「今シーズンはリーグ戦、FIFAクラブワールドカップ(W杯)、天皇杯、YBCルヴァンカップと大会がありますが、昨日の初めのミーティングでも伝えた通り、今季最大の目標はリーグ優勝です」 堀之内聖・スポーツダイレクター(SD)が1月7日の新体制…

「今シーズンはリーグ戦、FIFAクラブワールドカップ(W杯)、天皇杯、YBCルヴァンカップと大会がありますが、昨日の初めのミーティングでも伝えた通り、今季最大の目標はリーグ優勝です」

 堀之内聖・スポーツダイレクター(SD)が1月7日の新体制発表会で語気を強めた通り、2025年の浦和レッズは9年ぶりのリーグタイトル奪還に向け、アグレッシブに突き進んでいく必要がある。2024年はJ1・13位、ルヴァンカップ3回戦敗退という不本意な結果に終わり、熱狂的なサポーターを落胆させただけに、今年は必ず再浮上を果たさなければならないのだ。
 こうした中、気になるのが、新チームの編成だ。今回の新体制発表にマテウス・サヴィオ金子拓郎らが参加した通り、フレッシュな戦力が10人も加わったのは朗報だ。特に2列目アタッカー陣に関しては、他クラブも羨むほどの分厚い選手層が実現した。
 昨年9月の復帰以降、得点力不足に悩み続けたマチェイ・スコルジャ監督にしてみれば、非常にポジティブな材料と言えるのではないか。彼ら最大限有効活用しながら、いかにして点の取れる形を築き上げていくのか。それが2月15日の開幕・ヴィッセル神戸戦までの重要命題と言ってもいいだろう。

■充実する2列目の構成は

 そこで、改めて今季の2列目陣容を見てみると、まず左サイド要員はサヴィオ、原口元気関根貴大松尾佑介本間至恩。松尾が目下、リハビリ中で開幕に間に合わないことを考えると、サヴィオと原口中心に考えていくことになりそうだ。
 右サイド要員は金子、前田直輝大久保智明、二田理央。ファジアーノ岡山からレンタルバックした早川隼平も中央との併用になるかもしれない。このうち大久保が右ひざ負傷で11月末段階で全治3か月と診断されているため、やはり開幕には間に合わない。スコルジャ監督は昨季終盤に前田や二田をピッチに送り出してはいたが、絶対的な位置づけではなかった。となれば、やはり右のファーストチョイスは金子になるのではないか。
 そしてトップ下だが、今のところは2024年チームMVPと評された渡邉凌磨が序列トップ。その下に中島翔哉や早川、安部裕葵がいる構図になっている。ただ、チーム最大の課題である得点力引き上げを図るために、サヴィオを真ん中で使うという選択肢もないわけではない。
 彼は柏レイソルでは左サイドでチャンスメーク中心の役割を担っていたが、あれだけのタレント力を限定的に使うのは物足りない。よりゴールに近い位置でプレーさせた方が相手に脅威を与えられるはず。その場合は渡邉をサイドに回す、トップに上げる、あるいはボランチ下げるといった工夫を凝らし、共存の道を模索していくことが肝要だ。

■長倉と高橋のポテンシャルに懸けるか

 2列目アタッカー陣の前に入るFWは目下、昨季12ゴールのチアゴ・サンタナ、新戦力の長倉幹樹、横浜FCからレンタルバックした高橋利樹、ユースからトップ昇格を果たした照内利和のいずれかということになる。
 昨季後半は守備で貢献できるブライアン・リンセン(NEC)が先発し、途中からサンタナが出てくる形になっていたが、すでにリンセンは退団。長倉か高橋にその役割を託すのか、それとも思い切ってサンタナをスタートから使うのか…。スコルジャ監督はそのあたりに頭を悩ませているに違いない。
 サンタナに数多くの得点を取らせたいなら、サイドを制圧し、精度の高いクロスが数多く入ってくるような形を作らなければ難しい。右の金子、左の原口がトップパフォーマンスを出せる状態ならそれが可能。サンタナのゴール量産は個で剥がせて推進力を出せるサイドアタッカーとセットで考えるべきだ。
 それが何らかの事情で難しいとなれば、やはり長倉や高橋にリンセンのような頑張りを期待するしかない。アルビレックス新潟で実績を積み上げた長倉、横浜FCのJ1昇格に貢献した高橋は着実に成長しており、ポテンシャルもある。そこに賭けてみるのも一案だ。
 いずれにしても、浦和がJ1王者の上り詰めようと思うなら、総得点を昨季より10点は最低でも引き上げなければいけない。それを担うアタッカーはいったい誰なのか。ここからの展開が大いに気になる。
(取材・文/元川悦子)
(後編へつづく)

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