1月8日に幕を閉じた『京王 Jr.ウインターカップ2024−25 2024年度第5回全国U15バスケットボール選手権大会』は…
1月8日に幕を閉じた『京王 Jr.ウインターカップ2024−25 2024年度第5回全国U15バスケットボール選手権大会』は、京都精華学園中学校(京都府)が女王に輝いた。2回戦から登場した同校は初戦を93-47で突破すると、3回戦と準々決勝は100点ゲームで圧勝。HOOPS4HOPE(千葉県)との決勝戦も88−50と差をつけ、大会連覇を達成した。
抜群の強さを示した京都精華学園だが、今大会に向けては不安材料があった。山本綱義アシスタントコーチは京都精華学園高校でも指揮を執るため、昨年末に行われた『SoftBank ウインターカップ2024 令和6年度 第77回全国高等学校バスケットボール選手権大会』期間中は不在。ウインターカップでは見事に3連覇を成し遂げたものの、その間、中学生たちは指揮官がいない状況での調整を強いられた。
「高校生が頑張ってくれたおかげで、私は10日間ウインターカップで抜けてしまいました。その間、中学生も自分たちでチームをしっかり作り上げようと、結束してよく頑張ってくれました。そのおかげで私は今ここに立たせていただいております。子どもたちに心から感謝を申したいと思います」
優勝後、コート上でインタビューを受けた山本ACは選手たちへ感謝の言葉を述べた。
「みんなと一生懸命練習してきた3年間だったので、やっぱり勝ちたいという気持ちがすごく大きかったです。去年は先輩方が優勝してくださったので正直プレッシャーもあったんですけど、最後は名残惜しい気持ちと達成感の両方が込み上げてきました」
涙を流してチームメートたちと喜びを分かち合ったのは、決勝戦で15アシストを積み上げた谷口娃咲(3年)。取材エリアでは安堵の表情を浮かべた彼女は、この1年、キャプテンとしてもチームをまとめてきた。
「練習メニューはあらかじめ決まっていたんですけど、それをただ単にこなすだけじゃなくて、それぞれの練習の意味をしっかり捉えること、みんなでコミュニケーションを取ること、スピード感を持って取り組むこと、そういったことを意識して練習していました」
谷口は山本ACが不在だった大会前の期間をそう明かす。背番号6の大木一樺(3年)は「先生が10日間おらんくても、しっかり練習しようとはチームのみんなで話していました。でも、気の緩みというか、雰囲気がふわふわしてしまった時もあったので、もっと3年生がしっかりしないとダメだったかなって思います」と振り返ったが、「(大会を通じて)チームが1つになっていくのを感じました。先生には『まずはディフェンスから』と言われていて、それがしっかりできれば勝てるということも学びました」と手応えを述べた。
そして何より、連覇の原動力となったのはリッツオディア カウェル リッツだ。193センチの高さを生かし、今大会の計5試合で206得点77リバウンドをマーク。勉強中の日本語で「いっぱい点取れてうれしい」と感想を口にしたが、山本ACからは「走るとかリバウンドとか」を第一に求められていると話し、「もっと頑張る」と飛躍を誓った。
今シーズンの京都精華学園は、全国中学校バスケットボール大会とJr.ウインターカップの両方で2連覇を達成。「今回よりもプレッシャーがかかると思うけど、それを変にプレッシャーに感じず、校長先生(山本AC)やいつも応援してくださっている方々に感謝して思いっきりプレーしてほしい」。谷口は再び追われる立場となる後輩たちへエールを送った。
高校へ進学する谷口ら3年生たちも、先輩たちが残した偉業に気負うことなく、思う存分コートで自分を表現してほしい。
文=小沼克年