大相撲で2場所連続全休中の横綱照ノ富士(33=伊勢ケ浜)が、初場所(東京・両国国技館)出場を事実上、宣言した。9日、都内の部屋で稽古を公開。前頭錦富士らと連続9番取って全勝と、仕上がりの良さをアピールした。初場所出場の明確な言葉こそなかった…
大相撲で2場所連続全休中の横綱照ノ富士(33=伊勢ケ浜)が、初場所(東京・両国国技館)出場を事実上、宣言した。
9日、都内の部屋で稽古を公開。前頭錦富士らと連続9番取って全勝と、仕上がりの良さをアピールした。初場所出場の明確な言葉こそなかったが「あとはやるだけ」などと、終始出場を前提に話した。綱とり場所の琴桜、豊昇龍の両大関の前に“皆勤すれば優勝”の一人横綱が立ちはだかることになる。
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紛れもなく、出場を前提とした稽古だった。四股やすり足などで、入念に汗を流した照ノ富士は満を持して土俵へ。まずは幕下松井を指名して胸を出した。最後に出場した昨年7月の名古屋場所以来、3場所ぶりの本場所へ、相撲勘を取り戻すために土俵際で残す稽古を3番取った。続いて同じく幕下で元学生横綱の草野と5番。さらに前頭錦富士と4番と、連続9番相撲を取って全勝だった。右四つに組み止めてから危なげなく寄り切るなど、仕上がりの良さをアピールした。
両国国技館の相撲教習所で行われた6日の稽古総見は、大関大の里に3勝4敗だった。だが時津風部屋に出稽古した前日8日は、大関経験者の前頭正代に11戦全勝と状態は右肩上がり。稽古後、報道陣に状態を問われると開口一番「逆にどう?」と逆質問。自信を漂わせた。「出る」などと明確な言葉はなかったが「あとはやるだけ。それで駄目だったら駄目だったで、結果はどうなろうと認めるしかない。自分の中でやれることをやってきたので」と事実上の出場宣言をした。
慢性的な両膝痛や糖尿病の影響などで、昨年は4場所、一昨年は5場所休場した。直近2年間の12場所で休場が9場所。ただ、皆勤した3場所は全て優勝している。師匠の伊勢ケ浜親方(元横綱旭富士)は「本人が『やる』と言ったら、それは尊重してあげないと」と、出場を止めるつもりはない。さらに「最初に白星を重ねれば調子良くなってくるから」と、序盤戦の取りこぼしさえなければ、勢いに乗るとみている。照ノ富士も「相手のことよりも自分との戦い。やれることを精いっぱいやっていきたい」と力説。気力も充実している番付最高位が、綱とりの両大関の最大の壁となりそうだ。【高田文太】