NTTジャパンラグビー リーグワン 2024-25ディビジョン2 第2節2025年1月5日(日)12:00 スピアーズえどりくフィールド(江戸川区陸上競技場) (東京都)日野レッドドルフィンズ 38…

NTTジャパンラグビー リーグワン 2024-25
ディビジョン2 第2節
2025年1月5日(日)12:00 スピアーズえどりくフィールド(江戸川区陸上競技場) (東京都)
日野レッドドルフィンズ 38-38 花園近鉄ライナーズ

3年前とは違った結果に。D2で戦える手ごたえをつかんだ日野RD


プレーヤー・オブ・ザ・マッチに選出された日野レッドドルフィンズの東郷太朗丸(とうごう・たろま)選手

日野レッドドルフィンズ(以下、日野RD)と花園近鉄ライナーズ(以下、花園L)が今季初勝利を懸けて対戦した試合は、互いに6トライを奪う展開となる中で両者とも最後まで譲らず、38対38のドローで勝点2を分け合う結果となった。

26対26の同点で迎える中、日野RDの素晴らしいトライが生まれた。スクラムでのペナルティを得た日野RDはスクラムハーフの畑田康太朗が「フォワードがアグレッシブに頑張ってくれていたので、うまくバックスにつなげたかった」とクイックスタートを判断。そこから左サイドに展開し、最後は東郷太朗丸が見事なステップでゲインラインを突破して、両ゴールポストの真ん中へトライを決めた。

「9番、10番の二人が若い選手だったのでそこをサポートすること、そして外側にいるバックスにも足が速くて良いプレーヤーがいるのでそこにボールを運べるように心がけてプレーした」という東郷の視野の広さ、そして一瞬できたギャップに飛び込む勝負勘が生み出したエキサイティングなトライシーンは、まさに今季の日野RDが目指しているものだった。

リーグワン初年度の2022シーズン、花園Lと2回対戦して2敗を喫した際に、日野RDのメンバーとして2試合ともに出場していた東郷。「実力のある選手がそろう花園Lさんと戦えるのはやはりうれしい。その中で『やってやるぞ』という気持ちでぶつかることができた。見えた課題を試合中に自分たちで修正できるなど『日野は良いチームになったな』という思いはあります」。昇格して迎えた今季、強豪相手に引き分けに持ち込んだことでD2でも戦っていける手ごたえをつかんだ様子だった。

「勝ち切れなかったのは、やはり自分のキックだったと思います。そこはチームの役割としてしっかり修正しなければ」と反省を口にしながらも「いつの間にか30歳になりましたが、若手だったころと気持ちも変わらずに臨んでいます。でも、バックスに年下のメンバーも増えてきたので責任感というところは変わってきましたね」と東郷。これからも続くD2での厳しい戦いにおいても頼りになる存在であることを自ら証明してみせた80分間だった。


ポジションはセンター。この日はキッカー役も努めていた

(関谷智紀)

日野レッドドルフィンズ


日野レッドドルフィンズの苑田右二ヘッドコーチ(左)、中鹿 駿バイスキャプテン

日野レッドドルフィンズ
苑田右二ヘッドコーチ

「新年あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いします。素晴らしい天候と環境の中でこうやってラグビーをプレーできたこと、ご準備いただいた多くの皆さまに感謝しています。昨季をディビジョン1で戦った素晴らしいメンバーがいる花園近鉄ライナーズ(以下、花園L)さんに絶対勝とうと全員で準備をしてきて、本当に勇気をもって果敢にチャレンジしてくれた選手たちを非常に誇りに思っています。今回引き分けという形で勝ち切れなかったところには課題があると思いますので、そこをしっかり修正して次のNECグリーンロケッツ東葛(以下、GR東葛)さんとの試合ではしっかり勝ってわれわれの目標を達成できるようにチーム一丸となって準備していきたいと思います」

──今日の引き分けという結果をどう受け止めていますか?

