<全国高校ラグビー大会:桐蔭学園40-17東海大大阪仰星>◇決勝◇7日◇大阪・花園ラグビー場東海大大阪仰星(大阪第2)が桐蔭学園(神奈川)に完敗し、3大会ぶりの優勝を逃した。7-40の後半25分、同30分に連続トライで意地を見せるも、前回王…
<全国高校ラグビー大会:桐蔭学園40-17東海大大阪仰星>◇決勝◇7日◇大阪・花園ラグビー場
東海大大阪仰星(大阪第2)が桐蔭学園(神奈川)に完敗し、3大会ぶりの優勝を逃した。7-40の後半25分、同30分に連続トライで意地を見せるも、前回王者の壁に屈した。今季はフランカー青野寛大(かんだい、3年)、SO吉田琉生(るい、3年)が共同主将を務め、チーム一丸で花園の冬を戦い抜いた。湯浅大智監督(43)は目に涙を浮かべ、健闘した選手たちをたたえた。
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ノーサイドの笛が鳴り響き、東海大大阪仰星の選手たちが目頭を押さえた。夢見た頂点まで、あと1歩だった。歓喜する桐蔭学園を目に焼きつけ、冬の聖地を後にする。湯浅監督は「選手はやり切った。その上で桐蔭さんが強かった。43歳のおっさんが、こんなに心を動かされる…。選手に『ありがとう』しかないですね」。チーム一丸で戦い抜いた結果の準優勝。大粒の涙を浮かべ、健闘した選手たちをたたえた。
きっかけがあった。昨年12月21日。選手124人、マネジャー6人、スタッフが大阪・箕面市の勝尾寺で1泊した。指揮官は「何かチームが1つになる時間をつくりたかった。語る会をしました」。選手は6つのポジションごとに分かれ、宿坊で膝を突き合わせた。休憩も挟み、午後8時から夜中まで。3年生は今大会にかける思い、ある選手は「実は好きな子がおる…」。恋愛話に、下級生の悩みと選手同士が語り尽くした。
ロック百武聖仁(せいと、3年)は言う。「あんなに語り合う機会はなかった。ポジション同士の親密度が上がったし、チームが1つになるきっかけだった」。学年、レギュラー、控えメンバーの垣根を越え、1つの結束力が生まれた。今大会計5試合を通じ、青野主将も「みんなでチーム1つになって戦えた」と実感し「ずっとスタンドの仲間が声をかけ続けてくれた。背中を押してもらいましたし、ほんとに最高の試合ができた」。ワンチームで、かけあがった花園決勝だった。
桐蔭学園との決勝カードは3度目の顔合わせだった。過去2戦2勝も、前年度王者で東の横綱と呼ばれる壁は厚かった。「ほんとに、この悔しさを忘れてほしくない。来年は最高の景色を見るために、ぶれずに、最後まで貫いてほしい」と青野主将。果たせなかった日本一の夢を、涙ながらに後輩へ託した。【佐藤究】
◆勝尾寺(かつおうじ) 大阪府箕面市にある寺院。奈良時代に創建され、当初は「弥勒寺」だったが、同寺での祈願で病気が治ったことを喜んだ清和天皇から「王に勝った寺」として「勝王寺」の名を下賜され、寺は「王」では恐れ多いことから「尾」とし「勝尾寺」と称した。以後、勝ち運の寺として武将らの信仰を集め、現在ではプロ野球、Jリーグの選手らも必勝祈願で訪れる。秋には紅葉の名所としても人気。