◆全国高校ラグビー▽決勝 桐蔭学園40―17東海大大阪仰星(7日・花園) 決勝が行われ、桐蔭学園(神奈川)が、東海大大阪仰星(大阪第2)に40―17で勝ち、2大会連続5度目の優勝を果たした。2019~20年度以来、2度目の2連覇。5点差に迫…
◆全国高校ラグビー▽決勝 桐蔭学園40―17東海大大阪仰星(7日・花園)
決勝が行われ、桐蔭学園(神奈川)が、東海大大阪仰星(大阪第2)に40―17で勝ち、2大会連続5度目の優勝を果たした。2019~20年度以来、2度目の2連覇。5点差に迫られた後半9分から、怒とうの4連続トライで圧倒。フランカーの申驥世(しん・きせ)主将(3年)を中心としたチームが、決勝では過去3戦全敗だった大阪勢に初めて勝利し、新たな歴史をつくった。東海大大阪仰星は3大会ぶり7度目の頂点には届かなかった。
2度目の2連覇を決め、桐蔭学園のフランカー申主将は3度ほえた。両手を突き上げて喜びを爆発。顔をくしゃくしゃにしながら、仲間と抱き合った。歓喜の輪で胴上げされ「あそこで優勝したんだな、と実感した。最高でした」。白のセカンドジャージーでは初めて、そして決勝では“4度目の正直”で大阪勢に勝った。
ワンチームでつかんだ勝利だった。東海大大阪仰星に12―7と迫られた後半9分、敵陣右サイド22メートル外からのラインアウト。モールで押して得点すると、ギアチェンジ。同11分にSO丹羽雄丸、同15分にはWTB西本友哉のトライで一気に突き放した。西本は、準決勝で負傷したWTB石崎悠生(3年)に代わって初先発。この日は石崎の短パン姿でグラウンドに立ち、2トライの大仕事。「石崎さんに優勝を、と思って戦いました」と、先輩の無念を背負って戦った。
花園連覇は厳しい道のりだった。前主将で早大のFW城央祐や、明大のSO萩井耀司ら前回Vメンバーは大学1年生から活躍するなど、逸材ぞろいだった昨季。世代交代した現チームの下馬評は高くなかった。始動後もチームスローガンは決まらず、ミーティングを欠席する部員に申主将が叱責(しっせき)することもあった。まとまりに欠け、藤原秀之監督(56)からは何度もスローガン案を差し戻された。約1か月をかけて決まったのは「律」。自分たちと向き合うところから始まった。
昨年2月の関東新人大会は準V、続く全国選抜は3位。昨季メンバーよりサイズはないため、接点をつくらずにボールをつなぐラグビーを模索した。落球するリスクなどを伴うがパス、キャッチの基本練習を徹底。海外チームも参加する5月の交流大会で手応えをつかみ、指揮官が「こんなに成長したのは僕の中でもない」とうなるほどのチームとなって、花園に乗り込んだ。1年をかけて地道に新スタイルを確立。日本一で、下馬評を覆した。
次回はチーム初のV3がかかる。申主将は後輩に「3連覇は意識しないでほしくて。うまくいかなくても悩んで、もがいて、最後に強くなるのが桐蔭。1年後、もう一度後輩たちが優勝してくれると思う」と託した。新たな挑戦は、すぐに始まる。(大谷 翔太)
◆桐蔭学園 1964年創立の私立共学校。ラグビー部も同年創部で現部員は94人(女子選手12人)。花園は96年度大会に初出場して以来、優勝5度、準優勝5度。主な同校OBはFB松島幸太朗(東京SG)、日本代表SH斎藤直人(トゥールーズ)、高橋由伸(元巨人監督)、織田裕二(俳優)ら。所在地は横浜市青葉区。
◆複数回の大会連覇は3校目 連覇は、同志社中(1920~24年5連覇と26、28、29年3連覇。27年は大正天皇崩御で中止)、京城師範(31~33年3連覇)、撫順中(39、40年)、秋田工(48~50年3連覇と52、53年と56、57年)、目黒(73、74年)、相模台工(93、94年度)、啓光学園(01~04年度4連覇)、東福岡(09~11年度3連覇)、桐蔭学園(19、20年度、23、24年度)の9校。複数回の連覇は同志社中、秋田工に次いで桐蔭学園が3校目。