広島中村奨成外野手(25)は9日、鹿児島市内の最福寺で護摩行に臨んだ。自身への弱さや悔しさを焼き尽くすように、目の前で約3メートル燃えさかる炎に向かって不動真言を叫びつづけた。昨年初めて参加し、苦しさや怖さを知った。それでも今年も志願した。…
広島中村奨成外野手(25)は9日、鹿児島市内の最福寺で護摩行に臨んだ。自身への弱さや悔しさを焼き尽くすように、目の前で約3メートル燃えさかる炎に向かって不動真言を叫びつづけた。
昨年初めて参加し、苦しさや怖さを知った。それでも今年も志願した。「変わるきっかけを会沢さん、堂林さんにいただいた。1年で終わっていたら、違うなと。今年も変わりたい一心で、参加させていただきました」。昨季、何度も2軍降格を味わったが、そのたびに自らを奮い立たせて再昇格を勝ち取ってきた。だが、自己最多の70打席に立ちながら打率1割4分5厘、0本塁打、1打点に終わった。チャンスがなかったわけではない。チャンスをつかめなかったのだ。
2軍では8本塁打、長打率4割7分4厘も、1軍では長打率1割7分4厘にとどまり、3年連続本塁打なしに終わった。「1軍と2軍の差は余裕だと思っていて。1軍になると“打たなきゃ”とか“打たないと2軍に落とされる”とか、そういう感情がどこかあったと思う。精神的にもっと強い気持ちを持てるようになれば、ちょっと変わってくるかなと思う」。1軍では打席での割り切りや読みができず、はやる気持ちが空回りした。
打撃センスはチームメートも認めるところだが、殻を破れないまま8年目を迎える。「精神的に強くないとガッと入っていくこともできない。そうところで変わっていけるように参加させてもらいました」。外野の一角を狙うのではなく、広島外野陣のトップを目指す。中村奨は静かに闘志を燃やしている。