【栗山求(血統評論家)=コラム『今日から使える簡単血統塾』】◆血統で振り返る中山金杯【Pick Up】アルナシーム:1着 今年から種牡馬入りするシャフリヤール(日本ダービー、ドバイシーマクラシック)は、有馬記念で大外16番枠の不利を克服し…

【栗山求(血統評論家)=コラム『今日から使える簡単血統塾』】

◆血統で振り返る中山金杯

【Pick Up】アルナシーム:1着

 今年から種牡馬入りするシャフリヤール(日本ダービー、ドバイシーマクラシック)は、有馬記念で大外16番枠の不利を克服して2着と健闘しました。母ジュベルアリはその全姉です。シャフリヤールの全兄にはアルアイン(皐月賞、大阪杯)がいます。

 アルアイン、シャフリヤールを兄弟に持つ母ジュベルアリは、1歳時にサンデーサラブレッドクラブの募集ラインナップに入ったものの、故障により取り下げとなりました。アルナシーム(中山金杯、中京記念)を産んだ能力を考えると、無事ならばかなり優れた競走馬になっていたかもしれません。

 2代母ドバイマジェスティは、BCフィリー&メアスプリント(米G1・ダ7ハロン)の勝ち馬で、子だけでなく孫の代からも重賞勝ち馬を出したことで血統的価値が一層高まりました。シャフリヤールは身体が丈夫で軽さがあり、気性的にも優れ、近親に活躍馬が並ぶ超良血だけに、種牡馬としては前途洋々でしょう。

「モーリス×ディープインパクト」の重賞勝ち馬は、他にジェラルディーナ(エリザベス女王杯、オールカマー)、ディヴィーナ(府中牝馬S)、ルークズネスト(ファルコンS)、アルテヴェローチェ(サウジアラビアRC)が出ています。連対率20.9%、1走あたりの賞金額262万円は、モーリス産駒全体の18.0%、201万円をそれぞれ上回っています。モーリス産駒のニックスといえるでしょう。

◆血統で振り返る京都金杯

【Pick Up】サクラトゥジュール:1着

 皐月賞と日本ダービーの二冠を制覇したネオユニヴァースは、種牡馬としても成功し、ヴィクトワールピサ(皐月賞、有馬記念、ドバイワールドC)、ロジユニヴァース(日本ダービー)、アンライバルド(皐月賞)、ネオリアリズム(クイーンエリザベス2世C)などの大物を出しました。

 キングカメハメハやディープインパクトなどの後輩種牡馬が台頭すると、ランキングは徐々に低下し、ダート方向にシフトしていきました。グレンツェント、ウェスタールンド、メイショウムラクモ、アムールポエジーといった馬がダート重賞を勝っています。母方が重厚なヨーロッパ血統で構成されており、ダートや力の要る芝は向いています。

 母の父としてはルヴァンスレーヴ、アエロリット、デルマソトガケを出すなど気を吐き、芝・ダート兼用の優れた影響を伝える血として存在感を維持しています。

 サクラトゥジュールは3歳春の芝1600m戦で1分31秒7の好タイムをマークするなど、ネオユニヴァース産駒にしてはスピード能力の高い馬ですが、「ネオユニヴァース×シンボリクリスエス」というパワー兼備の配合だけに、馬場の内側が荒れた今回は向いていたと思います。ちなみに、「シンボリクリスエス×ネオユニヴァース」という逆配合からダート王ルヴァンスレーヴが誕生しています。

 母サクラレーヌは重賞を3勝したサクラプレジデントの半妹で、2代母セダンフォーエバーはダービー馬サクラチヨノオーの全妹。牝祖スワンズウッドグローヴは1970年に谷岡牧場がイギリスから輸入し、現在までにその牝系から12頭のJRA平地重賞勝ち馬が誕生しています。