NTTジャパンラグビー リーグワン 2024-25ディビジョン3 第2節2025年1月5日(日)13:00 久留米総合スポーツセンター陸上競技場 (福岡県)ルリーロ福岡 17-39 中国電力レッドレグリオンズ地元の期待を背負う責任が原動力。…

NTTジャパンラグビー リーグワン 2024-25
ディビジョン3 第2節
2025年1月5日(日)13:00 久留米総合スポーツセンター陸上競技場 (福岡県)

ルリーロ福岡 17-39 中国電力レッドレグリオンズ

地元の期待を背負う責任が原動力。“失敗しない”男が見せる決意と情熱


ルリーロ福岡の松尾将太郎選手。ゴールキックの成功率は高く、チームの大きな得点源になっている

「シンプルに自分たちのやりたかったことができませんでした」。ルリーロ福岡(以下、LR福岡)の松尾将太郎が静かに振り返る。17対39というスコアが示すように、課題が露呈した一戦だった。特にラインアウトからのモールで相手に5本ものトライを奪われた場面は、チーム全体のディフェンスの甘さが浮き彫りに。松尾も「ペナルティで同じミスを繰り返し、それを修正できなかった」と苦い表情を見せる。相手チームはそのスキを逃さず、着実に得点を重ねていった。

一方で、ピッチの中で輝きを放ったのもまた松尾だった。試合を通じてパスやキックでボールを動かし、グラウンドを広く使うプレーを披露。持ち味であるキックの精度は圧巻で、開幕戦から続くコンバージョンキック成功率100%をこの試合でも維持した。ペナルティゴールも確実に決め、「失敗しないので」と名セリフでおなじみの人気医療ドラマの主人公のように強気だ。自身の武器であるキックに対する揺るぎない自信がうかがえる。「感触はとても良い。この調子を維持し、勝利につなげたい」と前を向く。

地元である福岡のクラブへの加入を決めた松尾は、会社員兼任という生活を選んだ。仕事が終わり、そのあとに練習する。これまで東福岡高校、明治大学、NTTコミュニケーションズ シャイニングアークス東京ベイ浦安、浦安D-Rocksとラグビーのエリート街道を歩んできた松尾にとって、特定の母体となる企業を持たない地域クラブへの移籍は大きな決断だったが、「地域の方々の応援があるからこそ、自分たちは価値を高めるために努力できる」と力強く語る。

開幕2連敗を喫したチームにとって、課題は多い。フォワードの戦い方、ディフェンスの改善、そしてフィジカル面の強化。それでも松尾は「下がるところまで下がったので、あとは上がるだけ」と悲壮感を見せない。「子どもたちがワクワクするようなプレーをし、チームの勝利に貢献したい」。その言葉には、スポーツが持つ力を信じ、そして地域の期待を背負う決意が感じられる。

今季からリーグワンに参入したLR福岡。松尾の情熱が初勝利を願うファン、チームに希望の光をもたらしていることは間違いない。

(柚野真也)

ルリーロ福岡


ルリーロ福岡の豊田将万ヘッドコーチ(右)、三股久典キャプテン

ルリーロ福岡
豊田将万ヘッドコーチ

「年始のお休みにもかかわらず、多くの方に会場まで足を運んでいただきました。勝利をお届けしたかったのですが、スコアが示すとおり、17対39と大味な試合になってしまいました。前節の課題を引きずってしまった形での敗戦となり、非常に残念です。次は中5日でビジターゲームが控えているため、人員やプランを見直し、修正していきたいと思います。われわれが目指すラグビーは集散と状況判断を生かすものです。今回は、自分たちでチャンスを作ることを意識し、オフサイドなどのミスが減った点は選手たちの対応力としてポジティブに捉えています」

──前節から先発メンバーを変更し、ポジションも調整されましたが、その狙いを教えてください。

「追いかける展開にはしたくなかったので、アタックや前に強い選手、安定感のある選手を起用しました。その狙いが序盤に生きればと思いましたが、試合の流れをつかみ切れなかった部分がありました」

──ハーフタイムにはどのような指示をされたのでしょうか?

