「全国高校ラグビー大会・決勝、桐蔭学園40-17東海大大阪仰星」(7日、花園ラグビー場) 決勝を行い、桐蔭学園(神奈川)が東海大大阪仰星(大阪第2)を40-17で下し、第99、100回大会に続く2度目の連覇で5度目の優勝を飾った。SO丹羽…

 「全国高校ラグビー大会・決勝、桐蔭学園40-17東海大大阪仰星」(7日、花園ラグビー場)

 決勝を行い、桐蔭学園(神奈川)が東海大大阪仰星(大阪第2)を40-17で下し、第99、100回大会に続く2度目の連覇で5度目の優勝を飾った。SO丹羽雄丸(たける)=3年=が2トライで貢献した。2010年度以降の15年間で5度の優勝と強さを発揮。3大会ぶり7度目の頂点を目指した東海大大阪仰星は後半に3トライも及ばなかった。

 ノーサイドの笛が鳴り響き、桐蔭フィフティーンの涙と笑顔が聖地に輝いた。前年王者としての重圧を打ち破ってつかんだ5度目の優勝と2度目の連覇。6度宙を舞った藤原秀之監督(56)は「感慨深いですね、5回目というのは。すごい記録を作った」と頬を緩めた。

 大阪出身の司令塔が主役となった。SO丹羽雄丸(3年)が、12点リードの後半11分に敵陣10メートルからパスを受けて中央にトライ。さらには26点リードの同21分にもトライを奪い、試合を決定づけた。キッカーとしても、コンバージョンキックを5本成功させて計20得点を記録。地元の大舞台で躍動した。

 大阪桐蔭など全国屈指の強豪が近くにある中で、神奈川の同校に入学。中学の仲間と地元で花園の頂点を目指す選択肢もあったものの「(大阪の強豪校に進学する友人を)全員倒したかった。最強チームを倒した方が楽しい」と、あえていばらの道を選んだ。

 昨年11月に左足の前十字靱帯(じんたい)と半月板を断裂。仲間の練習中も一人、寮で時間を過ごした。汗を流して帰ってくる仲間をはた目に、何もできずにいた自分。「ラグビーボールを見るのも嫌だった。誰にも会いたくなかった」。それでも“打倒・大阪”を夢見て地元を離れた覚悟を捨てるわけにはいかない。復帰後は早朝に走り込みを行うなど、周囲と開いた差を埋めるために陰ながら努力を積んだ。

 同校史上4度目の決勝における大阪勢との対決で初勝利。「俺たちの勝ちだと言いたい」。昨年スタンドから見た悔しい優勝の景色を自らの手で塗り替えた。

 昨年より一回り体は小さく、秀でた選手もいない。力で押し切る王道のラグビーができるパワーはなかった。「何かを変えないといけない」。指揮官は昨年王者としてのプライドを捨て、泥くさく勝ちに徹した。「きれいな形でトライは生まれない。リスクあるプレーも選んでいけと。イレギュラーがイレギュラーじゃないようにした」。個の力を求めず強固な束となった。「こんなに成長した代はないですね」。スター不在の世代で果たした優勝は、藤原監督にとっても格別の味だ。

 「すごいことをやっていると思う。また一から出直して。やることは変わらない」。令和に入って4度目の頂点。桐蔭時代はまだまだ終わらない。

 ◆丹羽雄丸(にわ・たける)2006年10月1日、大阪市出身。小学生の時に生野ラグビースクールで競技を始めた。東生野中でラグビー部に所属し、大阪府選抜に選出。173センチ、72キロ。