男子ゴルフの昨季日本ツアーで自身初の賞金王に輝いた金谷拓実(26)=SOMPOひまわり生命=が8日までに、スポーツ報知の単独インタビューに応じ、9日(日本時間10日)開幕の米ツアー「ソニー・オープン」(米ハワイ州)からスタートする自身の2…

 男子ゴルフの昨季日本ツアーで自身初の賞金王に輝いた金谷拓実(26)=SOMPOひまわり生命=が8日までに、スポーツ報知の単独インタビューに応じ、9日(日本時間10日)開幕の米ツアー「ソニー・オープン」(米ハワイ州)からスタートする自身の2025年シーズンに向け、意気込みを語った。昨年12月の米ツアー予選会を3位で通過し、ツアーカードを獲得。憧れの松山英樹(32)=LEXUS=が活躍する世界最高峰の舞台へ、日本の賞金王の今季が幕を開ける。(取材、構成=富張 萌黄)

 金谷は幼少期からの悲願をかなえ、今季からは憧れる松山と同じフィールドに立つ。前週のザ・セントリーを、米ツアー新記録の通算35アンダーでツアー11勝目を手にした松山。これからはともに世界最高峰の舞台で戦うライバルとなったが、偉大な先輩に追いつきたい気持ちは変わらない。

 「一日、一日成長していくことが大事。今は(松山と)差があって、積み重ねが近づくためには必要だと思う。とにかく成長し続けられるように意識して生活したい。松山さんが優勝されたときは、みんなうれしくなるし盛り上がる。そこを目指して頑張りたい」

 昨年12月、米ツアー最終予選会を3位で突破。5位タイまでに与えられるツアーカードをつかみ取った。ホールアウト後、クラブハウスまで戻るカートの中では大粒の涙を流していた。

 「子供の頃からの夢がかなって、すごくうれしい。最後は気持ちでプレーしていた。すごく練習もしてきたし、積み重ねが最後にああいう大事な場面でしっかり結果として表れた。どの一打も大切にしてきたのでそれを続けていれば、チャンスがあるんじゃないかなと思っていた」

 これまでメジャーを含めて米ツアーには25試合に出場。だが、4日間戦えたのは7試合にとどまっている。1打差で予選落ちとなった試合は6試合。その経験が一打の重みを考えるようになった、大きなきっかけだった。

 「アメリカとか、メジャーの試合でうまくいかない時もあった。だけど日々、少しでも成長することができれば、自分が気づかないうちにレベルアップできると信じていた。そのためには、どの一打もおろそかにすることはできないと思ってプレーしていた」

 15年に当時、史上最年少記録で日本アマを優勝。19年にはマスターズに出場し、国内ツアーでは4人目のアマチュア優勝を達成した。20年にプロ転向し、20―21年季はいきなり賞金ランク2位に入った。順風満帆なキャリアを歩んでいるように見えたが、自身にとっては苦しい時期も多かったと振り返った。

 「(米ツアーに)出るたびに『こんなにレベル高いんや』と苦しい思いしかしなかった。プロになって1、2年目のチャンスをもらえていたときが一番苦しかった。でも、松山選手が活躍していて、同じところでやりたいと学生の時からずっと思っていた。どんなときも、どんな一打も大切に、一生懸命やっていれば必ずチャンスは来るんじゃないかと思って、信じてやっていた」

 ツアーカード獲得はゴールではなく通過点だ。ソニー・オープンはアマチュアだった19年に、自身が初めて出場した米ツアー。芝質が似ている理由で、オフには沖縄で大会に向けて準備をしてきた。米国での最大の目標はゴルフの祭典で優勝だと力強く話し、参戦1年目への思いを口にした。

 「マスターズが一番勝ちたい。みんなが憧れる試合だし、松山選手も優勝された試合。今季もどの一打も大切にすることが大事だと思う。難しいこともたくさんあると思うけど、しっかり状況を受け入れてアジャストしていくことが大事だと思うから、一生懸命頑張ります」

 ◆金谷 拓実(かなや・たくみ)1998年5月23日、広島・呉市生まれ。26歳。5歳でゴルフを始め、広島国際学院高2年の日本アマ選手権で17歳51日の大会最年少V。東北福祉大で18年アジア太平洋アマ選手権優勝。19年の三井住友VISA太平洋マスターズでツアー4人目のアマVを達成。20年にプロ転向し、同年11月のダンロップフェニックスでプロ初V。通算7勝。172センチ、75キロ。家族は両親と兄。