「大相撲初場所」(12日初日、両国国技館) 取組編成会議が10日、両国国技館で開かれ、初日と2日目の取組が決まった。昨年九州場所で初優勝し、初の綱とりに挑む大関琴桜(27)=佐渡ケ嶽=は初日に隆の勝(常盤山)、2日目に阿炎(錣山)とぶつか…

 「大相撲初場所」(12日初日、両国国技館)

 取組編成会議が10日、両国国技館で開かれ、初日と2日目の取組が決まった。昨年九州場所で初優勝し、初の綱とりに挑む大関琴桜(27)=佐渡ケ嶽=は初日に隆の勝(常盤山)、2日目に阿炎(錣山)とぶつかる。分が悪い横綱照ノ富士(伊勢ケ浜)の3場所ぶり出場が決まったが、師匠の佐渡ケ嶽親方(元関脇琴ノ若)は直接対決で昇進のアピールになると歓迎した。

 8年ぶりの日本出身横綱の誕生、55年ぶりの横綱同時昇進が懸かる今場所。琴桜はこの日、部屋でサンドバッグを担いでのすり足など、基礎運動をこなし「目の前の一番一番にしっかり集中したい。場所のための準備は毎場所していますし。それをやっているだけ」と、自然体を強調した。

 初日は対戦成績7勝1敗の隆の勝、2日目は同10勝4敗の阿炎。取材に応じたのは相手を知る前だったが「変わらずにやっていくだけ。誰が相手でも」と、表情を変えなかった。角界入り時から目標に掲げていた、先代師匠で祖父の横綱琴桜に並ぶ地位へ、覚悟が決まったように見えた。

 ただ、綱とりへは大きな壁が立ちはだかる。照ノ富士の存在だ。昨年の初場所は単独トップだった13日目に直接対決で敗れ星が並び、千秋楽の決定戦も寄り切られ、賜杯を逃した。ともに完敗だった。昨年の名古屋場所で初勝利を挙げたものの、決定戦を含め1勝7敗と苦しんでいる。

 それでも、師匠の佐渡ケ嶽親方は「横綱を倒してアピールするのにいい」と前向きだ。対戦成績は悪いが「最初は受け身の相撲が多かった。今は受けて良し、攻めて良しになりつつある。それが完成したら、もう一つ上に行けるのかな」と、弟子の成長を認めた。

 照ノ富士とは順当なら千秋楽での対戦が濃厚。九州場所では13勝1敗の相星決戦で豊昇龍を撃破し初優勝。2場所連続で熱すぎる千秋楽となる可能性がある。親方は「オレより根性が据わっている。(九州場所の千秋楽前夜に)寝られたか、と聞いたら『ずっと寝てました』と言っていた」と、舌を巻いた。

 千秋楽で昨年初場所の悔しさを晴らし、横綱昇進を決める夢物語。琴桜は綱とりへの意識を聞かれると「変わらない。そこばかり意識しても仕方ないので」とサラリ。周囲の期待に縛られず、泰然自若と初日に向かう。