2025年の川崎フロンターレは、24年シーズンからメンバーをほぼ入れ替えずに挑むこととなった。1月8日の時点で、他クラブからの移籍加入選手はゼロ。新加入4選手と、期限付き移籍から復帰した大関友翔のみが上積み分となる。一方で、他クラブに移籍…
2025年の川崎フロンターレは、24年シーズンからメンバーをほぼ入れ替えずに挑むこととなった。1月8日の時点で、他クラブからの移籍加入選手はゼロ。新加入4選手と、期限付き移籍から復帰した大関友翔のみが上積み分となる。一方で、他クラブに移籍したのは遠野大弥のみだ。
移籍市場はまだ開いているため今後の動きはまだあるが、それでも、チームの入れ替わりが大きい近年のJリーグではかなり珍しいシーズン移行といえる。
しかし、選手がほぼ変わらずとも、長谷部茂利監督を筆頭にコーチ・スタッフ陣が変わるため、戦い方は大きく変わりそうだ。
そもそも、長谷部監督はアビスパ福岡時代に3バックで戦った監督である。川崎フロンターレは4バックを主としてきたため、7日の練習後に今季のシステム変更の可能性もあるか聞けば、「変更も自分の中では一つの選択肢だと思ってます」と明かしたうえで、「システムで勝てるとも思ってませんし、システムで負けるとも思ってないので、ただし大事なことだと思うので、よく考えて、良いところは継続、良くないところは修正してっていうふうに考えてます」と話す。
■3バックを務める選手は十分
仮に3バックで戦うとなっても、CBをこなせる選手は現時点で十分そろっている。高井幸大、ジェジエウ、佐々木旭、車屋紳太郎、田邉秀斗、丸山祐市、セサル・アイダル、そして新加入の神橋良汰と土屋櫂大だ。9人のうち8人がここまでの練習に参加しており、残る1人も負傷ではないため、現時点で不安はない。
そのうち、佐々木はウイングバックでの起用も想定されるが、現時点で佐々木自身が「まだどこかは分かりません」と話しているように、詳細はこれから。
それでも佐々木自身は、「でも、どこでもできるっていうのは自分の強みだと思うんで、監督がどういうフォーメーションでやるとか、どういうプレーを求めてるかによってやるところは変わってくると思うので、どこをやっても去年以上のクオリティを出したい」と強く意気込む。
新加入の神橋良汰も、「開幕スタメンで出たい」と意気込み、3バックであれば左か中央を想定。「高さと強さ、そして、左足のロングフィードを見せたい」とも話す。
また、ウイングバックにどのような選手を起用するかも、長谷部監督の考えが見えそうだ。福岡時代の起用を見れば、また、「失点のマイナス20」を掲げていることから両方に走れるタイプを置くと思われるが、一方で、J1・2位以上の得点数を求めていることから、攻撃的な人選を敷く可能性もある。沖縄キャンプのトレーニングマッチでその一端がまずは示されるだろう。
■すでに始まっているフラットな状態からの競争
長谷部監督が目指すと思われるサッカーで、その戦術にシンパシーがあり、序盤のキーマンになりそうなのはファンウェルメスケルケン際と山本悠樹か。
ファンウェルメスケルケン際に率直に聞けば、「そうであったら嬉しいです」と答えたうえで、「求められるものが多いポジションだと思うので、これからどういった形でサッカーを構築していくのかはすごい楽しみ。しっかりとサポートしつつ、自分も成長できて、タイトルに繋れられればいい」と話す。
山本悠樹にも同様に尋ねれば「そうなればいい」としたうえで、「自分に足りないものを補ってくれると思うんで、いろいろ学んで、より成長しながらやりたい」と笑顔を見せた。
ただし、新監督の下でフラットな状態で競争が始まるということで、選手のそれぞれの鼻息も荒い。昨季は悔しいシーズンを過ごした山内日向汰は「今年が勝負の年」として、中盤の前目のポジションをイメージしながら、「ちゃんと戦い続けることができればチャンスはあると思うので、そこでアピールできるように日々の練習からちゃんとアピールしていきたい」と話す。
昨季、J3福島で大活躍を見せて復帰した大関友翔も、「24年の1年間を、(復帰した時の)フロンターレの力になるために、練習や試合に励んできた。そういった意味では、ベストイレブンも結果のところでも自分の価値を示せた」と自信を持つ。
また、昨季、日本代表デビューを果たした高井幸大は「リーダーになりたい」と話せば、キャプテンとして昨シーズンを戦った脇坂泰斗は「先頭に立ってチームを引っ張っていくところを求められていると思いますし、Jリーグでも圧倒的な存在にならないといけない」と断言する。
はたして長谷部フロンターレはどのようなチーム作りを進めるのか。14日から始まる沖縄キャンプで、本格的な落とし込みが行われる。
(取材・文/中地拓也)