PGAツアー開幕を前にマックス・ホマが新たな用具契約メーカーにコブラを選んだ。どういう経緯で契約に至ったか? 今回はGolfWRX.comによるホマ本人とコブラのクラブフィッター直撃インタビューの中編。◇◇◇GolfWRX.com:あなた…
PGAツアー開幕を前にマックス・ホマが新たな用具契約メーカーにコブラを選んだ。どういう経緯で契約に至ったか? 今回はGolfWRX.comによるホマ本人とコブラのクラブフィッター直撃インタビューの中編。
◇◇◇
GolfWRX.com:あなた(コブラのクラブフィッター、ベン・ショーミン氏)はこれまで様々な選手、多くのギア好きと仕事をしてきたと思うが、ホマと他のトッププレーヤーではどこが違いましたか?
ショーミン氏 「彼(ホマ)は見た目に、かなりこだわりがありました。我々の一般モデルのMB(アイアン)は、従来使っていたのととても近いものでした。オフセットとトップラインに少し差があった程度。彼の言った通り『まあまあ』という感じでした。
ただ、私にも違いは分かりました。彼に(在庫の一般モデルを)渡すこともできましたが、3Dテクノロジーがあるんですから、見た目に関してこれまで使ってきたものと同じように仕上げつつ、パフォーマンスがこれまで同様か少し良くなれば、慣れるのに時間はかかりませんよね。それを実現、しかも迅速にできたのは、大きな決め手になったと思います」
GolfWRX.com:あなたは過去にもプロトタイプを作成したことがありました。選手はどのクラブで3Dプリントを重宝し、それらは既存のコブラのラインアップと比較すると、どこが異なっていたのでしょうか?
ショーミン氏 「MBの6番アイアンからピッチングウェッジまでも3Dプリントで製造され、明らかに違うものですが、一番は4番アイアンだと思います。5番もそうですが、4番のテスティングは特にそうです。マックスはショックを受けたと思いますし、これまでのクラブより、さらに先を行くと感じたと思います。より違いが大きかったのは打感だと思います。このLimit3dの4番は、一般的な4番と比べてとても寛容性が高いのです。特に、このサイズにしてはね。例えば少しトウ寄りで打っていながら、(芯で打ったショットと)ほぼ同じ距離を飛ぶということに慣れていなかったのだと思うんですよ。この4番アイアンはトウ寄りで打っても、見上げると望み通りのキャリーの数字が得られます。彼は実際に数字を見て、それが正しいことを何度も繰り返し試した上で『こっちの方が優れている』みたいな感じになりました」
ホマ 「そうなんだ、僕は彼(ショーミン氏)に『この4番アイアンは使いたくない』と言ったんだ。ドライビングアイアンみたいな感じがしたからね。フェースの弾く感じは完全にそうで、パフォーマンスは違ったんだけど、感じとしてはフェアウェイを狙って(ドライビングアイアンで)刻んだショットみたいな感じだったんだ。だから繰り返しCBと替えて打ってみたけど、こっちの方が良いショットが打てたんだ。この3D限定版の方は、毎回ソリッドで良いショットが打てたんだよ。
だから僕は『OK、これを使うことにしよう。そして高いスライスを打つことで、ドライビングアイアンを使っていないように感じる方法を見つけ出そう』という感じになった。その後、弾道測定器を使って打ってみると、文字通り4番アイアン然とした弾道であることに気が付いた。ショーミンの指摘した通り、僕はかなりソリッドなショットを打っていたので、ロケットが飛び出すように感じていた。打った瞬間『飛び過ぎだから、ティショットでしか使えないクラブ』と感じていた。でも違ったんだ。それだけ、これは打つのが簡単ということ。特に4番に関しては僕らでさえ、毎回芯で捉えられるわけではない。8番で打つのとは違うんだよ。それが念頭にあるからね。特に練習レンジではなく、コース上で言えることだと思う。そしてクールなことに、僕は毎回ソリッドに捉えられる4番アイアンをゲットしたんだ」
ショーミン氏 「実際、昨日はこのクラブがいかに一貫しているかについての好例だったね。確か、君(ホマ)は4番アイアンを使いながら、キャリーの差が3ヤードしかなかったんだ!」
ホマ 「そうなんだよ。初速がかなり速いと感じられるクラブには、10ヤードから15ヤードくらいのばらつきがあるもので、225ヤードではなく、235ヤード飛ぶこともある。そういうのは起こらなかった。実際、自分でぶっ飛ばしたと感じたショットでも、飛距離は通常のヤーデッジだったから、単に打感によってそういう印象を受けるのだと思う」
ショーミン氏: 「確かに、ゲームインプルーブメントアイアン(飛び系アイアン)はフローティングフェースになっているので、フェアウェイからのショットが飛び過ぎてしまうこともあります。ただ、繰り返しになりますが、彼はこれで繰り返し打って、毎回同じ数字を出していたんです。もちろんフェースは3Dプリンター製ですので、追加でたわむ要素はなく、言ってみれば、鍛造クラブと同じ打感になっているはずなのです。彼は自分自身に対して証明することが大切でした。OK、これは自分に合っているぞ、とね」
GolfWRX.com::他メーカーと比べ、コブラのプロトタイプ製造がいかに迅速か、あるいはプロトタイプ製造のプロセスについて、何か違いは感じましたか?
ホマ 「これまでこういうのを作ってもらう必要がなかったので、そこはなんとも言えない。僕はギアマニアというわけでもない。そこまで選り好みが激しくはないんだよ。ただこれはとても魅力的だった。ベンが1カ月後に新しいアイアンを持ってやってきた時はとても感銘を受けた。(バッグを指さし)これがその時のアイアンだ。彼は、別のものに慣れるのに時間を浪費すべきではないというけど、僕はそれは仕方がないと思うから、完全に自分の望む見た目通りのアイアンを作ってもらうことは望んでいなかった。それなのに、1カ月でしっくりくるクラブを手に入れることができた。当時僕はコーチを変え、スイングなどについて色々と取り組んでいた。その分新しいクラブに慣れる作業が出てくると『ああ、7番アイアンの見た目はこういう感じになったのか』ということを考えたりして、1カ月や2カ月はすぐ過ぎ去る可能性はあったと思うよ。
そんなプロセスがすっかり軽減された。彼らがこれだけ迅速にやってくれたことには、信じられないような思いがする。それに、これは確実に将来的にも役立つことだと思う。何か微調整をしたいと思ったとき、それが可能だと分かっているのだからね。それに、繰り返しになるけれど、(慣れる上での)成長曲線は必要ない。ただ、眼の前に置いてみれば、自分の望み通りの見た目になっているんだからね」
(協力/ GolfWRX, PGATOUR.com)