広島の新人8選手が7日、広島県廿日市市の大野寮に入寮した。ドラフト1位・佐々木泰内野手(22)=青学大=は、祖父・喜一さん(93)の手作りスクラップブックを持参。自身の記事や記録が記された愛情のこもったファイルを見返し、プロの舞台でも1面…

 広島の新人8選手が7日、広島県廿日市市の大野寮に入寮した。ドラフト1位・佐々木泰内野手(22)=青学大=は、祖父・喜一さん(93)の手作りスクラップブックを持参。自身の記事や記録が記された愛情のこもったファイルを見返し、プロの舞台でも1面級の活躍を見せていくことを誓った。

 小雪舞う中、チェック柄のコートに身を包み、さっそうと現れた。無数のフラッシュは期待の大きさを物語る。前田健太、大瀬良大地など、歴代のドラフト1位が過ごしてきた“出世部屋”でもある104号室に入った佐々木は「コンパクトで広すぎず、狭すぎずという感じなので。有意義な時間を過ごせたらと思います」と新生活のイメージを膨らませた。

 入寮に際して自らを奮い立たせる2アイテムを持ち込んだ。1点目は母方の祖父・喜一さんから授かった自身の活躍を記録したスクラップブック。雑誌の特集記事の切り抜きや、インターネット上のデジタル記事を印刷したものまで貼り付けてあり、喜一さんの手書きで打撃成績も記されている愛にあふれる1冊だ。

 以前、宝物を問われて「家族と友達」と即答していた佐々木。年末年始を岐阜県の実家で過ごした際に喜一さんから「自分の野球を生きがいに今頑張って生きとるんやからって言ってもらえた」。特別な存在に背中を押され、「活躍して頑張る、生きる気力を与えられたら。プロ野球版も作ってもらえるように毎試合、記事に取り上げられるくらいの活躍ができればと思います」と思いを新たにした。

 2点目は県岐阜商時代の3年夏に甲子園で行われた『高校野球交流試合』で放ったホームランボール。同年はコロナ禍の影響で春夏の甲子園大会が中止となり、代替措置としてセンバツ出場が決まっていた高校同士が聖地で1試合限りの交流試合を行った。

 その試合の最終打席でアーチをかけて大舞台での強さを発揮。「あの1本で自信もすごいついて、上でやっていきたいという思いも強くなった。このボールに対する思いはすごい強いんです」と原点を思い起こさせる1球を見つめた。

 昨年11月の神宮大会で負った左肩脱臼については医師との相談の末、手術しないことに決定。年明けにはフリー打撃も再開し、「ここから徐々に出力を上げてやっていければ」と2月のキャンプを見据えた。はやる気持ちを抑えつつ、応援してくれる人たちの思いも背にしてプロで駆け上がる準備を進めていく。