NTTジャパンラグビー リーグワン 2024-25ディビジョン1 第3節(リーグ戦) カンファレンスA2025年1月5日(日)13:00 味の素スタジアム (東京都)東芝ブレイブルーパス東京 32-…
NTTジャパンラグビー リーグワン 2024-25
ディビジョン1 第3節(リーグ戦) カンファレンスA
2025年1月5日(日)13:00 味の素スタジアム (東京都)
東芝ブレイブルーパス東京 32-26 コベルコ神戸スティーラーズ
勝利に直結する2トライ。ジョネ・ナイカブラが圧巻のスピードで存在感を放つ
対戦相手にとって、東芝ブレイブルーパス東京のジョネ・ナイカブラ選手のスピードは脅威だ
東芝ブレイブルーパス東京(以下、BL東京)は1月5日、味の素スタジアムでコベルコ神戸スティーラーズ(以下、神戸S)を32対26で破り、開幕からの連勝を3に伸ばした。
BL東京のリーチ マイケル キャプテンが「神戸S戦は絶対に我慢比べになって、どっちが我慢できるかがカギになる」と語ったように、この日の試合も終盤に向けて緊張感が高まっていった。
前半を20対12とリードして折り返したBL東京だったが、後半は何度もゴール前まで迫りながらもトライを奪えず。すると、息を吹き返した神戸Sに攻め込まれる場面が増え、勝利がどちらに傾くのか分からない展開となった。
その重苦しい空気を吹き飛ばしたのがBL東京のジョネ・ナイカブラの圧倒的なスピードだった。
後半27分、自陣22m付近のスクラムから杉山優平が持ち出し、マイケル・コリンズ、リーチとつなぎ、右ライン際のナイカブラへ。日本代表17キャップのエースは、一度相手ディフェンスに向かってから外に急加速してトライを奪い、誇らしげに左手の人差し指を天に掲げた。
6点差に迫られた後半37分には相手のパスミスからグラウンド中央の40mを走り切る貴重なトライ。圧巻の加速力にファンは大声援を送った。
勝敗に直結する2トライを決めて抜群の存在感を示したが、物静かな男は穏やかに振り返る。
「正しいタイミングで正しい場所に、たまたま自分がいられたのでトライになったと思います。カウンターアタックの練習もしっかりやってきたので、良い場所にいることができました」
そのスピードを生かして、1対1のディフェンスも向上している。ナイカブラは「タックルはギリギリまで相手に近寄ることを意識しています。ウイングは外に広いスペースがあるので、練習から意識してやっています」と、自身の狙いを説明した。
摂南大学からBL東京に加入して6年。30歳になったナイカブラは自身のスピードについて問われるといたずらっぽく笑った。
「スピードについては若い選手に置いていかれないように必死で走っています(笑)。ベストを尽くすのみです」
走り出した瞬間に会場の空気を変えるほどのド派手なスピードと、シャイで慎み深い素顔。2つの魅力を持つトライゲッターが、今季もリーグワンを席巻する。
(安実剛士)
東芝ブレイブルーパス東京
東芝ブレイブルーパス東京のトッド・ブラックアダー ヘッドコーチ(右)、リーチ マイケル キャプテン
東芝ブレイブルーパス東京
トッド・ブラックアダー ヘッドコーチ
「まずはチームのパフォーマンスと勝利を誇りに思います。苦しい時間帯もあって我慢比べになりましたが、選手たちはタフにしがみついてくれました。コベルコ神戸スティーラーズ(以下、神戸S)さんも良いプレーをしていた中で勝てたので、学びも多かったと思います。スクラムでペナルティを取れたこともあって苦しい時間帯を乗り切ることができました。神戸Sさんという良いチームにしっかりと勝利を収められたことをうれしく思います」
──リッチー・モウンガ選手の欠場の理由と、代わりにスタンドオフに入った松永拓朗選手のパフォーマンスについて教えてください。
「リッチーは足に張りがあって、走ることはできているのですが、今週は予防措置として出場を見送りました。拓朗は普段と違う役割でプレッシャーもあったと思いますが、よくやってくれました。苦しんだ部分もありましたが、それは周りがサポートしたほうがいい部分でもあるので、チームとして良い学びとしていければと思います」
──ワーナー・ディアンズ選手の交代の理由について教えてください。
「ワーナーは素晴らしいパフォーマンスをしていましたが、肋軟骨の損傷で痛がっていたので、悪化する前にアニセ サムエラを投入しました」
東芝ブレイブルーパス東京
リーチ マイケル キャプテン
「今週は神戸S戦に向けて良い準備ができました。自分たちのプランどおりに進まないことが多かったのですが、メンタリティーとしては一番良かったと思います。神戸S戦は絶対に我慢比べになって、どっちが我慢できるかがカギなので、今日はよく我慢できました。来週の浦安D-Rocks戦に向けてまた良い準備をしていきたいと思います」
──松永(拓朗)選手のゲームコントロールについてと、試合後にブロディ・レタリック選手と話していた内容について教えてください。
「拓朗は天理大で日本一の10番になっていますし、まったく違和感なくていつもどおりにプレーできました。一緒にやっていてラクです。昨季の神戸S戦は拓朗がスタンドオフで出場して引き分けでしたが、今日は勝てたので良かったと思います。
レタリック選手とはリーグワンについて『すごくレベルが高くなってきたね』と話しました。彼が最初に日本に来た2020年のころと比べて、簡単には勝てないし、簡単に前に進めないと話していました。また、スーパーラグビーに比べて観客席に多くのファンがいるという話や、神戸が住みやすいという話もしました。(自分が住んでいる)府中は日本一住みやすいと思います(笑)」
──メンタリティーが良かったということですが、具体的にどのあたりでしょうか?
