プロボクシングの帝拳ジムのマネジャーとして長年、運営や選手育成などに貢献してきた長野ハルさんが1日午後8時40分、老衰のため99歳で死去した。病気療養中だった。5日、同ジムの本田明彦会長がホームページで発表した。80年近くにわたって名門ジ…
プロボクシングの帝拳ジムのマネジャーとして長年、運営や選手育成などに貢献してきた長野ハルさんが1日午後8時40分、老衰のため99歳で死去した。病気療養中だった。5日、同ジムの本田明彦会長がホームページで発表した。80年近くにわたって名門ジムを支え、元WBA世界フライ級王者・大場政夫(故人)ら多くの名選手から慕われた“日本ボクシング界の母”とも言える存在だった。
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長野さんが見いだした才能の一人が大場政夫だった。貧しい環境で育ち、「世界チャンピオンになって両親に家をプレゼントする」との夢を持って、中学卒業後に帝拳ジムに入門した15歳の大場を24歳上の長野さんは温かく、厳しく育てた。
食事などの生活も支え、強くなるため当時は入手困難だったスッポンのスープや朝鮮ニンジン入り野菜ジュースなど惜しみなく与え、160センチの身長が7センチ伸びたという。減量着のセーターも手縫いしてサポートした。
大場は21歳でWBA世界フライ級王座を獲得すると、ファイトマネーで両親のために一軒家を建てた。手塩にかけて育てた大場だが、逆転KOで勝利した5度目の防衛戦の23日後の73年1月25日、首都高での自動車事故により23歳で急逝。現役世界王者のまま天国へと旅立ち「永遠のチャンピオン」とも呼ばれ、長野さんにとっては生涯忘れられない悲劇だった。