~23年のように中京で開催される。このレースを血統的視点から占ってみよう。

 今回の出走馬のなかで、筆者が血統的に大きな魅力を感じる馬がリラエンブレム(牡3歳、栗東・武幸四郎厩舎)だ。


昨年10月27日に新馬戦を勝ったリラエンブレム

 photo by Sankei Visual

 同馬の父は、GⅠ日本ダービー(東京・芝2400m)馬のキズナ。キズナは昨年、初めてJRAリーディングサイアーのタイトルを獲得するなど、種牡馬としての評価をいっそう高めている。現3歳でも、GⅢ札幌2歳S(札幌・芝1800m)を勝ったマジックサンズ、GⅢアルテミスSを勝ったブラウンラチェット(東京・芝1600m)と2頭の重賞勝ち馬を輩出している。

 リラエンブレムは母系も優秀だ。欧州の大種牡馬、ガリレオを父に持つ母デルフィニアⅡは、仏GⅠロワイヤリュー賞(パリロンシャン・芝2800m)やGⅠ英チャンピオンズフィリーズ&メアズS(アスコット・芝2320m)で2着に入った実力馬。また、祖母アゲインはアイルランドの桜花賞に当たるGⅠ愛1000ギニー(カラ・芝1600m)の勝ち馬だ。

 配合的にもキズナの成功パターン。母系にデインヒルを持っているのは、GⅠ皐月賞(中山・芝2000m)馬となったジャスティンミラノ、地方交流GⅡ不来方賞(盛岡・ダート2000m)を勝ったサンライズジパング、GⅢ京都2歳S(京都・芝2000m)を勝ったエリキング、GⅠオークス(東京・芝2400m)3着のライトバックなど、2024年の活躍馬も多い。

 その血をデインヒルから、その父ダンチヒまで広げると、シックスペンス、パラレルヴィジョン、バスラットレオン、アリスヴェリテなどさらに多くの重賞勝ち馬と共通している。母の父がガリレオ系で、ダンチヒを併せ持つのはGⅡニュージーランドT(中山・芝1600m)のバスラットレオンと共通する。ここまで挙げた馬の多くが3歳春までに重賞を勝っているように、仕上がりの早い配合パターンでもある。

 リラエンブレムは、昨年10月27日に京都・芝1600mの新馬戦を勝って1戦1勝。そのレースは中団からスムーズに追走し、残り200m付近であっさり抜け出すと、他を寄せつけない完勝だった。

 勝ち時計は1分34秒2、着差は1馬身半差と、優秀とはいえ驚くような数字ではなかった。だが、ゴール前の手応えは余裕たっぷりで、さらなる伸びしろとスケールの大きさを感じさせるものだった。久々のレースが重賞となったが、あっさり通用してもおかしくない。

【対抗は3歳春の開花に期待の1頭】

 もう1頭はメイショウツヨキ(牡3歳、栗東・飯田祐史厩舎)を推す。

 父アドマイヤマーズは現3歳が初年度産駒の新種牡馬で、現役時代はGⅠ朝日杯フューチュリティS(阪神・芝1600m)、GⅠNHKマイルC(東京・芝1600m)、GⅠ香港マイル(シャティン・芝1600m)を勝利している。その父ダイワメジャーは2、3歳戦に定評のある種牡馬であり、アドマイヤマーズはその特長を受け継ぐ種牡馬と見ている。実際に、産駒数は少ないものの、2歳戦では19勝。新種牡馬リーディングを獲得したサートゥルナーリアよりも高い勝馬率を残している。

 メイショウツヨキの母メイショウヒサカタは、2歳9月の新馬戦(中山・ダート1200m)を3馬身半差で逃げ切り、3歳3月にオープンの昇竜S(中京・ダート1400m)を勝ったように、早い時期から完成度が高かった。芝とダートで舞台は違うが、そういった特性は受け継ぐものであり、3歳春に高いレベルで活躍できる可能性は高い。

 実際に、昨年8月にこの中京・芝1600mで行なわれた未勝利戦では1分34秒1と、この世代の最速タイムで快勝している。ちなみに父アドマイヤマーズも、中京・芝1600mでは新馬戦と中京2歳Sを勝利しているなど、コース適性はなかなかのものだ。

 以上、今年のシンザン記念は、キズナ産駒リラエンブレム、アドマイヤマーズ産駒メイショウツヨキの2頭に期待する。