「フィジカルの強い神戸Sを相手に前に出て止めたり、イージーなペナルティをしなかったり、我慢すべきときに我慢したり……。試合中にみんなでどうやったら良くなるかを話して意思統一してプレーできたのが良かったと思います。途中出場の原田衛、サムエラ、ロブ・トンプソンらのインパクトも大きかったです」
──失点を少なくできていますが、システムやメンタル以外でも理由はありますか?
「去年と比べてディフェンス練習の時間が増えていて、その成果が出ていると思います。僕としては『東芝=ディフェンス』で、タフなタックラーもたくさんいます。
また、試合に出ていないメンバーが相手チームのアタックをやってくれていて、それが大きいなと思います。(ディフェンス練習の時間が増えたのは)自分から言ったわけではないです。今は良い流れができていて、タイ・リーバDFコーチともミーティングをしながら進めています」
コベルコ神戸スティーラーズ
コベルコ神戸スティーラーズのデイブ・レニー ヘッドコーチ(右)、ブロディ・レタリック共同キャプテン
コベルコ神戸スティーラーズ
デイブ・レニー ヘッドコーチ
「フラストレーションがたまる試合でした。まず残念だったのは試合のスタートの部分が良くなかったことです。そこからファイトして立ち直ることができましたが、東芝ブレイブルーパス東京(以下、BL東京)さんは素晴らしいチームで本当に良いディフェンスでした。体の大きな選手も多く、プレッシャーを掛けてきて、自分たちがミスをすると相手は得点に変えてきました。昨季のBL東京さんと対戦した2試合(1敗1引き分け)と似たような結果になってしまいました。先週に比べて自分たちのパフォーマンスも良くなかったと思いますし、チャンピオンチーム相手に自分たちのトップのパフォーマンスを出せなければ結果は付いてきません」
──昨季に比べて進化しているところ、さらに伸ばしたいところはどこでしょうか?
「良い練習、良い準備ができていて、今季最初の2試合は良いパフォーマンスができましたが、今日に関しては重要な局面のエラーがあまりにも多く、相手に得点を献上した形になりました。BL東京さんの素晴らしいディフェンスにプレッシャーを掛けられたのも事実だと思っています。後半は14人で戦う時間もありましたし、相手にスペースを与えてしまいました。
去年に比べてラインアウトモールは良くなっていますし、ほとんどのエリアで成長しています。ディフェンスも昨季より成長しています。今日は14人でも良いトライが取れたようにアタックも良くなっています。
リーグワンはタフな大会になっていて、昨季に比べてどのチームも強くなっています。第3節を終えて、どの会場でも腕相撲のように最後までどちらが勝つかわからないような試合が展開されています。
今日、残念だったのは自分たちのやるべきことができなかったことです。前半はプレーできるチャンスがあるのにキックを蹴り返してしまうケースもありました。しっかりとレビューをして、やるべきことを振り返って、来週はモチベーション高く三菱重工相模原ダイナボアーズ戦に向かっていきたいと思います」
コベルコ神戸スティーラーズ
ブロディ・レタリック 共同キャプテン
「フェーズ(攻撃回数)を重ねて攻めている間、BL東京さんが良いディフェンスをしてきましたが、自分たちのミスがあまりにも多過ぎました。チャンスにおけるセットピースも精度高くできませんでした。良いチームに勝つには、チャンスを自分たちが仕留め切らないといけませんが、それができませんでした」
──本来のパフォーマンスができなかったのはプレッシャーを掛けられていたことが原因でしょうか?
「両方あると思います。BL東京さんのプレッシャーもありましたし、自分たちのスキルセットへの責任もあります。自分たちのキャッチ、パス、ボールキャリー、クリーン(ラックで相手をはがす)をしっかりやっておけばミスは減らせたはずです。BL東京さんのように強いチームにミスをしてしまうと、相手の得点に変えられてしまいます」