第104回全国高校ラグビー大会は7日、大阪・東大阪市花園ラグビー場で決勝があり、桐蔭学園(神奈川)が東海大大阪仰星(大阪第2)に40―17で勝って、2大会連続5度目の優勝を果たした。桐蔭学園の2連覇は第99、100回大会に続き2度目。 桐…
第104回全国高校ラグビー大会は7日、大阪・東大阪市花園ラグビー場で決勝があり、桐蔭学園(神奈川)が東海大大阪仰星(大阪第2)に40―17で勝って、2大会連続5度目の優勝を果たした。桐蔭学園の2連覇は第99、100回大会に続き2度目。
桐蔭学園は12―0で試合を折り返すと、後半に4トライを決めて突き放した。東海大大阪仰星は3大会ぶり7度目の頂点はならなかった。
試合の趨勢(すうせい)を決めるトライは、後半9分に生まれた。12―7と追い上げられた直後。桐蔭学園は敵陣でラインアウトからモールを形成すると、がむしゃらに押し込む。
約30メートル前進し、最後はフッカーの堂薗尚悟がボールを押さえ込んだ。「意図的にモールを組んだ。(東海大大阪)仰星さんの心を折って、自分たちが自信をつけようと」。主将でフランカーの申驥世(きせ)は、にやりと笑った。
先発したFW8人の平均体重は、東海大大阪仰星の97・5キロに対し、93・6キロ。初戦の2回戦から決勝まで、すべて相手を下回った。だが、準々決勝で世代屈指の大型FWを擁した大阪桐蔭に勝てたことが、チームに自信を植え付けた。
このトライをきっかけに、試合の流れは桐蔭学園へ大きく傾く。さらに三つのトライを決め、勝利を決定的にした。
大会を通じて際立ったのが、決勝でも発揮した後半の強さだ。背景には、例年以上に取り組んだ苦しく地味な走り込みがある。全国の強豪との体格差をどう補うか。その答えの一つが、試合終盤でも相手を圧倒する運動量だった。
全5試合で挙げた185得点のうち、後半が119得点。対して、失点はこの試合の17点だけ。努力は選手たちを裏切らなかった。
花園王者として過ごしたこの1年は、主要大会での敗戦や主力のけがなどがあり、順風満帆ではなかった。「悩んで、もがいて、そして最後に強くなるのが桐蔭学園だと思う」。申の言葉には実感がこもっていた。(松沢憲司)
藤原秀之監督(桐) 2度目の大会連覇。「(チーム発足時は)こういうふうになると想定できなかった。すごいことをやってくれた」
丹羽雄丸(桐) 3年生SOは2トライの活躍。「チーム一人ひとりがやるべきことを分かってやってくれた。みんなに感謝」
■東海大大阪仰星、守りにほころび
前回大会も準々決勝で敗れた因縁の相手に、東海大大阪仰星は「基本、基礎の徹底」をテーマに挑んだ。
ただ、体格で勝りながら接点で苦戦する。身長186センチのロック百武聖仁は「強さよりも、うまさがあった」。課題だったペナルティーを誘発されると、守りの陣形にほころびが生まれ、失点がかさんだ。
部員124人のチームは今年度、SO吉田琉生とフランカー青野寛大の共同主将制を初めて敷いた。下級生を含めた様々な意見をくみ取ろうとする狙いだ。この日も「タックルは低く」など学年に関係なく指摘し合った。
後半23分ごろ、2年生で高校日本代表候補のCTB東佑太が敵陣で強烈なタックルを浴びせ、ボールを奪取。その後、連続トライにつながった。青野は「2年生はよく僕たちについてきてくれた。この悔しさを忘れないで」と雪辱を託した。(室田賢)
■東海大大阪仰星の司令塔・吉田琉生
「チームリーダーとして最後まで戦い抜けた」。東海大大阪仰星の共同主将・SO吉田琉生(るい)はやりきった表情だった。
秋田県出身。「県外の強豪でやりたい」と過去6度の優勝を誇る強豪の門をたたいた。俊足を生かして1年生から花園の舞台に立ったが、当時はWTBだ。湯浅監督は「海外に行けば、とんでもない選手が15人で戦ってくる。いろんなラグビーを見てほしかった」と、将来を見据えて他のポジションも経験させた。
この日、吉田は広い視野を生かして裏をかくキックパスを蹴ったり、自分でトライを奪ったりと躍動した。「周りを生かしてスコアに結びつける司令塔として、今後も強みを伸ばしたい」
■直近10大会の決勝
95回 東海大仰星(大阪)37―31桐蔭学園(神奈川)
96回 東福岡 28―21東海大仰星
97回 東海大仰星 27―20大阪桐蔭
98回 大阪桐蔭 26―24桐蔭学園
99回 桐蔭学園 23―14御所実(奈良)
100回 桐蔭学園 32―15京都成章
101回 東海大大阪仰星 36―5国学院栃木
102回 東福岡 41―10報徳学園(兵庫)
103回 桐蔭学園 8―5 東福岡
104回 桐蔭学園 40―17東海大大阪仰星
(注=東海大仰星は現・東海大大阪仰星)