「エアポケットにハマるような状況の中で相手に簡単にトライを取られた場面や、スキルのミスからトライを取られる場面がありました。そういう点はインディビジュアル(個人)のスキルを上げながら、チームとしても修正しないといけない点を分析したいと思います。それができればわれわれにもこの80分間の中でたくさんチャンスが転がっていると思うので、それをしっかりつかんで、次の対戦でわれわれが差を付けて勝てるようにしたい。素晴らしい歴史のある花園Lさんともう一度戦って、次こそは勝ちたいと思います」

──前半10分までにキッキングゲームから2トライを奪われましたが、そこからどう修正しましたか?

「キックの蹴り方やその関連の部分をハーフタイムで修正しました。そこが後半でバタバタしなくなった要因の一つでもあると思います。この点は、次回の対戦に向けてわれわれコーチングスタッフも含めて試合前からの準備が必要だと思いますので、しっかり準備をして選手たちがグラウンドの中で最大限のパフォーマンスを出せるように取り組んでいきます」

──良かった点、反省すべき点をそれぞれ教えてください。

「花園Lさんとはもう1回対戦がありますので細かい部分については言えない部分もありますが、われわれがアタックの面、そしてディフェンスの面でどうプレッシャーを掛けていくのかについて、ゲームプランをプレーヤーが忠実に遂行してくれたことで、こういう内容のゲームにできました。アタックでは6トライを獲得できましたが、一方でディフェンスでは簡単にトライを取られる場面もあったので、そこはしっかり修正していきます。もう一つ、われわれは試合に出る選手をドライバー、練習相手などとしてサポートするメンバーをナビゲーターと呼んでいるのですが、今回もナビゲーターが試合以上のプレッシャーをドライバーに掛けてくれました。試合よりもハードな状況の中での練習において課題がたくさん見つかって、それを金曜日に修正し、さらに良い形で練習を進めることができたので、次のGR東葛戦に向けても1週間、しっかりと準備をしていきたいと思います」

──ディフェンスについての評価はいかがですか。

「規律の部分については試合前から『しっかりコントロールしていこう』と話していました。前回の清水建設江東ブルーシャークス戦での内容も含めて課題だった点が見えており、そこをしっかり改善しようと取り組んだ結果、規律のコントロールをできるようになってきているのでこれは続けていきたいと思います。相手チームにチャンスを与えず、逆にわれわれにチャンスを引き込めるようにやっていきたいと考えています」

──交代出場した選手のパフォーマンスについてはどう感じていますか。

「李淳也はトレーニングから良いパフォーマンスを見せていたので後半の頭から思い切って切り替えましたが、良いプレーで勢いをもたらしてくれました。例えば、隣にいる中鹿駿などは80分間フルで出場したいという気持ちが非常に強くて、交代をさせられるのはあまり好きではないと思うのですが(笑)、フィニッシャーの選手たちについても今日の試合ではフィジカル面でだいぶプレッシャーが掛かると予測していましたので、控えメンバーにフォワードの選手を6人並べて、インパクトのあるプレーヤーをタイミングよく交代させることでチームの勢いを80分間保つことができたと思います」

日野レッドドルフィンズ
中鹿駿バイスキャプテン

「まずはこの試合開催に携わっていただいたみなさんに感謝を申し上げます。ありがとうございました。今日の試合は花園Lさんに対してチーム全員でチャレンジしようという気持ちで挑みました。前半は簡単に得点を取られ過ぎたと感じていますが、そこから全員で修正してトライを重ねることができました。後半は取ったら取られて……という展開になってしまい、そこがやはりまだこのチームの甘いところだと思っています。もう来週の土曜日にはGR東葛戦が控えていますので、勝利できるように今日から全員で準備を進めていきたいと思っています」

──0対14の状況から中鹿選手自身の2トライで盛り返しました。

「敵陣に入ったら得点を取れる、という自信はみんなにあったと思うので、思い切って僕もアタックしていきました。『自分がやらなければ』という思いもある中、一つひとつのキャリーに集中して、トライを取ることができたと思います。後半はチームで4トライを取れましたが、ハーフタイムでコーチングスタッフから良い修正の指示や控えのメンバーからもコメントなど、いろいろなアドバイスもあってそれがしっかりハマり、良いアタックにつながったと感じています」

