ある程度の枚数が揃ったFW陣、多士済々の人材が揃う2列目に比べると、中盤より後ろのポジションはやや手薄な印象もある2025年の浦和レッズ。 まずボランチに目を向けると、昨季終盤の主軸だった安居海渡、サミュエル・グスタフソンの2人に、サンフ…

 ある程度の枚数が揃ったFW陣、多士済々の人材が揃う2列目に比べると、中盤より後ろのポジションはやや手薄な印象もある2025年の浦和レッズ

 まずボランチに目を向けると、昨季終盤の主軸だった安居海渡、サミュエル・グスタフソンの2人に、サンフレッチェ広島の絶対的主力だった松本泰志と町田セルビアからレンタルバックした柴戸海が加わり、使える人材は増えた。
 ただ、柴戸は昨年9月に左ひざの手術を受けて長期リハビリの真っ只中。1月12日からの沖縄キャンプでも全体練習合流が不透明と言われており、2月15日の今季開幕・ヴィッセル神戸戦には間に合わない可能性が大だ。
 となると、当面の間は3人で回さなければいけなくなる。このうち安居は球際の強さやアグレッシブな守備が期待できるが、松本とグスタフソンはともに攻撃的なタイプ。対戦相手によっては2人を組ませると守りが不安視されるケースもあるだろう。
 そういった個々の特徴をしっかりと把握しながら、ベストバランスを見出していくのが、キャンプ期間の重要テーマになってくる。マチェイ・スコルジャ監督にしてみれば、松本は全く未知数な存在だけに、まずはじっくりと観察し、どう使うのがベストかを探っていくはず。広島時代のように松本の走力やダイナミックさをうまく引き出していけば、彼の得点シーンも増えてくる。松本は今季浦和のキーマンの1人と言えそうだ。

■堀之内聖SD「まだ補強が終わったわけではない」

 一方、守備陣に関しては「人材が足りないのではないか」と不安視する声も少なくない。まずセンターバック(CB)は佐藤瑶大名古屋グランパスへ移籍。大卒ナンバーワンの呼び声高きDF根本健太が流通経済大から加わったものの、マリウス・ホイブラーテン、井上黎生人を含めて3人しかいない。
 昨季の鹿島アントラーズ植田直通関川郁万の2人だけでほぼ1シーズンを乗り切るというウルトラCをやってのけたが、今季の浦和はFIFAクラブワールドカップ(W杯)もある。根本は間違いなく即戦力だろうが、万が一、誰かがケガをしてしまったら、本当に戦力が回らなくなる。だからこそ、堀之内聖SDは「まだ補強が終わったわけではない」と発言したのだろう。
 欧州ではデンマーク人のマティアス・ロス(スパルタ・プラハ)に食指を伸ばしているという報道も出ているようだが、近いうちに外国人DF獲得が決まる可能性が大だ。そうなれば、スコルジャ監督が目指す堅守の完成度がこれまで以上に上がるはず。早くそのニュースを耳にしたいものである。

荻原拓也が左サイドバックに

 サイドバック(SB)も大畑歩夢が海外移籍濃厚ということで、左はレンタルバックの荻原拓也がそのまま入ってプレー。昨夏移籍組の長沼洋一とポジション争いを繰り広げる形になりそうだ。
 右は石原広教がファーストチョイスで、長沼や関根貴大が状況に応じて入ることになりそうだが、やはり戦力は不足気味。両サイドを高いレベルでこなせる新戦力がほしいところだが、果たして堀之内SDはどのような判断を下すのだろうか。その動向が注目されるところだ。
 GKに関しては大ベテランの西川周作がいるから一安心というところだろう。ただ、西川も今年37歳。クラブとしてもそろそろ世代交代を考えるべき時期に来ているのは確かだろう。バックアップには牲川歩見吉田舜がいるが、彼らがどこまで出番を増やせるかも気になるところ。新たに就任した塩田仁志GKコーチの指導力にも期待を寄せたい。
「昨年はかなり守備的な戦いになりましたが、マチェイ監督は本来、攻撃的な指揮官ですし、今年は攻撃的なサッカー、かつ固い守備を見せられると思います」と堀之内SDは自信を口にした。が、本当にその通りになるかどうかはふたを開けてみないと分からない。
 まずは10人の新戦力が持てる能力を全て押し出して、チーム力をアップさせられるか否かが重要なポイントになる。彼らのパフォーマンスを注視しつつ、チームの完成度アップを楽しみに待ちたいものである。
(取材・文/元川悦子)

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