阪神の村上頌樹投手(26)が8日、新年の一字に「勝」を選んだ。この日から静岡県沼津市で青柳晃洋投手(31)が主催する合同自主トレがスタート。師と慕う先輩の「エースに勝つエースになれ」-というゲキに結果で応える覚悟だ。また米大リーグ移籍を目…
阪神の村上頌樹投手(26)が8日、新年の一字に「勝」を選んだ。この日から静岡県沼津市で青柳晃洋投手(31)が主催する合同自主トレがスタート。師と慕う先輩の「エースに勝つエースになれ」-というゲキに結果で応える覚悟だ。また米大リーグ移籍を目指し、ポスティングシステムを申請した青柳は「挑」、同じく3年連続で参加する岡留英貴投手(25)は「増」をテーマに、へび年の活躍を強く誓った。
富士の峰を望むグラウンドに立ち、村上の表情は引き締まっていた。普段、見せるスマイルを封印。最低気温4・9度の寒気が理由ではない。「ここはまた、さらに(やるぞ)って感じです」。原点と語る青柳との合同トレは3年目。別々の道を歩く前に、共に過ごす1日、1日を大切にしようとする覚悟が見えた。
「多分、この自主トレ中に(移籍先が)決まる可能性が高い。聞けることは聞きたいですし、僕は最初に教えてもらったことを、これまでずっとやっているだけなので」
23年1月。青柳の自主トレからMVP、新人王と続くシーズンの土台を築いた。「足を着いてから投げる」。言葉にすればシンプルな助言は、厳しい競争を勝ち抜く糸口になった。「精度です。10回投げて10回できるか。そのタイミングをやっている」。この日もキャッチボールに三塁ノックからのスローと、地道な反復練習で再現性を高めた。
昨年は7勝11敗と負けが先行した。それでも主にカード頭の登板で、2年連続で規定投球回をクリア。村上を語る青柳の口調は優しく、言葉は厳しい。「もっとできる」が前提で、自身が求めたエース像を重ねる。「優勝するためにはエース級に勝てるエースがいないといけない。そこを目指してほしい」。1勝の価値を高める投球を願う。
昨季5度あった広島・床田との対戦で2勝3敗、中日・高橋宏との対戦は3度で1勝2敗と負け越した。勝敗は打線との兼ね合いもあるが、村上は「メンタルを鍛えたい」と分析。「打たれて負け越している時は力任せになっている部分があった。力に頼るのではなく、抜いて投げる感覚を見直しています」。足を着いて投げる-の反復で心技体を取り戻す日々だ。
ヘビ年に選んだ漢字一字は「勝」。自分に勝ち、エース対決に勝ち、優勝に貢献する覚悟を表した。「自分にも相手にも、いろんな意味も含めて勝つ。もう一度リーグ優勝、日本一を達成したい」と村上。脱皮を繰り返すヘビは復活と再生の象徴とされる。一皮も二皮もむけた姿で、真のエース道を駆け上がる覚悟だ。