「自分たちのペースでラグビーをするため、テンポを上げることを求めました。セットピースのスピード、レフリーとのコミュニケーション、そして相手に合わせるのではなく、自分たちのペースで試合を進めるように伝えました」

──ラインアウトからすべてトライを奪われる結果となりました。その点についてお聞かせください。

「ラインアウト後に形成されるモールでプレッシャーを受け続けたことが大きな課題だと感じています。問答無用で押し切られる場面が多かったので、次節に向けてしっかり対策を練らなければなりません」

ルリーロ福岡
三股久典キャプテン

「(豊田将万)ヘッドコーチもおっしゃったとおり、前節に続いて規律やセットピース、そして状況判断の面でうまくいかない場面が多々ありました。相手にじわじわと流れを持っていかれる試合展開となり、自分たちのペースを作ることができませんでした。ただ、限られた準備時間の中で次節に向けてしっかりと対応していきたいと思います」

──これで2連敗となりましたが、チームの雰囲気や次節に向けた改善点について教えてください。

「負けが続いている状況ですが、後ろを振り返らず、前を向いて進んでいくことをチーム全員に伝えています。次節の準備がキーになるので、限られた時間を最大限活用し、100%の準備をして試合に臨みたいと思います」

中国電力レッドレグリオンズ


中国電力レッドレグリオンズの西川太郎 共同キャプテン

中国電力レッドレグリオンズ
岩戸博和ヘッドコーチ

「前節でマツダスカイアクティブズ広島と対戦した際に浮き彫りになったディフェンスの課題を修正することに重点を置いて、今回の試合に臨みました。その結果が今日の勝利につながったと感じています。選手たちはディフェンスでしっかりとファイトし、アタックやブレイクダウンの局面でも気持ちを込めたプレーを見せてくれました。そこが勝敗を分けた大きな要因だったのではないかと思います。昨季はリーグワンで1勝しかできず、プレシーズンマッチを含め約1年勝利から遠ざかっていました。そうした状況を考えると、今日の試合は非常に厳しいものだったと思います。この結果を踏まえて、次のヤクルトレビンズ戸田(以下、L戸田)戦に向けてさらに課題を修正していきたいです」

──今日の5本のトライがすべてラインアウトから生まれましたが、その評価についてお聞かせください。

「セットピースに関しては、ほとんどミスがなかったと思います。試合の最後に1本ミスがありましたが、全体的には非常に良かったです。ユニットとしてしっかり準備をして臨み、試合中にもしっかり修正できるシーンが増えてきました。そうした点からも大きな手ごたえを感じていますし、選手たちを誇りに思っています。われわれはフィジカル的に特別強いわけではなく、大きな選手も少ないチームです。それでもモールでのまとまりを意識し、そこをしっかりと表現できたのは良かったと思います」

──プレシーズンで対戦したルリーロ福岡(以下、LR福岡)に対して、どのような戦略を準備してきましたか?

「LR福岡は選手一人ひとりのポテンシャルが非常に高く、フィジカルも強く、スピードのある選手が多いチームです。キャプテンの西川も話していましたが、われわれはディフェンスが強みのチームです。相手が気持ちよくプレーできないようにすることを念頭に置き、しっかり準備をしてきました」

中国電力レッドレグリオンズ
西川太郎 共同キャプテン

「(岩戸博和)ヘッドコーチも話していたように、ディフェンスでのタックルやブレイクダウンの部分を重点的にフォーカスし、練習してきた成果が少しは出せたのではないかと思います。また、規律を高めるという点でもチーム内でしっかり話し合い、ペナルティは多少出ましたが、全体的にはよくできたと思います。われわれはディフェンスからリズムを作るスタイルです。そのリズムを崩さないよう、これからのリーグ戦でも戦い続けていきたいです。次のL戸田戦に向けても良い準備をして、勝利を目指して頑張りたいと思います」

──常にリードする展開でしたが、試合プランについて教えてください。

「前半は風下の状況で21対7のリードで折り返すことができました。後半は風上ということを考え、しっかりエリアを取ることを意識しました。また、後半の入りでは『0対0のつもりで』というマインドを持ち、ディフェンスからリズムを作ることをチームで話し合いました。その結果、スマートな試合展開ができたと思います」

──年明け初戦で今季初勝利を収めました。この勝利が今後の試合にどのような影響を与えそうですか?

「昨季はなかなか勝利を得られなかった中で、この年明け初戦の勝利は非常に大きな意味を持つと思います。この1勝を弾みにして、さらに勝利を重ねていけるよう、次の試合に向けてもしっかり準備していきます」