阪神の近本光司外野手(30)がデイリースポーツ読者に向けて、さまざまなテーマをもとに本心を明かす企画「謳歌」。2025年の第1回は、30歳となって迎えるシーズンへ向けて、大黒柱としての自覚を示した。昨季は自身初の4番を打った経験なども踏ま…

 阪神の近本光司外野手(30)がデイリースポーツ読者に向けて、さまざまなテーマをもとに本心を明かす企画「謳歌」。2025年の第1回は、30歳となって迎えるシーズンへ向けて、大黒柱としての自覚を示した。昨季は自身初の4番を打った経験なども踏まえ、V奪回への決意も語った。

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 読者の皆さま、新年あけましておめでとうございます。阪神タイガースの近本光司です。プロ7年目となる今季。今年も全力プレーでチームを引っ張っていきますので、応援よろしくお願いいたします。

 昨シーズンは、自分の中ではすごく勉強にもなって、いろんな発見がありました。学びのある1年だったと思います。バッティングの技術面もそうですし、いろんな考えの中で実践していく。何でも挑戦するというのはあんまりよくないですし、必要な情報だけというのもよくない。そういうことが少し分かったシーズンでした。

 昨年11月に30歳という年齢になり、チームの中でも中堅になってきて若い子が増えてきました。そういう立場だからこそ、本当は言いたくないけど、言わないといけないこともある。伝えないといけないことは、選手だけじゃなくて、監督やコーチ、フロントに対してもです。そういうことが分かった1年でもありました。

 僕は言いたいことをあまり言わないタイプです。僕自身が言われたら嫌なので。でも、誰かを守るために言わないといけないこともあるし。弱い立場の人のために言うということは大事なので。すごく勇気がいることですが、そういうことも考えないといけないのかなというのはあります。23年に選手会長を退きましたが、現選手会長の中野からは相談されることもあるので助けてあげられる準備はしておかないといけないと思います。

 野球選手として、昨シーズンの4番の経験(※)はすごく大きかったです。「4番はこういうものなんだろうな」というイメージはありましたけど、実際に打席に立ってみないと分からないこともあるし、得られたことは多かったです。この経験を次にどうつなげられるのかというのをすごく考えました。

 特に4番を打つ打者の気持ちを知ることができたのは良かったです。勝敗や全てを4番に背負わせるというのは、酷なことだと感じました。バッテリーもだし、自分は1番打者だから関係ないということではないので。

 4番であったり、バッテリーが重要な役割を果たすことが多いですが、その人たちだけに責任を負わせることではないと思いました。周りがうまくサポートしてあげないといけない。それは4番に座ったからこそ、分かったことです。

 だからこそ、全員で支え合っていかないといけない。そうすることによって、1人の負担も減らすことができ、チームとしても結束力が高まっていくと思います。

 今年の抱負は、本当にケガなく1年を過ごすということだけです。ケガなく、試合に出てプレーできたら、結果は計算できると思っています。成績を伸ばすということを考えるよりも、状態を常に安定したものにすること。そうすることによって、いい結果になると思っています。

 ここまで6年間、体のコンディションを整え、結果を残すためにいろんなことを考えて一年一年を過ごしてきました。長打を打ちたいとか、たくさん盗塁をしたいというのは結果の目標。どうしても足のコンディション、体の状態がよくなかったら、その時のモチベーションや、やりたいことは制限されます。

 目標は聞かれた時には答えていますけど、自分の中で大事なのは足が痛いとか、コンディションが悪いというのをなくすことです。そういった制限がなくなれば、勝手にこういうプレーがしたいというのが出てくると思います。だからこそ、そのベースとなる体のコンディションはすごく大事。目標を言うよりも、やりたいことをするために、状態を安定させることが必要なことだと思っています。

 今シーズン、チームとして目指すのはもちろん優勝です。みんなが自分のプレーをできるようなメンタルやモチベーションを維持して、コンディショニングが100%に近かったら、いい成績を残せると思っています。そうなることによって、チームとしてもいい成績を残せる。そこが大事です。万全の状態で開幕に臨めるようにしっかりと準備していきます。

 ※…近本は6月1日・ロッテ戦(ゾゾ)で自身初、球団では第109代目の4番に座った。同戦から12試合連続で任され、46打数10安打で打率.217、0本塁打、2打点だった。