花園近鉄ライナーズ


花園近鉄ライナーズの向井昭吾ヘッドコーチ(左)、上山黎哉ゲームキャプテン

花園近鉄ライナーズ
向井昭吾ヘッドコーチ

「今日はありがとうございました。リーグ初戦ではああいう試合(前半に大きく先行されて20対24で敗戦)となったので、今回のゲームは必ず勝つというところと100%出し切るゲームをしようということで臨みました。ただ、最初に得点を簡単に取れ過ぎてちょっと緩んだというか、何か自分たちのラグビーが簡単にできるというふうに勘違いした時間帯がありました。そのぶん、日野レッドドルフィンズ(以下、日野RD)さんも私たちを分析していた部分もあり、トライを返されてからなかなか私たちのペースに戻すことができませんでした。負けてはいないのですが、前半でもっとトライを取ることができるチャンスもありましたし、後半も自分たちの強みをうまく生かしてスペースを作り出せているにもかかわらずちょっと安易なパスを選んでしまう、というようなプレーもありました。

次節に向けてはショートウィークなので、やはりそのあたりを修正しながらチームを試合までもっていければと思っています。負けなかったという部分は良かったですが、そういうゲームをしている場合ではない。やはりもっと自分たちのラグビーをちゃんと機能させてトライを量産できる、『All Attack』(今季のチームスローガン)をみなさんにお見せしたいと思っています」

──引き分けという結果についてはどう捉えていますか?

「かなり悔しいです。昨季D1で戦わせていただいたチームですが、ちょっと不甲斐ないというふうに思っています」

──前半に良い入りができた中で、そこからタイトな試合にしてしまった理由をどう分析されていますか?

「前半で2トライを取ったところについては練習してきたとおりでした。それよりも日野RDさんにアタックを継続されて、そこで受けに回ったときに規律を守れなくてペナルティをしてしまう、という部分がこの結果になったと思います。このようなゲームをしていると次も非常に危ないので、ディフェンスコーチも含めて、ブレイクダウンなどそのあたりを確実に修正したいと思っています。セットピースからエリアマネジメントしつつ、ボールが動いている時間帯でスペースを作り出す……、そういったプレーを練習してきているつもりなのですが、まだまだ動きも遅くて、ここ一番のときに自分たちでミスをしてしまうということです。ミスは人間なのであるとは思いますが、やはりそこの質が悪いというところです」

──ミスやペナルティに関してはプレシーズンマッチのころから課題として挙げられていますが、それはチーム全体の課題なのでしょうか。それともキープレーヤーがいる中での課題なのでしょうか。

「スローフォワードに関して言えば、判断ミスでそういったパスを投げてしまう。その判断を止めてボールをキープするなどして継続してればチャンスはまた来るんですが、無理に強引なパスをしてしまうところが、まだまだ判断能力が弱いと思っています」

花園近鉄ライナーズ
上山黎哉ゲームキャプテン

「試合の入りは良かったのですが、そのあとに自分たちのペナルティや簡単なミスが出てしまい、どんどん自分たちの首を絞めていった、という部分が同点になった理由だと思います。序盤で良かったところで勢いに乗っていきたい中で、地に足をつけてしっかりとプレーしていければ得点を重ねていけたとも思うのですが、そこで細かいブレイクダウンの部分でタックルをしてもノットロールアウェイのペナルティを取られたり、簡単なオフサイドをしてしまったり、自分たちで自分たちの首を絞めるようなゲーム展開になったので、そこは反省しなければいけない部分です。そのあたりは昨季から引き続き出ている課題なので、もう一度練習からより意識をして臨みたいです。意識の面から変われる部分も多くあると思うので、ショートウィークですが次の試合に向けて修正していきます」

──スクラムについて、どう振り返っていますか。

「そんなに自分たちがうまくいっていないという印象ではなかったですが、レフリーとの兼ね合いの部分で、ちょっと先走っていたというか見え方が悪かったのか……。今回はもう『押そう』というふうに決めていたので、相手がどう組んでこようと自分たちのスクラムの形にしたかったのですが、相手がいろいろと組み方を変えてきた中で付き合ってしまった部分があったのかもしれません。そこでレフリーからの見え方が良くなかった時間帯はあったようには感じました。相手チームがいろいろとやってくる中で、自分たちが徐々に対応できたことで後半は良くなっていったと感じています」