【メルボルン9日=吉松忠弘】男子テニスの元世界ランキング4位で、現在74位の錦織圭(35)=ユニクロ=が、4年ぶりにシングルスに出場する全豪オープン(12日開幕)の会場で取材に応じ「もう誰とやっても簡単に負けることはない」と、先週の香港オ…
【メルボルン9日=吉松忠弘】男子テニスの元世界ランキング4位で、現在74位の錦織圭(35)=ユニクロ=が、4年ぶりにシングルスに出場する全豪オープン(12日開幕)の会場で取材に応じ「もう誰とやっても簡単に負けることはない」と、先週の香港オープン準優勝でつけた自信を口にした。右肩痛もなく、久しぶりに万全な準備で挑める4大大会。組み合わせ抽選の結果、1回戦で、予選勝者で同106位のチアゴ・モンテイロ(30)=ブラジル=と対戦する。対戦成績は錦織の1勝0敗。
もう不安がなさそうだ。香港オープン準優勝を引っさげてのメルボルン入り。錦織は完全復活かという問いに「昨夏から感覚がつかめ始めて右肩上がり。8割ぐらいはきている。もっと50位とか30位とかランキングを上げていければ、また違った世界が見える」。できれば、その世界を全豪でつかみ取りたい。
22年1月に股関節の手術を受け、その後は右足首や左膝に故障が相次いだ。右膝痛に悩まされた昨年の全仏やウィンブルドンでも見せた不安な表情は、今はない。「特に痛いところもないし、もう誰とやっても簡単に負けることはない」。逆に、自分の慢心をいさめるほど、いい感覚にあふれているようだ。「(香港の)準優勝で、急に勝たなくちゃいけない雰囲気が出てしまったのが反省」。勝てるかも、勝ちたいという思いが緊張を生むからだ。
ただ、本人や周りが気がつかないところで、とんでもない言葉がぽろっとこぼれる。「ランキングをもっと上げていければ」という前に、「この大会の優勝で」という言葉が、さらっと入っていた。
香港オープン決勝を5日に戦い、6日夜にはメルボルンに入った。7日には、会場で行われたエキシビション・イベント(非公式戦)に参加。元トップ10のベレッティーニ(イタリア)、同6位のルード(ノルウェー)と戦った。香港で決勝まで残ったため、欠場する選択肢もあった。しかし、「いい流れを忘れないように、攻撃的なプレーをしたい」と、汗を流した。
1回戦は、19年ウィンブルドン1回戦でストレート勝ちしたモンテイロが相手だ。「優勝」という言葉を何げなく口にしながらも、現実は「まだまだチャレンジャー。しっかり1、2回戦は突破したい」。2回戦は、実力通りにいけば第12シードのトミー・ポール(米国)が有力だ。4年ぶりに戻ってきた全豪の舞台。錦織の言葉からは、自然と勝利への意欲が満ちあふれている。